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公的融資だけの銀行対応はそろそろ危ない

公的融資だけの銀行対応はそろそろ危ない

会社の銀行融資は、公的融資だけでもじゅうぶん。そんなお話もありますが、そういった銀行対応はそろそろ危ないかもしれませんよ。というお話をしていきます。

目次

公的融資だけでもじゅうぶん、ってハナシ

会社の銀行融資には、大きく分けて2つあります。民間金融機関からの融資と、公的な融資と。このうち公的な融資は、民間金融機関からの融資に比べると借りやすいのが特徴です。

公的であるがゆえに、国の後押しもあるので、民間金融機関であれば躊躇するような場面でも融資をしてもらえた、というケースはよくあります。

ちなみに、ここでいう民間金融機関からの融資とは、いわゆる「プロパー融資(信用保証協会の保証がない融資)」であり、公的な融資とは、「信用保証協会の保証付き融資」や「日本政策金融公庫(以下、日本公庫)の融資」を指します。

この点、「年間売上高が数億円くらいまでの会社であれば、公的な融資だけでもじゅうぶんだろう」といったハナシもあるのですが、耳にしたことはありますでしょうか。

つまり、保証付き融資は無担保で8,000万円までの枠があるし、日本公庫は2,000万円くらいまでなら借りられるので、あわせて1億円くらいは借入できるから。と、そんな理屈です。

ところが、公的融資だけの銀行融資はそろそろ危ないのでは?そんなお話をしていきます。

公的融資だけの銀行対応がそろそろ危ないワケ

保証付き融資の審査が厳しくなる

冒頭でもふれたとおり、借りやすいのが公的融資の特徴です。とはいえ、公的融資の代表格である、保証付き融資にも変化が生じています。審査が厳しくなっているのです。

実際に、「保証付き融資を断られた…」というハナシを見聞きする機会が増えました。信用保証協会が公表している保証実績のデータを見ても、そのようすはうかがえます。

保証付き融資の審査が厳しくなっている要因として、まず挙げられるのが「代位弁済の増加」です。代位弁済とは、保証付き融資を受けた会社が返済できなくなり、信用保証協会が肩代わりをして銀行に返済をすることをいいます(その後、会社は信用保証協会に返済します)。

信用保証協会としても、これ以上、代位弁済を増やしたくもありませんから、保証付き融資の審査も厳しくなっている…というわけです。

以前であれば、借り換えをするとき「上乗せ」で増額借入できたのに、いまは、借り換えができても「上乗せ」まではできないというケースも増えています。

やはり、信用保証協会は「保証債務の残高を増やしたくない」のだと推測されるところです。では、どうするか?もはやいうまでもなく、民間金融機関からの融資を受けることです。

それができなければ、返済するいっぽうとなり、借入残高は減りますが、手元の預金も減るので資金繰りに窮することになりかねません。

プロパー融資があることが前提になる

保証付き融資の審査が厳しくなっている、といいました。それでも、保証付き融資をスムーズに受けられる会社の共通点があります。それは、プロパー融資を受けられていることです。

つまり、信用保証協会の保証付き融資も受けているし、民間金融機関からはプロパー融資も受けている。信用保証協会は、プロパー融資を受けている会社に対しては、融資をしやすい傾向にあります。

これは、「民間金融機関がリスクをとっているのだから、公的な機関である信用保証協会としてもリスクをとろう」ということであり、「民間金融機関がリスクをとっているのだから、信用できる会社なのだろう」ということでもあります。

結果、保証付き融資が受けやすくなるわけです。

このあたり、やはり公的な機関である日本公庫も同じように考えています。民間金融機関からのプロパー融資があると、日本公庫からの融資も受けやすいのです。

逆に、民間金融機関からのプロパー融資がなく、保証付き融資ばかりの状況となると、日本公庫としては融資がしづらくなります。日本公庫には「民間金融機関の補完」という役割もあるため、そのような状況での融資は、「民間金融機関の融資を邪魔している(民業圧迫)」になってしまうからです。

したがって、日本公庫からじゅうぶんな額の融資を引き出すためにも、民間金融機関からのプロパー融資が必要だということになります。

民間金融機関が本気にならない

民間金融機関にとって、保証付き融資とは「リスクがない、あるいは、リスクが小さい融資」です。前述したとおり、なにかあれば、信用保証協会が肩代わりをしてくれるからです。

すると、民間金融機関は、保証付き融資の融資先に対して、本気にはなりません。本気で支援をしようという姿勢が見られにくくなる、ということです。

会社の業績悪化時は、典型的な場面だといえます。仮に、融資先がつぶれてしまっても、銀行としてはダメージがない(信用保証協会が肩代わりをしてくれる)ので、追加融資はもちろん、その他の経営・財務面のサポートもしてくれない…となるものです。

また、長らく保証付き融資ばかりのお付き合いとなり、保証付き融資で相応の融資残高をとれていれば、あえてプロパー融資をする動機もなくなります。ですが、保証付き融資の審査も厳しくなっているのですから、会社は困ったことになるでしょう。

ですから、保証付き融資を受けられているうちに、保証付き融資を受けている銀行に対して、「(保証付き融資でリスクを軽減できているのだから)プロパー融資もしてほしい」と、はたらきかけることが大切になります。

それでもプロパー融資を検討してくれない銀行であれば、取引銀行を変えることも検討したほうがよいでしょう。

ただし、自社の業績が悪かったり、事業の将来性に不安があると、銀行がプロパー融資をできないのは当然です。したがって、自社の業績を改善すること(利益を出すこと)、事業の将来性をアピールすること(経営計画書の策定・提示など)も、銀行対応として重要になります。

まとめ

会社の銀行融資は、公的融資だけでもじゅうぶん。そんなお話もありますが、そういった銀行対応はそろそろ危ないかもしれませんよ。というお話をしました。

銀行融資の世界も、少しずつ変化をしています。金利上昇という背景もあって、今後は変化の加速も予想されるところです。変化をつかみ、対応していきましょう。

公的融資だけの銀行対応はそろそろ危ない

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