” お金を手に入れる方法とは… ”
を、易しく、かつ、明瞭に説いてくれる1冊「おカネの教室(著・高井浩章さん)」を紹介します。
お金を手に入れる方法とは? そもそもおカネとは?
きょう紹介する本は、
『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』 著・高井浩章 さん
本書の冒頭、次のような問題提起がなされます ↓
- かせぐ
- ぬすむ
- もらう
この3つ以外に、お金を手に入れる方法を3つ挙げなさい
この問題を投げかけられたのは、登場人物である「サッチョウさん」と「ビャッコさん」。ともに中学2年生の男女です。
投げかけたのは、その2人がひょんなことから参加をすることになった「そろばん勘定クラブ」の顧問である「カイシュウ先生」。
この3人の登場人物を中心とした物語形式で、本書のハナシは進みます。
で。さきほどの問題「お金を手に入れる方法」とは?
大人でも考え込んでしまう問題です。ゆえに、まだ中学2年生の2人は悪戦苦闘します。
ああでもないこうでもないと悩み、ときにカイシュウ先生の導きがあり。少しずつ「答え」に近づいていく。その過程こそが、多くの読者を理解に導くおすすめポイントです。
大人はもちろん、子どもにもぜひ読んでほしい! と思っていたら。
この本はもともと、著者の高井浩章さんが、「家族内の回覧読みもの」として連載をしていたそうです。いまでは3人のお嬢さんが読者とのこと、どうりでわかりやすいわけです。
物語は、「お金を手に入れる方法とは?」にとどまらず、広く経済や金融の話にまで及びます。
そのようなテーマではありがちな「教科書的説明」や「抽象論」に終止しません。
親の職業、第二次大戦、過払い金返還請求訴訟、リーマン・ショック、ピケティの不等式、ビットコインの登場などなど。それらに対する経済・金融的な見方や考え方とは?
そんな「身近にある具体的事例」と「実際の出来事」を切り口にした展開により、モヤモヤせずに腹落ちしやすい。結果、気持ちのよい読後感が味わえます。
” そもそもおカネって、なんなの? ”
そう聞かれてもよくわからない、うまく答えられない。子どもに聞かれたらどう言おう…
という人(かく言うわたしもそうでしたが)にはおすすめの本書。小説的要素もあり、退屈せずにさいごまで楽しく、「お金の本質」を学ぶことができる1冊です ↓
このあとは、わたしが本書から選んだ「名言」をご紹介しながらレビューします。
たとえ10円、100円でも「かりる」には信用がいる
『おカネの教室』から選んだ、高井浩章さんのひとつめの名言はこちら ↓
借金という行為を支えるのは、突き詰めると借り手の信用です。信用してもらえる態度を示すのは借金の基本です
当ブログサイトでは、「銀行融資」をテーマにした記事を多く投稿していますので。「かりる」には注目をしていました。
ちなみに、冒頭の問題提起「お金を手に入れる6つの方法」のひとつが「かりる」になります。
これで、「かせぐ、ぬすむ、もらう、かりる」の4つ。残りの2つは、読んでのお楽しみです。
さて、「かりる」について。上記の名言では、借金をするにあたっての、借りる側の基本姿勢が示されています。
「かりる」には、借り手に信用がなければいけない。そのために、借り手は信用してもらえる態度を示す。
ところが、現実の世界では。「おカネが無くなってしまった」「おカネが足りなくなってしまった」と、銀行に駆け込む会社・個人事業者は少なくありません。
おカネは急に無くなったり、足りなくなることはまずありませんから、「駆け込む」こと自体、貸す側は信用を見出すことが困難になります。
これを棚に上げて、「貸し渋りだ」などと文句を言うのでは逆ギレです。「かりる」とはなんたるかを知らない不届き者の烙印を押されるばかりです。
この点、カイシュウ先生は「友人から10円、100円を借りるのも同じ」と触れています。たかが10円、の態度ではいけません。借金には友情を揺るがす破壊力があるのだ、と。
返すアテもないのに「かりる」のはただの無謀
それでは2つめの名言を ↓
借金に付きモノの金利というコストを吸収する『かせぐ』の裏付けです。それがない限り、カネなんて借りるもんじゃない。
ほんとうにおカネに困ると、いわゆる「高利貸し」からでもおカネを借りようというハナシがでてきます。
なぜなら、銀行は「ほんとうに困っている」相手におカネは貸しません。と言うか、貸せません。
預金者から預かった大事なおカネを貸し出すのですから、「返してもらえる」相手に貸すのが銀行の仕事です。「ほんとうに困っている」相手には危なくて貸せないのです。
そこで、ほんとうに困ると「高利貸し」をアテにします。高利貸しはおカネを貸してくれます、でも「利息が高い」。代償です。
それでも、なんとか事業を継続するために、高い利息を支払ってでもおカネを借りる。
無理です。目の前は乗り切ることができても、長続きするはずがありません。
利益も出ていない会社(ほんとうに困っていればそうなる)が、10%だ15%だというような金利を負担できるはずがない(闇の世界であれば、金利はもっと高い…)。
仮に利益が出ていたとしても、そのような会社の利益率(利益 ÷ 売上)はせいぜい数%です。その何倍もする利率の金利を負担しようだなんて、論理が破綻しています。
そう考えれば、ほんとうに困っている相手に銀行が貸さないというのは、ある意味で借り手想いです。貸すも親切、貸さぬも親切。と、本書でも触れられています。
借りたいのであれば、金利を負担できるだけの稼ぎが必要。無理をしても一時しのぎに過ぎないことを、ゆめゆめ忘れてはいけません。
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きょうの執筆後記
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