はじめて融資を申し込む銀行では、「どうして当行を選んだのか?」と聞かれます。
そこで銀行から警戒されることがないように、いくつかの「回答例」を押さえておきましょう。
はじめて融資を申し込む銀行で聞かれること
会社が、はじめて融資を申し込む銀行で聞かれることとして、「どうして当行を選ばれたのですか?」があります。世の中にこれだけ多くの銀行があるなかで、なぜウチの銀行に来たのか? という質問です。
それにしてもなぜ、銀行はそんなことを質問するのか。それは、「ほかの銀行で融資を断られたらからウチに来たのではないか?」と疑われているからです。もし、そうだとしたら、ウチだって融資はできないぞ。そう考えているからです。
この点で、「だれかに紹介をしてもらいましょう」みたいなハナシがあります。顧問税理士から銀行に紹介をしてもらう、取引先の社長から紹介してもらう。だれかの紹介であれば、銀行も一応の安心ができるので。
とはいえ、必ずしも紹介をしてもらえるわけではないでしょう。紹介をしてくれるような人はいない、ということだってあるはずです。では、そういう会社はどうしたらいいのか…?
だいじょうぶです。まずは、融資を申し込みたい銀行(の本支店)に電話をして、アポイントを取りましょう。「融資の相談がしたい」と言えばOKです。
そのうえで、「どうして当行を選ばれたのですか?」と聞かれたら、どのように回答すればいいのか。それが、こちらになります↓
- 近いから
- いいよ、と聞いたから
- なじみがあったから
- 業績が良くて安心だから
はじめて融資を申し込む銀行で、警戒されることがないように。これらの「回答例」を押さえておきましょう。それではこのあと、順番に見ていきます。
銀行で「どうして当行を選んだのか?」と聞かれたらの回答例
近いから
もっとも自然な回答例は、「近いから」です。自社の事務所や店舗、社長の自宅などから、その銀行が近いから。近いと便利だから。銀行としても納得がいく理由になります。
そういう意味でも、銀行選びをするときには、まず近隣の銀行をチェックするようにしましょう。方法としては、Googleマップで「地域名 金融機関」のワードで検索するのがおすすめです。
そんなことをしなくてもわかる、と思われるかもしれませんが。意外と見落としていたり、気づいていなかったりもするものです。
銀行選びの相談を受けたときには、わたしもGoogleマップで「相談者の周囲にある銀行」を検索しています。すると、相談者の方から「ふだんとおっていた場所なのに気づきませんでした」と言われることは少なくありません。
とくに、信用金庫や信用組合などは(都市銀行や地方銀行に比べると)見落としがちですから、ぜひいちどGoogleマップで検索をしてみるといいでしょう。
そのうえで。近いは近いけれど、いちばん近いわけではない銀行に融資を申し込む場合には、どう回答すればいいか。いちばん近くの銀行には融資を断られてしまった… というような場合にはどう回答すればいいか。
そのあたりの回答例を、このあと確認していきましょう。
いいよ、と聞いたから
続いての回答例は、「いいよ、と聞いたから」です。
たとえば、「取引先の社長から、〇〇銀行さんはいいよ、と聞いていたので」とか。「顧問税理士から、〇〇銀行さんはいいよ、と聞いていたので」とか。自営業をしている家族や親戚などから勧められた、というのもいいでしょう。
正式な紹介までではないにしても、「いいよ、と聞いたから」ということであれば、銀行としても納得できるところです。
ちなみに。この件で、取引先の社長や顧問税理士、家族や親戚などに対して、銀行から「確認の連絡」が入ることはまずありません。だからといって「ウソ」は良くないわけですが。要は、「ほかの銀行で融資を断られたわけではない」と見てもらえるようにしましょう、ということです。
なお、実際にほかの銀行で融資を断られていたとしても、あえて会社のほうから言う必要はありません。聞かれたときにはどうするか? という問題はありますが(断られた時期や断られた理由によって対応は異なります)。
聞かれてもいないのに、言う必要がないことは覚えておきましょう。ほかの銀行で断られたと聞けば、銀行は警戒をするばかりです。
なじみがあったから
続いての回答例は、「なじみがあったから」です。
たとえば、「取引先の預金口座が〇〇銀行さんなので」とか。「以前の勤務先で〇〇銀行さんとお付き合いがあったので」「勤務時代に〇〇銀行さんに口座を持っていたので」とか。
「だから、その銀行になじみがあった」というのも、銀行が納得できる理由になります。
さきほどの「いいよ、と聞いたから」もそうですが。探してみれば、何かしらの理由、何かしらの接点というのはあるものです。若干こじつけのようではありますが、周囲を見回したり、過去を思い出したりしながら探してみましょう。
なお、銀行業界は再編が進んでいます。昔はあった銀行が、いまはなくなっている。別の銀行といっしょになっている(吸収合併)、ということがあります。
ですから、いまはなくなってしまった銀行だとしても、別の銀行といっしょになっているのであれば、それもまた「なじみがあったから」と言えるでしょう。
つまり、「いまはなくなってしまったけれど、昔、〇〇銀行に口座があったので」と、〇〇銀行といっしょになった銀行に融資を申し込む、ということです。
業績が良くて安心だから
続いての回答例は、「業績が良くて安心だから」です。
ここまで話をしてきたような回答例に、どうしても当てはまらないという場合。また、当てはまるものがあったとしても、さらに銀行の納得感をえたいというのであれば。「業績が良くて安心だから」の回答例が有効です。
ここで言う「業績」とは、融資を申し込む銀行の業績のこと。融資を受けるのであれば、長いおつきあいにもなるのですから、銀行の業績が良いほうが会社としては安心でしょう。
ゆえに、「業績の良さで銀行を選びましたよ」ということです。具体的には、「近隣の銀行のなかで、〇〇銀行さんは業績が良くて安心なので」といった言い方が考えられます。
では、銀行の業績をどのように調べればいいのか。
ビジネス誌の特集(銀行業績ランキングなど)を参考にしたり、各銀行のディスクロージャー誌(ネットでも見れます)を参考にする方法があります。
ディスクロージャー誌はひとつの銀行のものだけを見ていてもよくわからないかもしれませんが。複数の銀行のディスクロージャー誌を見比べることで、どの銀行の業績が良いかがわかるはずです。
また、金融庁のWEBサイトにある「都道府県別の中小・地域金融機関情報一覧」を見てみるのもいいでしょう。情報量は少ないですが、各銀行の規模感や、主要な指標についての情報を得ることができます。
各銀行は「本店所在地」の場所で、都道府県別に一覧になっている点に注意しましょう。支店所在地で探していると、目当ての銀行を見つけることができません。
まとめ
はじめて融資を申し込む銀行では、「どうして当行を選んだのか?」と聞かれます。
そこで銀行から警戒されることがないように、いくつかの「回答例」を押さえておきましょう。
- 近いから
- いいよ、と聞いたから
- なじみがあったから
- 業績が良くて安心だから