専門家が専門分野について記事を書くときに、気をつけることってなんだろう?
専門性が高い記事を書くときに注意すべき、3つのことについてお話をしていきます。
専門家が専門性が高い記事を書くときに注意すべき3つのこと
わたしはこのブログで、「経理・会計・税務」と「銀行融資」の2つについて、自分の専門分野として記事を書いています。
いずれの分野も一般的には馴染みが薄く、専門性が高い内容ではありますが、「できる限り易しい」記事を心がけています。
その分野の初心者や入門者でも理解できる、それがわたしにとっての理想です。
このようなスタンスで「専門性が高い記事」を書こうとするとき、特に注意をすべきことがあります。それは次の3つです↓
- 専門用語を使いすぎない
- 法律を根拠にした説明に頼らない
- 具体例を盛り込む
それではこのあと、それぞれについて順番に見ていきましょう。
【補足】専門性が高い記事を書くときのスタンスの違い
わたしのように「専門性が高い記事を初心者や入門者に向けて書く」というスタンスのほかにも。「専門性が高い記事を専門性が高い人に向けて書く」というスタンスもあります。
その場合の記事を書く際の注意点は、当然に上記とは異なりますことを申し添えます。
専門用語を使いすぎない
初心者・入門者に向けて記事を書くのであれば、「難しい表現」をできるだけ避けるというのは当たり前のことと言えます。
「難しい表現」の典型として挙げられるのが「専門用語」。初心者・入門者にはとっつきにくいことを知りながら、ついつい専門用語を使ってしまうのが専門家です。
たとえば、税金分野における「配偶者の合計所得金額」なる言葉。こんな言葉が突然あらわれたらどうでしょう? おそらく「フツーの人」には、なんのことやらわからないはずです。
ところが、世の中に出回っている「初心者向け・入門者向け」とされる記事を見ていると。なんの前触れもなくこのような専門用語が使われている記事があることに気づきます。
「所得ってなに?」というカンジですし、そもそも「配偶者」という言葉づかいにしても非日常的です。専門用語が過ぎると、読み手の理解は遠のくばかり。
それでも専門用語を使ってしまうのはなぜなのか。その理由は2つあります↓
- ラクだから
- 厳密性を損なうリスクを取りたくないから
というわけで。書き手がラクをしていると専門用語は多くなります。誰にでも理解しやすいカンタンな表現に置き換えることは手間のかかることだからです。
したがって、意識があるかないかは別にして、なんの解説もなく専門用語が使われることは少なくありません。
それに付随してもうひとつ。カンタンな表現に置き換えることにより、専門用語が本来持っていた「厳密性」は少なからず失われます。
厳密性が失われると、なんだか「不正確なこと・間違ったこと」を言っているような気がして、リスクを感じることがあります。
事実、たしかにリスクです。けれども、重箱の隅をつつくかのような厳密さを、初心者・入門者が求めるものでもないでしょう。それよりも、わかりやすさを優先すべきです。
読み手の理解を最優先するならば。書き手はラクをせず、リスクを取る。それは書き手のスタンスであり、覚悟の問題です。
法律を根拠にした説明に頼らない
専門性が高い記事を書く際。その結論の根拠として「法律」を持ち出すことがあります。
つまり。「所得税法 第○条が、この結論の根拠です」といった具合。もちろん、専門家として根拠を示すことができる能力は必要です。
しかし、そのような根拠を示された初心者・入門者からすれば、見たことも聞いたこともない法律など腰が引けるばかりでしょう。法律条文を見せられても、扱いに困ってしまいます。
たとえば。「〇〇の支払は、経費になりません」という結論があった場合。「所得税法の第○条に書いてあるから」では、読み手に対する説得力としては心もとありません。
法律どうこうよりも、なぜそういう結論なのか、その「理由」を教えてくれ。読み手はそう考えることでしょう。
ですからわたしは、法律による「根拠」を語ることに頼り過ぎないようにしています。それよりも、結論の「理由(=なぜ)」を語ることにチカラを入れます。
なぜ〇〇を経費にしてはいけないのか、経費にするとなぜ問題になるのか。結論の理由を、法律とは別の言葉でお話しするのです。
結論もその根拠たる法律も「HOW(どうする)」に過ぎません。その「HOW(どうする)」の理解を助ける・深めるものとして「WHY(なぜ)」が必要だと考えています。
結論を述べるとき、「WHY(なぜ)」がともにあるかを確認しましょう。繰り返しになりますが、法律は「WHY(なぜ)」ではありません。
具体例を盛り込む
気がつけば、ものごとの基準やルールといった「抽象的」なことばかりを書いていて。「具体的」な話がさっぱり無い、ということにも気をつけなければいけません。
つまり、「たとえばバナシ」が無いということです。具体的な事例無しに抽象論ばかりでは、実際のイメージがわきにくいことでしょう。
例を挙げると、「確定申告で医療費控除の対象になる医療費とは?」ということについて。「診療や治療目的の費用が対象で、美容や予防目的は対象外」というのは抽象論です。
これに対して、「予防接種は対象外です」「薬局で買ったビタミン剤は対象外です」「歯科のホワイトニングは対象外です」などというのが、たとえばバナシです。
このように「たとえばバナシ」があるほうが、抽象論(美容や予防目的は医療費控除の対象外である)も納得しやすい。そうは感じませんか。
逆に、具体例ばかりだと「要するに○○」ということがわかりにくくなることは、併せて注意をしておく必要があります。抽象と具体はバランスが大切なのです。
ただどちらかというと、具体例が欠けることのほうが多く見られます。具体例を挙げるのは、手間がかかるからです。例を挙げれば挙げるほどメンドーになるからです。
具体例については、書き手が感じるメンドーよりも、読み手が感じるわかりやすさを優先しましょう。
「たとえば、〜」という話ができているかどうかです。読み手は「たとえば?」を求めているものですし、「たとえば」で納得するものです。
まとめ
専門性が高い記事を書くときに注意すべき3つのことについてお話をしてきました。
専門家は、初心者や入門者を相手にしていることを忘れずに。まるで専門家を相手に話をしているような記事にならないように気を付けましょう。
- 専門用語を使いすぎない
- 法律を根拠にした説明に頼らない
- 具体例を盛り込む
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きょうの執筆後記
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