社長が継続して押さえておくべき残高3つ

社長が継続して押さえておくべき数字として、「残高」が挙げられます。といっても、何の残高を押さえておけばよいのか。そして、なぜその残高を押さえておく必要があるのか?お話をします。

目次

聞かれたら答えられるか

社長が継続して押さえておくべき数字、というものはいろいろですが。「残高」という点では、とくに押さえておくべものが3つあります。ずばり、次のとおりです↓

  • 預金
  • 借入
  • 純資産

さて、これらの残高といわれて、あなたは自社の残高を覚えているでしょうか。聞かれたときに、答えることができるでしょうか。答えることができないのであれば、継続して押さえておくのがおすすめです。

継続して押さえておくとは、最近の残高はもちろん、過去の残高からの流れ(推移)を把握しておくことをいいます。ではなぜ、継続して押さえておく必要があるのか?

このあと、確認をしていきましょう。

社長が継続して押さえておくべき残高、その理由

預金

社長が継続して押さえておくべき残高、1つめは「預金」です。預金とは、いうまでもなく「おカネ」であり、そのおカネが無くなれば会社はおしまいを意味します。

ゆえに、社長であれば誰しも、預金残高を気にはしているでしょう。ところが、継続して押さえているかどうかはまた別です。たとえば、半年前の預金残高は?前年同月の預金残高は?

どのような事業にも、多かれ少なかれ季節変動があるものです。なので、業況(年間売上高や年間利益など)は変わらないにしても、半年前の預金残高と比べて増減はあるでしょう。

また、業況に変化があれば、前年同月とは預金残高にも差があるはずです。というように、預金残高は常に変動しているものであり、その変動を理解しておくことが大切になります。

そのうえで、預金残高がなるべく多いときに、銀行から融資を受けるようにするのです。と聞いて、「それって逆じゃないの?」と、おもわれるかもしれません。

おカネが足りないから融資を受けるのであって、おカネがあるのに融資を受ける必要はないだろう。そう、おもわれるかもしれません。違います。おカネがあるときこそ融資を受けましょう。

なぜなら、銀行はおカネがある会社にこそ貸したいし、貸しやすいからです。逆に、おカネがない会社は、返済してもらえらなくなる危険が高いので、融資がしにくくなります。

おカネがあるところに、さらにおカネは集まる。社長は、これを覚えておきましょう。

借入

社長継続して押さえておくべき残高、2つめは「借入」です。ここでいう借入とは、銀行借入を指しています。といっても、残高をできるだけ減らせるように…というハナシではありません。

むしろ、真逆です。つまり、社長は「どれだけ借入残高を増やせるか」を考えましょう、ということになります。これを聞いて、「そんなバカな。借入はないほうがいいだろう」と、おもわれるかもしれません。

たしかに、借入しなくてもいいなら、借入はないほうがいいです。ところが、借入しなくてもいい会社は、ほとんどありません。なぜなら、将来のことは誰にもわからないからです。

いまはおカネがあっても、1年後はわかりません。考えたくはないですが、大震災に見舞われるかもしれない。新型コロナのようなことが起きるかもしれない。そのときには、おカネが必要です。

もちろん、単純に業績が悪化する…ということだってありうるでしょう。そのときにもまた、おカネが必要になります。だとすれば、借りてでもおカネを持っておくことです。

借入したおカネを手元に置いておく限り、その借入はないのと同じですから、気にすることはありません。とはいえ、銀行も借入(融資)の残高を増やすことには慎重です。

この点、銀行は実績を重視していて、過去に貸したことがある残高を超える融資には、より慎重になる傾向があります。借入残高を増やすというのも、カンタンではないのです。

そこで社長は、自社の業績がよいときや、預金が多いときなど、銀行が安心しやすいタイミングを見計らって、融資を受けようとすることが大切になります。

そうして、うまく融資が受けられ、残高を増やすことができれば、それが実績となり、さらに借入残高を増やす足がかりとなります。

純資産

社長継続して押さえておくべき残高、3つめは「純資産」です。わたしが知る限り、自社の純資産の残高を即答できる社長は少数派です。つまり、多くの社長は純資産に関心がありません。

ところが、銀行にとって、純資産は大きな関心ごとです。なぜなら、純資産の大きさが、その会社の財務の安定度を示しているからです。

端的にいえば、純資産が大きい会社ほど、財務は安定しているので、銀行は融資がしやすい。純資産が小さい会社ほど、財務が不安定なので、銀行は融資がしにくくなります。

とくに、債務超過(純資産がマイナス)となると、銀行は融資をしたがりません。債務超過とは、「資産<負債」の状態でもあり、実質破たんしている会社に融資などしたくないからです。

というわけで、社長は「いかに純資産を増やすか」を考えましょう。純資産を増やす方法は、増資を除けば1つ、「利益を出すこと」です。利益の分だけ、純資産を構成する利益剰余金が増えるので、利益を出すと純資産は増えます。

逆に、赤字を出すと、その分だけ利益剰余金が減って、純資産も減ります。だとすれば、目先の税金を惜しんでワザと赤字にするなど愚の骨頂だとわかるでしょう。

銀行からの借入をしづらくし、結果として資金調達額が減り、その分だけ資金繰りが悪くなり、資金繰り破たんの可能性をみずから高めていることにほかなりません。

ですから社長は、「税金(法人税)を払わなければ、利益が増えない」ということも理解しておきましょう。

まとめ

社長が継続して押さえておくべき数字として、「残高」が挙げられます。といっても、何の残高を押さえておけばよいのか。そして、なぜその残高を押さえておく必要があるのか?お話をしました。

実は、銀行融資の受けやすさにつながり、資金繰りの良し悪しを左右するところですから、3つの残高を継続して押さえていきましょう。

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