税理士選びで「よくある間違い・勘違い」をまとめてみました。
とくに、「はじめての税理士選び」というあなたはご注意を。
税理士選びの「間違い・勘違い」あるある、とは?
日本にいる税理士は8万人弱。けっこう居ます。
税理士事務所は3万弱。けっこうあります。
そんなけっこうな数の税理士・税理士事務所のなかから、いざ「税理士を選ぼう、探そう、見つけよう」というときのために、お話をしておきます。
税理士選びで「よくある間違い・勘違い」について。次のとおりです ↓
- 税理士事務所の職員はみんな税理士だ
- 大きな税理士事務所が安心だ
- 税理士は税金の計算をする人だ
- 税理士報酬は安いほうがいい
- 税理士は経営のことをよくわかっている
- 人から紹介してもらう税理士は安心だ
これらは、気をつけないと「間違い・勘違い」になってしまいます。
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
《間違い・勘違い①》税理士事務所の職員はみんな税理士だ
税理士事務所に勤めている職員は、「全員が税理士」というわけではありません。
税理士資格を持っている人もいれば、勉強中の人もいます。勉強をしていない人(税理士になる気はない人)もいます。
これをもって、税理士資格がある人がスゴくて、資格がない人や勉強をしていない人がダメだ。と言う気はさらさらありません。
ただただ、「全員が税理士ではない」という事実を述べるのみです。ときおり、間違い・勘違いをしている状況を見聞きしますので、その誤解を正すばかりです。
ちなみに、所長ひとりでやっている税理士事務所であれば、その所長は間違いなく税理士になります。ただし、規模は小さい。
規模が小さい税理士事務所は不安だなぁ、ということであれば職員がいる税理士事務所になります。けれども、自社を担当する職員は税理士ではないかもしれない。そういうことです。
《間違い・勘違い②》大きな税理士事務所が安心だ
大きな税理士事務所が、必ずしも「安心」かどうかはわからない。という点に触れておきます。
ここで言う「大きな税理士事務所」とは、一般に職員数が多い税理士事務所を指すこととします。
そんな「大きな税理士事務所」について、お客さまが口にする不満に「担当者がすぐ代わる」「今度の担当者がよくなくて…」というものがあります。
税理士事務所は担当者制がほとんどであり、職員を抱える税理士事務所には「担当者変更」がある。これについて、お客さまは不満を抱いているわけです。
この担当者変更は、税理士事務所サイドで「意図的に行う」こともあれば、職員の退職によって「やむをえず行う」こともあります。
担当者が代われば、コミュニケーションを一からやり直す苦労や不安がある。前担当者との能力差が生じる。これは避けられません。
もちろん、大きな税理士事務所ならではの安心もありますが、不安な一面もあることは覚えておくとよいでしょう。
《間違い・勘違い③》税理士は税金の計算をする人だ
一般に、「税理士は経理の帳簿をつけたり、税金の計算をする人だ」というイメージがあるようです。事実、そのとおりです。
ところが、帳簿をつけたり、税金を計算することだけが税理士の仕事ということではありません。
経理・税金のこと以外でも、得意な「分野」、専門の「分野」を持って仕事をしている税理士がたくさんいます。
たとえば、わたしは「銀行融資・資金繰りの支援」を得意・専門にしています。経理・税金とは違う分野です。
「帳簿をつけたり、税金を計算すること」については、IT化によって、自社・自分でできることも増えてきました。
ですから、ITを使いながらできることは自前で。その分、税理士には別の「分野」での仕事をお願いする。そんな税理士との関わり方も選択肢のひとつです。
「経理や税金のこと以外でなにが得意ですか?」と税理士に聞いてみるのもよいでしょう。それも税理士選びの基準になります。
《間違い・勘違い④》税理士報酬は安いほうがいい
たしかに、支払うものは安いほうがいい。でも、それは「同じ条件のもとでなら」という前提付きです。
A税理士とB税理士、どちらも同じモノを売っているのであれば、価格が安い税理士を選ぶのはわかります。
けれども、A税理士とB税理士が、必ずしも同じモノを売っているわけではありません。経理・税金のこと以外にもそれぞれの「分野」を持つ税理士がいることは前述したとおりです。
この場合にまで、「価格が高いか・安いか」で税理士を選んでしまうとおかなしなことになります。
「そんなことはあるまい」と思われるかもしれませんが、その思いに反して、お客さまの「こんなはずじゃなかった」という不満はあるものです。
具体的には「経理・税金のことしか相談できない」「なにかと追加料金を請求される」「税理士とちっとも会えない・話せない」などなど。
したがって、税理士が提示する税理士報酬の金額については、サービスの内容・範囲を確認することが大切です。
そういう意味では、サービスの内容・範囲が不明瞭(なにをどこまでしてくれるのかがわからない)である税理士を選ぶべきではない、と言えます。
《間違い・勘違い⑤》税理士は経営のことをよくわかっている
誤解を恐れずに言えば。税理士事務所に「勤務」をしている税理士・職員は、経営のことをよくわかっている、とは言えません。
比較して。所長税理士など自身も経営者である税理士であれば、経営のことをよりわかっているだろう、とは言えます。
たしかに、税理士事務所に勤務をしていれば、経営に関する知識やノウハウは身についていくでしょう。けれども、経営に必要なものは、知識やノウハウだけではありません。
仕事をとらなければ食っていけない、銀行から借金もしなければいけない、人を雇わなければいけない… などなど。経営者になってみなければわからない「不安」があります。
これらの「不安」は経験をしなければ、ほんとうに理解することはできません。
眠れない夜があるほどの「不安」がどんなものか、そんな不安の先には「覚悟」が必要であることを理解するなんて勤め人にはできない。自分が独立開業し、実体験から気が付いたことです。
税理士に「経営」について求めるならば。資格とは別に、税理士の立場も踏まえて税理士選びをするのがよいでしょう。立場があれば、知識やノウハウだけでなく、不安や覚悟を理解しているはずです。
たとえば、わたしは独立開業して事業で借金をしているので、借金の不安や覚悟がわかります。けれども、人を雇っていないので、その点については知識・ノウハウのレベルにとどまります。
税理士と言っても、その立場はさまざまです。
《間違い・勘違い⑥》人から紹介してもらう税理士は安心だ
税理士選びと言っても、「税理士とのお付き合いがある」という人もそうそういないもので。選ぶ以前に税理士を知らない、という人が少なくありません。
そこで、紹介してもらった税理士にしよう、という税理士選びをすることがあります。
ここで間違い・勘違いをしてはいけないのが、「紹介者にとっては良い税理士でも、あなたにとって良いかどうかはわからない」ということです。
紹介をしてもらうのはいいにしても、それだけで決めてしまうことがないように。「税理士になにを求めるのか?」がだいじなのは、先ほどお話をしたとおりです。
紹介者が税理士に求めることと、あなたが税理士に求めることは同じではないかもしれません(同じであることのほうがまれなような…)。
ですから、紹介された税理士だけで決めずに、別の税理士と会ってみる、話をしてみる、ということを強くおすすめします。
とくに、はじめての税理士選びであれば、ぜひ、いろいろな税理士を見ておきましょう。そういう意味では、ホームページやブログを積極的に展開している税理士は参考になるはずです。
まとめ
税理士選びで「よくある間違い・勘違い」についてお話をしてきました。
税理士を選ぶ、ということもそうそう機会がないだけに。間違い・勘違いがないかを確認しておきましょう。
- 税理士事務所の職員はみんな税理士だ
- 大きな税理士事務所がよさそうだ
- 税理士は税金の計算をする人だ
- 税理士報酬は安いほうがいい
- 税理士は経営のことをよくわかっている
- 人から紹介してもらう税理士は安心だ
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きょうの執筆後記
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