借入金利を下げたければ預金を増やせ

借入金利を下げたければ預金を増やせ

銀行借入の金利が上がりはじめているし、これからさらに上がっていくことが予想されます。それでも、借入金利下げるにはどうしたらよいのか。預金を増やせばいい、というお話です。

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これから金利は上がっていく

きょうは、2024年11月19日です。銀行借入の金利は上がりはじめているし、これからさらに上がっていくものと予想されます。長い目で見れば、いまよりも数%ていどは上がるかもしれません。

だとしたら、社長は「金利を下げたい」と考えるものでしょう。

同じ金額を借りるでも金利が高ければ、利息が増える分だけ会社から出ていくおカネは多くなります。いっぽうで、金利が低ければ、利息が減る分だけ会社から出ていくおカネを抑えることができます。

とはいえ、どうしたら借入金利を下げられるのか?

ひとつは、利益を増やすことです。「利益=返済力」というのが銀行の見方ですから、利益が多いほど、銀行は安心して融資ができるようになります。安心できるということは、金利を下がる余地があるということです。

したがって、利益が出ている会社であれば、銀行に対して金利の引き下げ交渉をしてみるのもよいでしょう。

ですが、そんなカンタンに利益が増えるなら苦労はしない。と、おもわれるかもしれません。利益を増やす以外に、金利を下げる方法はないのか?あるなら教えてくれ。そう、おもわれるかもしれません。

あります。それは、預金を増やすことです。

預金を増やせば金利は下がる

でもなぜ、預金を増やすと金利は下がるのか。端的にいえば、銀行にとって安全度が高まるからです。A銀行から借入をするにあたって、A銀行の口座に預金が多くあるほど、A銀行は安心できます。

いざとなれば、預金と借入を相殺できるからです。そう考えると、銀行にとって預金は、担保のようなものだといえます。不動産であれ預金であれ、担保があれば金利は下がるものです。

それから、もうひとつ。実質金利という見方があります。実質金利とは算式でいうと、「(支払利息−受取利息)÷(借入金−預金)」です。

たとえば、自社の取引銀行であるA銀行に対して、支払利息20万円、受取利息ゼロ、借入金1,000万円、預金600万円だとします。このときの実質金利は、さきほどの算式にあてはめると、5%です。

ちなみに、A銀行の「表面的」な借入金利は2%です(支払利息20万円÷借入金1,000万円)。にもかかわらず、A銀行は「実質的」には5%の利息を受け取っていることになります。

1,000万円を貸しているように見えても、預金によって600万円は貸していないと同じなので、400万円を貸すだけで20万円の利息をえられているから、ですね。

つまり、同じ金額を貸すでも、預金をたくさんしてもらえるほど、銀行はもうかります。だとすれば、預金が多いほど、表面的な金利(以下、表面金利)を下げる余地があるとわかるでしょう。

預金を増やせば、金利は下げられるということです。いやいや、それならやっぱり利益を出さないとダメじゃないか…と、おもわれるかもしれません。預金を増やすには、利益を出さねばならない。

かというと、そうでもありません。たしかに赤字はマズいですが、利益以上に預金を増やすことはできます。それが銀行借入です。借入によっても、預金を増やすことはできます。

預金を増やしたければ借りればいい

そんなバカな、とおもわれたかもしれません。預金を増やすために借入を増やすだなんて…と。ですが、借りたおカネは使わずに持っている限り、借りていないといっしょです。

1億円の借入をしても、1億円の借りたおカネがあれば、いつでも完済できます。そして、おカネに色はありませんので、1億円のおカネの元が利益であろうと、借入であろうと1億円は1億円です。

銀行は、その預金を見ていることを理解しておきましょう。

借りてでも預金が増えれば、銀行にとっては安心材料になります。つまり、金利の引き下げ余地が生まれるということです。また、日本政策金融公庫からの借入を活かすことで、金利を引き下げることもできます。

日本政策金融公庫には預金ができないため、日本政策金融公庫から借りたおカネは、どこか別の銀行に預けなければいけません。このとき、すでに融資を受けている銀行に預けるとどうなるか?

お気づきのとおり、その銀行の実質金利が上がります。実質金利が上がるということは、金利を引き下げる余地が増えるということです。なので、金利引下げ交渉の材料になります。

なお、金利引下げ交渉をするときには、交渉先の銀行を間違えないようにしましょう。仮に、「実質金利5%、表面金利2%」のA銀行と、「実質金利3%、表面金利2%」のB銀行があったとして、どちらの銀行のほうが金利を下げてもらいやすいか?

実質金利が高いA銀行のほうが、表面金利を下げる余地がある分、交渉しやすいといえます。逆に、同じ表面金利でもB銀行のほうは、交渉の難易度が高いといってよいでしょう。

まとめ

銀行借入の金利が上がりはじめているし、これからさらに上がっていくことが予想されます。それでも、借入金利下げるにはどうしたらよいのか。預金を増やせばいい、というお話でした。

ところで、借りてでも預金を増やすのなら、借入が増えるのだから、金利が下がっても支払う利息は増えるのではないか?と、おもわれるかもしれません。ですが、必要コストです。

盤石の資金繰りを考えるなら、年間売上高の半分ていどの預金を持つのがおすすめであり、そのための借入であれば、借入利息はそもそも必要なコストだといえます。預金を増やすことで、その必要コストも引き下げることだできる、というお話です。

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