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銀行に見せる前に…試算表は3つの視点でチェックしよう

銀行に見せる前に…試算表は3つの視点でチェックしよう

銀行から「試算表を見せてください」といわれることがあります。このとき、社長が何のチェックもせずに、ただただ試算表を渡してはいませんか。それはよくないですよ、というお話です。

目次

銀行に試算表を渡すだけの社長

会社が銀行に融資の相談をしたときに、前回の決算から時間がたっていると、「試算表を見せてください」といわれることがあります。いうまでもなく、「現状」を確認するためです。

このとき、「はいはい」と何のチェックもせずに、試算表を見せているようではいけません。チェックをしたうえで、改善すべき点は改善をしつつ、説明すべき点は説明をしつつ、見せられるようにしましょう。

社長が、ろくろくチェックもせずに、銀行に試算表を渡しているだけだと、気づかぬうちに融資が受けにくくなっている可能性があります。では、試算表をどのうようにチェックすればいいのか?

おもなところでは3つ、次のとおりです↓

試算表をチェックする3つの視点
  • 前年同月比
  • 前年比
  • 前月比

これらは、銀行が試算表をチェックするときの「視点」でもあります。銀行の視点を理解することは、銀行融資の受けやすさにもつながるところです。

それではこのあと、3つの視点について解説をしていきます。

試算表をチェックする3つの視点

前年同月比

たとえば、3月決算の会社があったとして、いまが10月中旬だとします。だとすれば、9月までの試算表は、できあがっていてほしいところです。

つまり、いま銀行から「試算表を見せてください」といわれたら、9月までの試算表を見せられるのが望ましい、ということになります。では、9月までの試算表ができあがっているとして。

その試算表を銀行に見せる前に、まず確認をしたいのが「前年同月比」です。さきほどまでの会社の例であれば、今年の9月単月の数字と、前年の9月単月の比較をします。

たとえば、今年の9月の売上高が1,050万円、前年の9月の売上高が1,000万円だとしたら、前年同月比は、金額では「プラス50万円」であり、比率では「プラス5%」です。

というように、前年の同じ時期と比べてどうか?という視点があります。同じ事業をしていて、特段、状況に変化がなければ、前年同月と今年の数字は同じになるだろう、という前提です。

そのうえで、大きな変化が生じている数字については、注目をしようということになります。なので、社長はその大きな変化を事前に確認して、変化の原因を確認しておきましょう。

売上高が大きく増えたり減ったりしたなら、その原因を。特定の経費が大きく増えたり減ったりしたなら、その原因を。そして、銀行に試算表を見せる段階で、きちんと説明をすることです。

もちろん、説明しなくても、銀行のほうから聞かれることはあるでしょう。ところが、聞かれてから伝えるのと、聞かれる前に伝えるのとでは「心象」が違います。

聞かれる前に伝えることができれば、銀行は「この社長は、ちゃんと試算表を見ているのだな」と感じるものです。試算表を見るなどあたりまえなのですが、意外と見ている社長がいないのが、中小企業の実態だったりもします。

なお、利益に対してネガティブな変化(売上が減っている、経費が増えている)については、原因だけではなく、対策も検討して、銀行に伝えられるとよいでしょう。銀行の安心感につながるところです。

前年比

次に確認をしたいのが「前年比」です。前述した「前年同月比」との違いは、単月ではなく「期首からの累積」であること。さきほどの例でいうと、今年の4月から9月までの数字と、前年の4月から9月までの数字を比較することになります。

4月は前年同月比でプラスでも、5月前年同月比はマイナスということもあるわけで。そこをふまえて、現在までの累積で見たときには、結局プラスなのかマイナスなのかという見方です。

たとえば、前年9月までの売上高の累積が6,000万円、今年9月までの売上高の累積が6,300万円だとしたら、前年比は金額では「プラス300万円」であり、比率では「プラス5%」となります。

ここから、銀行が考えるのはこんなことです↓

「いまが期首から6か月。残りの6か月もこの調子であれば、こんどの決算では売上高が600万円くらい増えそうかな。それにあわせて、利益も増えそうだ」

では、逆に、前年比で売上高が減っている場合はどうでしょう。仮に、金額で「マイナス300万円」だとすれば、こんどの決算では売上高が600万円くらい減ることがイメージされます。

このとき、前年決算の利益からみて、黒字にできるのかどうなのか。もし、前年決算の利益が100万だとしたら、今期は赤字が想定されるところです。すると、融資は受けにくくもなるでしょう。

したがって、社長は、前年同月比と同じく、前年比についても確認をしておくこと。そのうえで、こんどの決算予測も検討しておくようにしましょう。銀行への伝え方はこんな感じです↓

「9月時点での前年比は、売上高がマイナス300万円ですが、残りの6か月では前年比はプラスに転じる見込みです。すでに受注しているもののほかに、新規の商談も増えています」

といったことを伝えつつ、受注リストや商談記録などを銀行に見せられると、説得力が高まります。ところが、なんの説明もなく、前年比でネガティブな試算表を見せるだけだと、融資は受けにくくなるものです。

前月比

さいごに、もうひとつ。「前月比」という視点があります。さきほどの例でいうと、今年の9月の数字と、今年の8月の数字とを比較するということです。

どんな事業でも、多かれ少なかれ「季節変動」があります。〇月はよく売れて、〇月はあまり売れない…みたいな。だとすれば、売上を前月と比較しても、あまり意味はないかもしれません。

が、経費は違います。経費のうち、売上には連動しないもの、いわゆる「固定費」は、毎月同じような金額になるはずです。なので、前月比を見ることで、特別に生じた経費がわかります。

経費が増えれば利益は減るのですから、利益を重視している銀行からすれば、経費の増加は気になるものです。よって、前月比という視点でも、銀行は試算表を見ています。

それから、前月に比べて、「利益が増えているか、預金が増えているか」というのも、銀行の見方です。もし、前月は黒字で、今月は赤字だとしたらどうでしょう。

このあとも赤字になるのかな…?と、銀行はイメージします。銀行は、保守的な見方をしますから、基本的にはネガティブな未来を予測することを覚えておきましょう。

利益ばかりではなく、預金の動きも大切です。銀行にとっては、「利益=返済財源」であり、その利益を担保するものが預金です。利益が出ていたとしても、預金がなければ実際に返済はできません。

なので、預金の動きについても前月比で気にしています。だとすれば、社長も、試算表を前月比で確認しておくことです。そして、大きな変化があれば、やはり原因や対策を、銀行に伝えられるようにしましょう。

たとえば、「8月までの黒字に対して、9月は赤字になりましたが、中途採用による人件費増加が原因であり、10月からは人手が増える分だけ売上も増えるので、黒字に転じる見込みです」といった例が考えられます。

まとめ

銀行から「試算表を見せてください」といわれることがあります。このとき、社長が何のチェックもせずに、ただただ試算表を渡してはいませんか。それはよくないですよ、というお話をしました。

そこで、3つの視点を理解しておきましょう。銀行の視点でもあり、融資の受けやすさにもつながるところです。

試算表をチェックする3つの視点
  • 前年同月比
  • 前年比
  • 前月比
銀行に見せる前に…試算表は3つの視点でチェックしよう

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