資金繰り表のつくり方がわからない。見方がわからない。資金繰りってそもそもどういうこと?
そんな話をよく聞きます。多くの人にとって、「資金繰り」はなじみ深いものとは言えず、よくわからないのも無理はありません。
というわけで。初心者でもよくわかる、資金繰りが学べるおすすめ本をご紹介していきます。
初心者こそ、学ばねば会社を潰す「資金繰り」
「資金繰り」に関するおすすめ本のご紹介をする前に。その「資金繰り」について、とても大事なことをひとつ確認しておきましょう。
おカネが無いから会社は潰れる
いきなり、会社が潰れるだなんてフキンシンな! と思われたかもしれませんが。けれども、これはとても大事な「事実」です。
会社はおカネが無くなったときに潰れます。売上や利益が無くなったとき、減ったときに潰れるわけではありません。
言い換えると。売上や利益が無くても、おカネがあれば会社は潰れない。いっぽうで、いくら売上や利益があっても、おカネが無ければ会社は潰れます。
だから、売上や利益ばかりではなく、「おカネ」についても管理しなければいけない。その管理の考え方・手段が「資金繰り」なのです。
会社を潰さないためには、潰してしまう可能性を少しでも下げるためには、「資金繰り」が必要不可欠。いますぐ、資金繰りを学びましょう! とはいえ、
そうは言うけどさぁ、売上や利益があるのにおカネが無いなんて、ほんとうにありうるわけ?
という気持ちもわかります。急に資金繰りが大事だなんて、言われてもよくわかりませんものね。
そこでこれから、「初心者でもよくわかる!資金繰りが学べるおすすめ本」をご紹介してきます。次の3冊です ↓
- これだけは知っておきたい「資金繰り」の基本と常識/小堺桂悦郎さん著
- 間違いのない資金繰りのツボがよくわかる本/西口貴憲さん著
- 社員10人までの小さな会社の資金繰りがよくわかる本/上坂朋宏さん ほか著
これだけは知っておきたい「資金繰り」の基本と常識/小堺桂悦郎さん著
資金繰りコンサルタントとして、数々の書籍を執筆されている小堺桂悦郎さんの著書。
とにかくわかりやすい。そして、必要なことがコンパクトに網羅されている。
資金繰りについて学ぼうと思ったら、まずはこの本から読まれることを強くおすすめします。
そんな本書の構成は、以下のとおり ↓
プロローグ なぜ資金繰りの方法を学ぶことが大切なのか?
第1章 これだけは押さえておきたい資金繰りの基本
第2章 借りられるようになるために必要な基礎知識
第3章 銀行が「貸したい会社」「貸したくない会社」
第4章 融資が受けやすくなる銀行交渉術と資料づくり
第5章 返済額は減る! あなたにもできる返済猶予
第6章 ワンランク上の資金繰りと銀行交渉のコツ
「資金繰り」という考え方・手段がなぜ必要かにはじまり、銀行融資についてのノウハウ・テクニックまで幅広く触れられています。
また、本書のなかで説明される各種書式(資金繰り表など)がダウンロードできるのも、初心者にはうれしい特典でしょう。
本書から気になるひと言
著者の小堺桂悦郎さんは、次のようにおっしゃっています。
資金繰りは税理士や会計士に聞いてもわからない
税理士は税金の専門家であり、会計士は会計の専門家なのだから、資金繰りや融資について聞いてもダメですよ、と。
まぁ、そうでしょう。わたし自身は、「融資に強い税理士」と謳っておりますが、そのような税理士は相対的に見て多くはありません。
それはそれとして。わたしがここでひとつ付け加えたいことは、資金繰りの当事者は「会社・経営者」自身だということ。
自分のおカネは当然に自分のものとして考える。であれば、資金繰りがわからない、知らないということではいけません。さぁ、資金繰りを学びましょう。
間違いのない資金繰りのツボがよくわかる本/西口貴憲さん著
政府系金融機関の勤務経験を持つ中小企業診断士・西口貴憲さんの著書。
「改善から新たな調達手法まで会社を元気にする「基本と実践方法」70」のサブタイトルのとおり、すぐに実践可能な具体的手法がたくさん盛り込まれています。
内容は盛りだくさんながらも、見開き1ページで1テーマのボリュームで、さくさくと読みやすいのも特徴です。
そんな本書の構成は、以下のとおり ↓
第1章 資金繰りとはなんだろう
第2章 資金増減の仕組みを知り、資金を増やす
第3章 資金調達にはいろいろな方法がある
第4章 資金繰り表の見方と作り方を知る
第5章 資金繰りを分析して役立てる
資金繰りのみならず、銀行融資その他「資金調達」にまで触れられ、幅広く学ぶことができます。
なお、第5章の「資金繰りの分析」についてはやや難易度が高く、読者の意気込みしだいといったところです。資金繰り表のその先にある応用編、学びがいアリです。
本書から気になるひと言
著者の西口貴憲さんは、次のようにおっしゃっています。
預金は「資金」だが、売掛金や手形は「資金」ではない
これは、「資金とはなにか?」ということを表わしています。預金が資金だなんて、あたりまえだろうと思われがちですが、とても大切なことです。
資金繰りを学ぶにあたって、資金繰りの対象である「資金」がなんなのかがわかっていなければ困るからです。
では、資金とはなにか? 現金と預金のみが「資金」、それ以外のすべては「資金」ではない。それが答えです。
資金以外の売掛金や手形、在庫、買掛金その他をいかに「資金(現金と預金)」に変換して会社を守るか。それを思案し、実行するのが「資金繰り」。覚えておきましょう。
社員10人までの小さな会社の資金繰りがよくわかる本/上坂朋宏さん ほか著
公認会計士・税理士の上坂朋宏さんほかによる著書。
この本は、これまでの2冊とは少々「毛色」が異なります。読者を主人公としたストーリー仕立てになっています。主人公はとあるレストランのオーナーです。
料理にかける情熱とは裏腹に、どんぶり勘定の「おカネ」について。四苦八苦しながら、少しづつ資金繰りを学んでいく物語。
物語と言えども決して抽象的な話ではなく。臨場感ある具体的な数字、管理書式を用いた非常に実践的な内容に、感情移入しながら没頭できるのが特徴です。
そんな本書の構成は、以下のとおり ↓
第1章 資金トレーニング前の準備運動~極意!資金繰りを良くするには○○を払う?~
第2章 資金トレーニング メタボリック症候群~ああ無情!借金まみれの商売人生~
第3章 資筋(金)トレーニング トレーニング実践編
第4章 資金トレーニングクールダウン~資金はこうしてチェックしよう!~
レストランを舞台にした物語ではありますが、「資金繰り」の考え方自体は業種関係ありません。
損益計算書に表れる利益はなにを意味しているのか? 利益とは別に、おカネにはどれだけの余裕があるのか? 設備投資をするときの借入金が将来どう影響するか? など。
そんな「よくある疑問」についての答えを、主人公は「よくある失敗」をしでかしながら学んでいきます。
多くの経営者は、資金繰りの大切さを失敗することで学ぶと言います。けれども、失敗しなくて済むのであればそのほうが良いに決まっています。ならば、本書で失敗体験をしてしまいましょう。
本書から気になるひと言
著者の上坂朋宏さんほかは、次のようにおっしゃっています。
「情熱」とは違い「お金」には制限があります。
文字どおりですね。情熱はいくらでもかけられる。でもおカネはそうはいかない。限りがある。
経営者は、自分の会社・事業に目いっぱいの情熱を傾けるのが仕事だと言えます。しかし、それもおカネあってのこと。
おカネが無ければ、経営者は資金繰りにとらわれ、会社・事業に集中することができません。
限りある資源である「おカネ」をどう扱えばよいのか。「資金繰り」で学びましょう。
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きょうの執筆後記
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