利益は意見、キャッシュは事実。ってどういうこと?
それは、会計の世界で知られる有名な格言です。ほかにも、会計や経理、財務に関する名言・格言が存在します。
というわけで。会計・経理・財務にかかわる者が愛すべき名言・格言をご紹介です。
会計・経理・財務にかかわる者が愛すべき名言・格言
会社の経営者や経理・財務の担当者。個人事業主やフリーランスなどなど。
会計・経理・財務にかかわる者にとって、技能や技術以外にも知っておくべき「心がまえ」や「姿勢」があります。
そんな「会計・経理・財務」に関する心構えや姿勢を説いた、名言・格言をご紹介します。次の5つです。
【 会計・経理・財務に関する名言・格言 】
- 利益は意見、キャッシュは事実
- 回収は早く、支払いは遅く
- 入るを量りて出ずるを為す
- 値決めは経営
- 利益は、顧客満足の総和
気に入ったものがあれば、ぜひ座右の銘として携えてみてはいかがでしょうか。
それでは、それぞれの名言・格言について、順番にみていきましょう。
『利益は意見、キャッシュは事実』by 出所不明
「会計は意見を表し、現金は真実を表わす」とも言われます。
この言葉の意味は、「利益(会計)」には会社(あるいは経営者)に裁量の余地があるが、「キャッシュフロー(現金の動き)」にはその余地が無い。そんなカンジです。
少々説明を加えますと。利益を計算するにあたって会計や経理のルールは存在しますが、ガッチガチに縛られるものでもありません。
たとえば、「10万円のパソコンを現金で買った」場合。経費にするか、資産にするか。そこには選択の余地があります。たったひとつのやり方が正解で、あとはすべて不正解というものではありません。
このとき、10万円を経費にすればその分だけ利益が減ります。資産にすれば利益は減らない(厳密には減価償却費分は経費として利益が減ります)。どちらをとるかは、会社しだい、経営者しだいです。
いっぽうで。「10万円のパソコンを現金で買った」ことについて、「キャッシュフロー(現金の動き)」には選択の余地がありません。現金10万円が減りました、以上。
して、ここから得るべきいちばんのポイントは? それは、利益とおカネ(現金)は別モノだ、ということです。
利益は操作して粉飾もできるが、現金について粉飾はできません。そんな浮わついた利益だけを見ているのではなく、現実としての現金をちゃんと見ようぜ。そのような理解です。
えっと、別に粉飾の有無はどっちでもいいですね(良くはないけど)。要は、世の中にある「利益」は過信され気味、過大評価され気味の傾向があるので気をつけよう。現実である現金にも気をつけよう。そういうこと。
ちなみに、この格言・名言の出どころは調べたけれどもわかりませんでした。
かつて世界の携帯電話シェアナンバー1を誇ったノキア社がつくったシャツに、「Cash is reality. Profit is a matter of opinion(現金は真実、利益は意見)」とのプリントがあったとか。
これが出どころ? いや、考え方としてはもっと昔からあったんでしょうねぇ、たぶん・・・
『回収は早く、支払いは遅く』by 出所不明
これまた、出どころがわからないコトバではありますが。会計業界では有名な格言となっております。
意味は、言葉どおり。おカネをもらう(回収)のは少しでも早く、おカネを払う(支払)のは少しでも遅く。そうすれば自分の手元のおカネは潤うよね、と。
なんだか「オマエのものはオレのもの、オレのものはオレのもの」的なジャイアニズムにも通ずる格言でございますね。
それはそれとして。いわゆる「資金繰り」の観点で言えば、たしかにこの格言どおりにおカネを動かすことがベストです。回収は早く、支払いは遅く。
とはいえ。実行段階では当然のごとく注意が必要です。あまりに世間の常識とかけ離れた「早期回収・遅期支払」では取引先を失いかねず。お友達をなくします。
だいたい、「支払サイトを伸ばしてください」などと安易に言おうものなら、「あの会社はおカネに困っているのではないか?」とのウワサにもなりかねません。
よくよく相手の顔色をうかがいながら、時期を見て、適度な加減で実行するが吉。機を見るに敏、がポイント。
言うは易し行うは難しで、額面通りにそのまんま受け取ってはいけないよ。というのが「回収は早く、支払いは遅く」の格言です。気を付けて。
『入るを量りて出ずるを為す』by 五経「礼記」
やっと出どころがわかる名言の登場です。入るを量りて出ずるを為す。「いるをはかりていずるをなす」と読みます。
中国から伝わった儒教の基本経典「五経」。易経、書経、詩経、礼記、春秋の五部から成り、そのうちの「礼記」に納められた言葉です。
その意味は、「まず収入ありき、支出はそれに応じて(ムチャをしない)」という、国家財政の姿勢を説くもの。
転じて、国家財政のみならず、企業でも家計でも、およそおカネの出入りがあるところであればどこにでも通ずる心構えである。とも言えます。
身の丈(収入)以上の散財をする、というのは程度の差こそあれ、そこかしこに起きていることであり。そんなときには、たちどころに戒めの言葉として効果を発揮することでしょう。
しかしながら、この格言について偏った理解をしてしまうと。なにごとも「いまある収入」の範囲内で、という縮小均衡に陥りやすく。じゅうぶんに気を付ける必要があります。
とくに企業においては、収入はがんばりしだいなのであるから、「支出を削るばかりでなく、収入も伸ばそうぜっ!」という気概は忘れずに。
企業の収入は、会社員の給料のごとく固定的なものではない。そういうことです。
『値決めは経営』by 稲盛和夫氏
名言である「値決めは経営」も、それを語った稲盛和夫さんも。もはや説明不要というくらいにメジャーではございますが。
会社(あるいは経営者)にとって。値決めはいかようにもできる、自由なものです。価格を高く取るも、安く取るも会社しだい。その結果で利益が決まります。
会社の命運は、会社自身の値決めにかかっているわけです。それくらい真剣に、値決めは考えなさい。それが経営者の仕事ですよ、と。
ところで。最近、「値決め」についてこんな話を耳にしました。それは、「〇〇の価格に、×××円なんてありえない!高過ぎる!」という主張。
ここで言う〇〇というのは、なにかしらの商品とかサービスだと思ってください。たとえば、モノであれば「パン」とか、サービスであれば「コンサルティング料」とか。
仮に「パン」ということであれば、さきほどの主張はこうなります。「パンの価格に、1欣 3,000円はありえないだろ!」みたいな。
たしかに、世間一般で言えば、パン1欣は何百円という単位であって、3,000円は高すぎる。けれども、自分の商品を値決めしようと言うときに「世間一般」から入るのはいかがでしょう?
事実、1欣千円単位という高級パンが飛ぶように売れているという成功事例はあり。世間一般のパン価格に縛られていたのでは、ありえない値決めだったわけです。ありえない成功。
ウチのパンと、となり町のパン屋とでは、同じパンではないはずです。
〇〇の価格に×××円なんて、常識的にありえない、ムリ。値決めにあたっては、そんな先入観を捨てましょう。わたしじゃない。あの稲盛和夫さんが、そう言っているのです。
『利益とは、顧客満足の総和』by 松下幸之助氏
さいごは経営の神様・松下幸之助さんの名言です。利益とは、顧客満足の総和である。そうおっしゃっています。
実は、直接そうおっしゃったのではなく。松下幸之助さんのある言葉を、書籍「経営の教科書」の著者・新将命さんにより解釈されたのが「利益とは、顧客満足の総和である」になります。
その松下幸之助さんの言葉とは、「我が社が十分に利益を上げていないとすれば、それは十分に顧客満足を果たしていないせいだと思え」。はい、すみません。がんばります。
つまり。自社の商品やサービスに顧客が満足しているのであれば、それらは売れる。利益が増える。
したがって、逆に売れないのであれば、利益がないのであれば、顧客は不満(あるいは無関心)だということです。
そう考えますと。利益は、自社の商品・サービス価値のあらわれであり、会社自体の価値のあらわれでもあり。やはり利益は大きいに限る、と思うわけです。
なにを言いたいかというと。目先の納税を恐れて、過度な節税(ほんとうは節税とは呼べないムダ使いだけれど)で利益を減らすなんて、愚行以外のなにものでもないよね。ということです。
納税を嫌えば、利益に嫌われ、結果、顧客にも嫌われる。そういう理解でいかがでしょう。
利益が少ない(=顧客満足が小さい)会社だと思うと、その商品・サービスまでもが輝きを失ってしまいそうです。
まとめ
会計・経理・財務にかかわる者が愛すべき名言・格言5選についてお話をしてきました。
いずれの名言・格言も、すぐに実行に移せて、有効なものばかり。
あなたお気に入りの名言・格言を頼りに、迷い多き会計・経理・財務の道を進んでいきましょう!
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きょうの執筆後記
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