きょうの名言は、デイル・ドーテンさんの「仕事は楽しいかね?」から。
古今東西、世の中はたくさんの名言であふれています。
自分にとって「活かせる」名言、みつけてみませんか?
なんのために働くのか
ブログをはじめてから何度も書いてきたことですが。独立開業の少し前、「働くこと」の意味について思い悩んでいた時期がありました。
いまの仕事を続けるとか続けないとか、それ以前に。自分は「なんのために働いているのだろう?」という、もう少し根の深い部分での悩みです。
「仕事は楽しいかね?」というタイトルに、半ばすがるようにして手にしたのがこの本でした。
物語のはじまりとあらすじ
主人公である35歳の「私」は、ある出張帰りに大雪のために一昼夜空港ロビーに足止めされます。そこで出会った風変わりな老人は「私」に向かって言いました。
仕事は楽しいかね?
そして「私」は胸に詰まった不安、不満、失望、様々な感情を、その老人に向かって話しはじめます。
老人の名はマックス・エルモア。実は巨万の富を築く発明家・企業家。大勢の実業家や政治家がマックスを友人にし、企業トップがアドバイスを求めるほどの人物でした。
次々と語られるマックスの言葉に、「私」は自分が持っていた仕事観に疑問を抱き始める。そういう物語です。
「目標や計画の弊害」という問題
冒頭、マックスはある問題提起をします。それは「目標や計画の弊害」です。
ずっとしたいと思っていた仕事をしていてもなぜか幸せではない、そういう人は目標や計画に依存しすぎていると言うのです。
目標を設定すると、自己管理ができているような気がするものだ
「目標がなければ進歩の度合いをはかることができない」と抵抗する「私」をマックスが制するシーンです。
一般に、成果に向かって目標や計画を準備します。ですが、「依存しすぎる」とダメだと。
ポイントは「しすぎる」こと。そう直接的には書いていませんが、わたしはそのように理解しました。
目標や計画自体が「悪」なのではなく、依存「しすぎる」ことが「悪」、そういうことです。
目標や計画が定まると、なんか安心する、やる気を感じる、などの満足感を得られた経験は誰しもあるのではないでしょうか。
でもそれは残念なことに、「いまだなにひとつ成し得ていない」状態。これがマックスの言う「弊害」だという理解です。
今日とは違う明日を、自らが迎えにいく
聞きようによっては、なんだか屁理屈のように聞こえなくもないマックスの問題提起。マックスはかまわずに続けます。
たいていの人は、マンネリ化した生活から抜け出すために目標を設定する。だけどいいかい、今日の目標は明日のマンネリなんだよ
そして、「僕がいままでに掲げた目標が一つだけある」と言います。それは、
”明日は今日と違う自分になる”だよ
ここでわたしが感じたこと。それは、今日という日にただただ不満を抱いて「明日がイイ日に変わると良いなぁ」なんてありえない。
自分に変えることができる確実なものは「自分」だけなんだということでした。
目標や計画を描いたところで、それが立派であればあるほど、行き過ぎれば自分のコントロールが及ぶところではなくなります。
だからそこに、不安や不満、失望が重なるんだ。大事なことは「一気に大きく変わること」よりも「わずかでも変わり続けること」だと感じたのです。
ともすると、夢のような「世界の大転換」を望んでしまいがちですが、望むべきは「自分自身の小さな変化」だということです。
”試す”とは何か
マックスが語った「目標や計画の弊害」は屁理屈や詭弁ではありません。
その証左としてマックスは次のようにも言っています。1日も欠かさず変わらないといけないのはものすごく大変で、とんでもなく疲れる方法だと。
「目標や計画の弊害」対策として自ら課した「明日は今日と違う自分になる」もまた、難題であるわけです。
この難題に対して、マックスはひとつのこたえを持っています。
これは僕の大好きな言葉の一つなんだ。
”遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守る”
「うまくいった」が「変わった」とイコールではない
また詭弁。そうもとれるようなマックスの「こたえ」に、この本のもっとも大事なテーマが隠れています。
それは「試す」ということ。
「毎日1日も欠かさず変わっていく」などというと、必要以上に難しく感じてきます。「変わる」という言葉はどことなく「成功」をイメージさせるからです。
マックスは「成功し続ける」ことを言っているのではなく、「変わり続ける」ことを言っています。
変わり続けることは「失敗し続ける」ことでもかまわない、極端に言えばそういうことです。マックスはこうも言っています。
試してみることに失敗はない。
ピンチをチャンスに変換する「試す」
独立開業したいまになって、「試す」ことのほんとうの重要性を、わたしはようやく感じ始めています。
はじめからうまくいく人もいるのかもしれませんが、わたしには開業来うまくいかないことはたくさんあります。
ただそれも「ピンチはチャンス」。そうとらえなければ、と。
これは「なんとかなるさ」的な「ただの前向き」な姿勢とはひと味違います。ピンチをチャンスに変換する行動、つまり「試す」が必要なのです。
うまくいかないのなら、とことん「試す」を続ける。マックスが言う「明日は今日と違う自分になる」とはそういうことなのではいかと実感し始めたのです。
「試す」が足りない
マックスはたずねます。
何を試してきたのかね。
試した結果のことはわかりません。でも、うまくいかなかったとしても、また試せばいい。
うまくいったら、さらにより良いもの新しいものに向かってまた「試す」。
そういうことができているかとたずねられれば、わたしはまだまだ全然です。
いったい何人の人が、最初に浮かんだいいアイデアを捨てて、さらに何十ものアイデアを考えだすだろう。
マックスに言わせれば、「何十」の世界。ひとつやふたつの「試す」では全然足りないのです。
”試せること”に喜びを見出す
当時、この本を読んだわたしが得たのは、せいぜい「前向き」レベルだったことと思います。
他人や環境ではない、自分が変われば「自分にとっての世界」は変えられる。そんな程度の感じです。
でもいまは少し違います。さきほども書きました。
もう一歩、わずかな一歩かもしれませんが前に踏み込んでいます。それが「試す」。
そんなことをいっても、うまくいかないことがあれば落ち込みます。
けれども「ピンチはチャンス、変えられること、試せることはなんだ?」と自問する姿勢をとるように努めています。
試せることがあるうちは、いつだって違う明日、違う自分が待っている。そのことを幸せに思え、と。
独立開業したわたしは、勤め人の時よりももっと自由。やろうと思えばなんだってできるのです。あとはやるかやらないか。
マックスは「私」との別れ際、次の言葉を残しています。
きみが”試すこと”に喜びを見い出してくれるといいな。
アイデアをいっぱい持つこと。ありとあらゆることをやってみること。明日は今日とは違う自分になること。そして朝を待ち焦がれる、幸せなサムライの一人になってくれ
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きょうの執筆後記
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昨日は終日外出。午後はとあるセミナーに参加。
このブログサイトについても講師の方からご意見をいただきました。
うすうすわかってはいましたが、数々の問題点、ご指摘を受けました・・・
またこれから「試します」。少しづつでも変化し続けます。