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銀行融資に役立つ貸借対照表の見方

銀行融資に役立つ貸借対照表の見方

銀行の融資審査において、決算書が占める割合は大きい。その決算書には、損益計算書と貸借対照表とがあるけれど、貸借対照表はよくわからない…そんな悩みにお答えしていきます。

目次

貸借対照表がわからない

銀行融資を受けるのであれば、決算書が重要であるのはご存知のことでしょう。つまり、融資審査において、決算書が占める割合は大きい、ということです。

その決算書には、損益計算書と貸借対照表とがあります。このうち、損益計算書については見ればわかるけれど、貸借対照表については見方がよくわからない…という社長はいるものです。

損益計算書は「売上ー費用=利益」というつくりであり、なじみがあるし、わかりやすい。ところが、貸借対照表は「資産ー負債=純資産」というつくりであり、どこがどうだと良いのか悪いのかがわからない…みたいな。

そこで、本記事では、銀行融資に役立つ貸借対照表の見方について、お話をしていきます。貸借対照表の要点を押さえつつ、銀行がどのような見方をしているかを学んでいきましょう。

銀行融資に役立つ貸借対照表の見方

純資産

まずは、純資産から確認をします。貸借対照表は大きく3つ、資産の部、負債の部、純資産の部にわかれているところ、はじめに純資産の部に目を向けるということです。

その純資産の部は、おもに「資本金」と「利益剰余金」とで構成されています。資本金は、株主からの出資です。利益剰余金は、創業からいままでの税引後利益の累計額をあらわしています。

そのうえで、純資産の部はプラスかマイナスか?

マイナスであれば、いわゆる「債務超過」です。このとき、「資産の部<負債の部」となっています。実質的な財務破たんであることから、銀行からの評価は著しく下がることを覚えておきましょう。

なので、会社としては「純資産がマイナス(債務超過)」は、なんとしても避けたいものだといえます。では、純資産のプラスの場合はどうなのか?

仮に、3,000万円のプラスであれば、税引後利益が3,000万円の赤字までは債務超過にならない、ということです。純資産のプラスは、債務超過に対する安全度だとわかるでしょう。

よって、純資産が大きいほど、銀行としては安心材料になります。ひいては、融資の受けやすさにつながるところです。

預金

次に、確認をしたいのが預金です。貸借対照表の筆頭に、預金は記載されています。おカネが大事だから、おカネがなければ会社はつぶれてしまうからです。

銀行も、預金がいくらあるかを重視しています。極論、利益よりも預金です。利益がいくら出ていても、預金がなければ会社はつぶれます。逆に、利益が出ていなくても、預金があれば会社はつぶれません。

目安として、「平均月商(年間売上高÷12か月)の2か月分以上」が、目指すべき預金の「最低ライン」であるものと考えておきましょう。それを下回ると、資金繰りに問題が起きやすく、銀行からの融資も受けにくくなります。

ここでもういちど、利益剰余金の額に注目しましょう。仮に、その額が3,000万円だとしたら、これまでに3,000万円のおカネを稼いだということです。では、3,000万円のおカネが、預金として残っているのか?

もちろん、完全に残っているということはありません。事業に必要なモノを買ったりもするわけですから。でも、事業に必要ではないモノを買っていたら…?それは、銀行から見れば問題です。

たとえば、利益を生み出さないであろう固定資産(華美な社屋、高級すぎる社長車など)や、雑勘定(仮払金、貸付金など)など。貸借対照表を見たときに、それらの金額が大きいと、利益剰余金に対して預金が少なくなります。

したがって、預金については、利益剰余金とも対比をしてみて、そのうえで、利益剰余金よりも預金がだいぶ少なければ、どこにおカネが使われたのかという視点で、資産の部を眺めてみましょう。

ちなみに、預金は利益で増やす以外にも、借入によって増やすことも可能です。よって、借入がある場合には、「利益剰余金+借入金」の額と、預金とを対比することになります。

借りたおカネが、利益を生み出さないであろう固定資産や、雑勘定に使われているようでは、やはりよくないわけです。

売掛金・棚卸資産

次に、売掛金と棚卸資産を確認します。会社によって、事業によって、だいぶ差があるところです。そのうえで、売掛金や棚卸資産が大きい決算書では、より注意が必要になります。

なぜなら、売掛金も棚卸資産も、現金化されるのを待っている状態のものであり、売掛金や棚卸資産が多いほど、資金繰りは悪くなるからです。

加えて、売掛金や棚卸資産のなかに、現金化できないものがあれば困ります。たとえば、売上先から回収できない売掛金があるとか、定価では販売できない不良在庫があるとか。

まずは、それらを把握して、現金化できないものは「損失」として経理処理することです。損失分まで、売掛金や棚卸資産に含めたままにしていれば、社長は「実態」を把握できません。

実態が把握できたら、売掛金と棚卸資産の分の借入ができているかを確認しましょう。繰り返しになりますが、売掛金も棚卸資産も、現金化されるのを待っている状態のものであり、売掛金や棚卸資産が多いほど、資金繰りは悪くなるからです。

なので、売掛金と棚卸資産の分の借入をすることで、資金繰りを改善します。これが、「経常運転資金の借入」です。

なお、売掛金に対して、買掛金は現金の支出を待ってもらっている金額であるため、経常運転資金は「売掛金+棚卸資産ー買掛金」で計算されます。

銀行も、経常運転資金分のおカネがなければ、資金繰りが厳しくなることはわかっているので、基本、経常運転資金分の融資には積極的です。

以上をふまえて、まずは、売掛金・棚卸資産のなかに、現金化できないものがないかを確認する。そのうえで、経常運転資金がいくらであるかを計算してみることになります。

借入金

次に、借入金を確認です。ここでいう借入金とは、銀行からの借入金であり、貸借対照表では「流動負債」と「固定負債」に分かれているものとおもいます。

流動負債に記載されている借入金は、決算日から1年以内に返済が必要な借入です。たとえば、返済期間5年の借入であれば、そのうち1年で返済する分の金額が、流動負債として記載されます。

なお、流動負債に記載される借入は、返済期間が長いものだけではありません。そもそも、返済期間が1年以内の借入も含まれます。手形貸付や当座貸越、などと呼ばれるものです。

この点、前述した「経常運転資金」分の借入は、手形貸付や当座貸越をおすすめします。でも、1年以内で返済するのであれば、資金繰りが厳しくなるだろうとおもわれるかもしれません。

ところが、実際には、返済期日に銀行の審査を受けたうえで、問題がなければ、返済期日を更新することができます。つまり、実質的には「借りっぱなし」にできるわけです。

いっぽうで、経常運転資金を、毎月分割返済の方法で借りている会社が少なくありません。すると、返済するたびに手元のおカネが減っていくため、資金繰りが悪くなっていきます。

借入当初は「経常運転資金=借入金(借りたおカネ)」で釣り合っていたのに、毎月の返済によって「経常運転資金>借入金(借りたおカネ)」になってしまうからです。

あとは、借入金の総額が「どのくらいの水準にあるか」も確認しておきましょう。銀行は、ざっくりと「借入金は、平均月商の6か月分が限度」という見方をしています。それを超えると、融資が受けづらくなるということです。

また、「借入金<(税引後利益+減価償却費)×10」という見方もあります。「税引後利益+減価償却費」を返済財源としたときに、いまある借入金を10年で返済できるか。10年を超えるようなら借りすぎなので、もう貸せないぞ、ということになります。

あとどれくらい借りられそうかの目安として、確認しておくとよいでしょう。

まとめ

銀行の融資審査において、決算書が占める割合は大きい。その決算書には、損益計算書と貸借対照表とがあるけれど、貸借対照表はよくわからない…という社長はいるものです。

本記事では、銀行融資に役立つ貸借対照表の見方をお伝えしました。貸借対照表の要点を押さえつつ、銀行がどのような見方をしているかを理解しましょう。銀行融資の受けやすさにつながります。

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