銀行は定量面しか評価してくれないのはなぜ?

銀行は定量面しか評価してくれないのはなぜ?

「銀行は定量面しか見ていないよね」といったハナシがありますが。その真偽のほどは?どうなのか。また、ハナシの真意はどこにあるのか?といったお話をしていきます。

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銀行が定量面しか見ないのはあたりまえ

銀行が融資審査において、会社を評価する際、「定量面」と「定性面」という2つの見方があります。

定量面とは、数字ではかれるような評価対象であり、典型例は決算書です。定性面とは、数字ではかれない、あるいは、はかりにくいような評価対象であり、ビジネスモデル(商売)や社長の資質などが挙げられます。

この点、「銀行は定量面しか見ていないよね」といったハナシは、社長であれば見聞きしたことがあるかもしれません。つまるところ、銀行は決算書しか見ていないといったハナシです。

よって、融資を受けようとしても、決算書の内容がよくないと断られてしまう…銀行は、定性面だって評価をするものではないのか!と、怒りだす社長もいるでしょう。

ですが、銀行は定量面しか見ていないわけではありません。ここでまず押さえておきたいのが、定量面と定性面のバランスです。1つのイメージとしてお伝えするのであれば、銀行は定量面を全体の7〜9割くらいのウエイトで見ています。

さらにいえば、大きな銀行ほどウエイトは高く、小さな銀行ほどウエイトは小さく、都市銀行は9割、地方銀行は8割、信用金庫・信用組合は7割といった感じです。

つまり、都市銀行はシビアに数字で判断する傾向があるのに対して、信用金庫・信用組合は数字以外の定性面もできるだけ評価しようとする傾向があり、地方銀行はそのあいだくらいとなります。

なので、自社が大きな銀行から融資を受けようとすれば、定量面のウエイトは高く、「銀行は定量面しか見ていないよね」というハナシは当然だといえるわけです。

中小企業は、大企業ほど数字に強さはありませんから、そう考えると、中小企業が融資を受けるのであれば、地方銀行や信用金庫などがよいだろう(定性面も見てくれる分、融資が受けやすい)ということになります。

定性面は定量面ありきといえる

さて、「銀行は定量面しか見ていないよね」というハナシには、また別の側面もあります。前述した、大きな銀行ほど数字をシビアに見るというのとは別の側面です。

では、別の側面とは何なのか?それは、定性面は定量面ありきだということです。

たとえば、決算書を見たときに大赤字で、大幅な債務超過だとしたらどうでしょう。これは、定量面がボロボロということであり、この場合に銀行は、「定性面を見るまでもない(融資はできない)」と考えることはありえます。

都市銀行や地方銀行に比べて、できるだけ定性面を評価しようとする信用金庫でさえ、定量面が本当にボロボロであれば、さすがに定性面の評価もできないことはあるわけです。

だとすれば、定性面の評価というのは定量面ありきであって、少なくとも、定量面があるていどは評価できることが前提だといえます。

ところが、社長のなかには、定量面がボロボロなのに「もっと定性面を評価しろ!」といった考えを持っていたり、それを銀行にぶつけたりするケースもあるようですが、見当違いだとわかります。

銀行はたしかに定性面も評価をしますが、それは「定量面が悪くてもいい」ということではありません。定量面はよいに越したことがないのです。

また、定性面は定量面の根拠であるとか、定量面は定性面の結果であるともいわれます。つまり、定量面で結果が出ていなければ、定性面に説得力も出ないわけです。

なので、社長が定性面をアピールできるのは、定量面で結果が出ているときだと考えておきましょう。

銀行単独では定性面を評価できない

「銀行は定量面しか見ていないよね」というときに、実は、銀行が定性面を評価したくとも評価ができない…というケースもあります。たとえば、ビジネスモデル(商売)の良し悪しについて。

極端をいうと、銀行担当者がその会社のビジネスモデルを理解できていなければ、定性面での評価は進みません。いやいや、銀行担当者がビジネスモデルを理解できていないなんてあります?

と、おもわれるかもしれませんが。ありえます。なぜなら、ビジネスモデル(誰に・何を・どのように売るか)は、決算書を見ていてもわからないからです。

ゆえに、銀行担当者は、社長など会社からの情報提供がなければ理解できないこともあります。結果として、定性面を評価したくとも評価ができないことはあるのです。

だったら、そう言ってくれればいいのに。と、おもわれるかもしれません。ところが、銀行担当者も「いまさらそんなことを聞いたら怒られそう」などと、聞くに聞けないケースもあるそうです。

また、銀行担当者も忙しいので、わざわざ話を聞くのもメンドーだということもあります。だとすれば、会社はビジネスモデルを図解(商流図と呼びます)して、それを銀行担当者に渡すなどして情報提供するのが有効です。

ほかにも、現状分析からはじめる事業計画書などは、銀行が定性面を評価するにあたって、役に立つ情報提供になるといえるでしょう。

とにもかくにも、銀行に定性面を評価してほしければ、会社からの情報提供も必要であることを忘れてはいけません。受け身の姿勢であれば、定量面しか評価されないのは必然です。

まとめ

「銀行は定量面しか見ていないよね」といったハナシがありますが。その真偽のほどは?どうなのか。また、ハナシの真意はどこにあるのか?といったお話をしました。

定量面と定性面について、銀行の見方・考え方を理解しておきましょう。そこがわかっていないと、銀行の評価について社長のイメージと大きなギャップが生じてしまいます。

銀行は定量面しか評価してくれないのはなぜ?

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