銀行融資のリスケジュールをNGにしないための前提条件

銀行融資のリスケジュールをNGにしないための前提条件

したくはないけれど、いざとなったらしなければいけないのが、銀行融資のリスケジュールです。そのリスケジュールをNGにしないための前提条件を確認しておきましょう。

目次

いざとなったらしなければ

会社の銀行融資について。したくはないけれど、いざとなったらしなければいけないのがリスケジュール(以下、リスケ)です。

銀行融資におけるリスケとはつまり、当初の契約を守ることはできず、毎月の返済額を減額してもらうことをいいます。もちろん、銀行にとっては好ましいことではありません。

とはいえ、国の後押しもあり、会社がリスケを申し出れば、銀行はほぼほぼ受け入れているのが現状です。ただそれでも、なかにはリスケNGとされることはあります。

というわけで、このあと、リスケをNGにしないための前提条件を確認していきましょう。逆に、その前提が崩れているようだと、リスケがNGとなる可能性が高まるので要注意です。

リスケをNGにしないための前提条件

粉飾決算をしていない

粉飾決算とは、自社の決算書について、利益を水増ししたり、資産を水増ししたりすることです。水増しすることで、実態よりも自社の業績をよく見せかけることができます。

この点、粉飾決算をしていると銀行にわかれば、リスケがNGとなる可能性は高まるものです。粉飾のていど加減にはよるものの、目に余るほどの粉飾であればリスケはNGになるでしょう。

いうまでもなく、粉飾決算という「悪事」をはたらくような会社を、社会の公器たる銀行が助けるわけにはいかないからです。粉飾決算している会社を支援するとはすなわち、銀行が悪事に加担することになってしまいます。

銀行から融資を受けようと、粉飾決算をくわだてる会社もありますが、いざとなっても「リスケさえ」できなくなることは理解しておきましょう。

融資が受けられなくなってなお、それでも銀行の支援を受けるのであればリスケしかありません。その「リスケさえ」できなくなることは、会社のおわりを意味します。

目先の融資を受けるために、粉飾決算に手を染めるということは、会社がみずからリスケの選択肢を放棄することにほかなりません。たとえいま、融資が受けられたとしても、いずれリスケが必要になったときには八方塞がりです。

あとになって、「そんなつもりじゃなかった…」ということがないように。気をつけましょう。

借入をした直後ではない

つい先月、ある銀行から借入をしたばかり。それでも資金繰りが厳しくなったので、リスケをお願いすることにしよう…というハナシは通用しません。

その「ある銀行」にしてみれば、「返済できなくなる(リスケする)とわかっていて借りたのか!」と、腹を立てることになるからです。貸すほうの立ち場としては、当然の怒りでしょう。

そうして、取引銀行の1つがリスケに応じないとなると、他の銀行もまたリスケに応じることはありません。リスケをするなら、すべての銀行がリスケに応じることがルールだからです。

たとえば、A銀行とB銀行、C銀行の3つから借入している会社があったとして。A銀行とB銀行はリスケに応じて(毎月の返済はゼロとか)、C銀行は応じない(返済はこれまでどおり)としたらどうでしょう?

A銀行とB銀行は、「C銀行ばっかりズルい!」となりますよね。なので、取引銀行の1つでもリスケに応じないとなると、すべての取引銀行からリスケはNGとなるのです。

そうはならないように、借入をした直後に資金繰りに窮することがないようにしましょう。具体的には、借入をする前に「半年ていどは、資金ショートを起こさないか?」を確認することです。

資金繰り予定表をつくってみて、いま借入をしても、半年以内に資金が足りなくなるなら、いま借りてはいけないということであり。借りるのではなく、いまリスケをすべき、ということになります。

リスケのタイミングをまちがえてはいけません。いま借りれるからといって、うかつに借りてはいけません。

特定銀行のみ優遇していない

いざリスケを銀行に相談すると、リスケと引き換えに「金利を上げさせてほしい」とか、「追加で担保を入れてほしい」などといわれることがあります。リスケをするためにはしかたない…

かというと、そうではありません。銀行の求めに応じてはいけないのです。金利や担保、保証などの条件面で、特定銀行のみ優遇するようなことがあれば、結果としてリスケはNGとなります。

リスケには、「全銀行一律同条件」という、いわば暗黙のルールがあるからです。リスケをするなら、条件面は全銀行で同じにしましょう、ということになります。

これは、前述のA銀行・B銀行・C銀行のハナシと同じことです。もし、C銀行だけが金利を上げるのだとすれば、A銀行とB銀行は「C銀行ばっかりズルい!」と考えることでしょう。

すると、A銀行・B銀行はリスケには応じず、C銀行も「だったらウチも応じません」となってしまいます。金利や担保・保証だけではなく、毎月の返済額も同じです。

C銀行にだけ多めに返済して、A銀行・B銀行は返済をゼロにしてもらう、というわけにもいきません。やっぱりズルい!となるからです。

よって、リスケをはじめるときの毎月の返済額は、「全銀行にゼロにしてもらう」のが基本となります(返済額は半年〜1年ごとに見直されますが、まずはゼロからはじめるのが大事)。

いくらかの返済をするのであれば、各銀行の融資残高に応じて返済するなど、あくまで公平でなければなりません。うかつに、特定銀行のみ優遇しないように気をつけましょう。

まとめ

したくはないけれど、いざとなったらしなければいけないのが、銀行融資のリスケジュールです。そのリスケジュールをNGにしないための前提条件を確認しておきましょう。

この期に及んでリスケがNGになるようでは、会社の命運は尽きてしまいます。

銀行融資のリスケジュールをNGにしないための前提条件

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