たった20字による伝え方・学び方が書かれた本、『すべての知識を「20字」でまとめる 紙1枚独学法(浅田すぐるさん著)』をレビューします。
なにを伝え、誰がために学ぶか?を知れる本
すべての知識を「20字」にまとめる、というタイトルに惹かれて購入した本です。
” すべてを20字に、たった の20字にまとめる? どうやって?” 興味が湧きました。
わたしはこうして、毎日ブログを書いていることもあり、「短くまとめる」のは必要な能力だと感じています。
とはいえ。明確に「20字」というコンパクトさでもってまとめよう、と考えたことはないわけで。
本書を読むことで、「いかにして20字にまとめるか」の考え方・具体的かつ実践的な方法を知ることができました。
また、うれしい誤算もあり。もともとは「伝え方」に注目をして本書を手にとったのですが、「学び方」についても得られるところがありました。
「伝える、学ぶ」は、誰しも関わりのある行為でしょうから。汎用性もあり、ほとんどの人が読者対象になりうる一冊、と言ってよいでしょう。
そんな本書を端的に表現すると、「なにを伝えるか、誰がために学ぶかを知れる本」です。
その詳細はもちろん読んでみて、ということになりますが。伝えることや学ぶことに、悩みや迷いがあるのであれば、一読されることをおすすめします。
いろいろ勉強しているつもりなのに、仕事にはなかなか活きないなぁ… というヒトはとくに(わたしも耳が痛いところがありますね、はい)。
このあとは、わたしが本書から選んだ「名言」をご紹介しながらレビューします。
長くなるのは「本質をつかんでいない」から
『すべての知識を「20字」でまとめる』から選んだ、ひとつめの名言はこちらです ↓
本質はシンプルなので、端的な言葉で表現可能
20字という文字数が適切かどうかは置いといて。ものごとをまとめる、要約するという場面では、できるだけ「短く(少ない文字数で)」と考えるものでしょう。
ところが、いざやってみると。思いに反して長くなる、ムダが多くてまわりくどい。挙げ句、「要するに、どういうこと?」なんて言われてしまう。意外と「あるある」です。
これについて、著者の浅田すぐるさんは、長くなってしまうのは・短くできないのは「本質をつかみきれていないから」だと指摘しています。
本質のつかみ方については、本書の中でくわしく書かれているのでそこへゆだねるとして。まず、だいじなことは、「本質をつかんでいないから長くなる」と自覚をすることでしょう。
わたし自身、ブログを書いていても「なんかまとまらないなぁ…」ということがあります。そんなときには、文章の見てくれをこねくり回すのではなく、「本質」に目を向けなければいけませんね。
ちなみに。なぜ「20字」なのかについて、俳句(5・7・5)や、原稿用紙の1行(20字)などが理由に挙げられています。なるほど、自然、落ち着くところに落ち着いている、ということでしょう。
では、次の名言を。こちらです ↓
「正しいかどうか」より「役立つかどうか」
前述した「本質」について、浅田さんはこう言っています。「本質」は決して「絶対的な真理」ではない。
これをわたしなりに解釈をすると。世の中の100%にとって正しいかどうかではなく、じぶん(あるいはその周辺)にとって役に立つことが「本質」だ。
この点で。ともすれば「間違える」ことを恐れて、「正しい」答えを優先しがちだったりします。
「正しい」はだいじなことではあるけれど、そこに偏り、あまりに最大公約数的な答えになると「本質」がボヤけてしまう。結果、じぶんの役には立たない。
あるいは、それをほかの誰かに伝えようとするのであれば、その誰かの役にも立たない。これもまた割と「あるある」ではないか? ドキリとした名言です。
正しいかどうかよりも役立つかどうか。本質を考えるときには、忘れてはいけないポイントですね。
伝わらなければ「学んだ」とは言えない
ここまでは「伝え方」について話をしてきました。ここからは「学び方」について。本書から選んだ名言はこちらです ↓
学習とは、説明可能なレベルで思考整理する営み
他人に教えることで本当に身につく、などとも言われるところであり。それを再確認できる名言です。
誰かに伝えもできないことを、じぶん自身が学んだとは言えない。ということですね。
と、再確認なんて言っておきながら。それをウッカリ、「学んだつもり」になっていることは… ありますわ。あの本、読みっぱなし。あのセミナー、行きっぱなし。みたいな。
というわけで、自戒を込めて名言に挙げてみました。わたしはそんなふうですから、毎日のブログ執筆や、毎月のセミナー開催は、学んだことを「説明する」のに良い機会だと考えています。
毎日とか毎月とかはじぶんで課したルール、ある意味「強制」なので。ウッカリ学んだつもりにならないような「しくみ」として、ブログやセミナーを位置づけてもいます。
それはそれとして。学び方についての名言をもうひとつ ↓
わかるとは、「3つの疑問」が解消した状態
さきほど、「学習とは、説明可能なレベルで思考整理する営み」との名言を挙げました。
ここで言う「説明可能」とは。説明の相手が理解すること、わかることを意味しています。では、その「わかる」とはどういう状態なの? を表したのが上記の名言です。
「わかる」とは、説明の相手にとって「3つの疑問」が解消した状態だ、と著者は言います。3つの疑問は次のとおりです ↓
- What
- Why
- How
説明を受けた者からの「ツッコミ(疑問)」は、この3つに集約されるのだと。だから、これらの説明がままならないと、相手は納得をしないわけです。
たとえば。わたしがブログで「経理は毎日やりましょう」を伝えたいとして。
それはなぜ?(Why)、やらないとなにが起きるの?(What)、どうやってやればいいの?(How)が説明できないと、ブログの読み手には伝わらない。そういうことです。
伝えようとする相手を思い、「3つの疑問」を想定しておく。「伝えたつもり」で終わらないように、気をつけなきゃ、ですね。
じぶんのために学ぶ、は「ため」にならない
さいごに、本書から浅田すぐるさんの名言をもうひとつ ↓
あなたの学びに、「他者貢献」的な動機はあるか?
本記事の冒頭、こんなハナシをしました。いろいろ勉強しているつもりなのに、仕事にはなかなか活きないなぁ…
もしも、そんな悩みがあるのであれば。それは、あなたの学びに「他者貢献」の動機がないからだ、と著者は言います。
たとえば、お客さまが抱える問題を解決するにはどうしたらいいだろう?との動機で手にとった本と。なんとなく自己啓発的な思いで手にとった本と。
どちらが仕事に活きるか、結果的にじぶんに活きるかは明らか、ですよね。「じぶんが、じぶんが」では、本質的なところでお客さまに貢献することは難しい、ということです。
にもかかわらず。自己満足・自己実現に偏った勉強しているかもしれないから気をつけて、との注意喚起が上記の名言になります。
他者貢献の動機があるか? の確認方法や、もし欠けているであれば、どのように動機づくりを考えるか? の具体的な方法も書中に示されています。
これからの勉強(本選び、セミナー選び、情報収集など)の「指針」を考えるきっかけにしてみるのはいかがでしょうか?
「なにを伝えるか、誰がために学ぶかを知る」ことができる、おすすめの1冊です ↓