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決算書は『借入金』と『預金』をデザインできると銀行融資に効く

決算書は『借入金』と『預金』をデザインできると銀行融資に効く

決算書の「借入金」と「預金」。これらの2つの勘定科目をデザインできると、銀行融資に効きますよ。という、お話です。

目次

お化粧をする、というハナシじゃなくて。

決算書をデザインする、というと。どんなイメージをするでしょうか?

デザインといっても、実際よりも内容がよく見えるように「お化粧」をする。いわゆる「粉飾決算」のハナシではありません。そうではなく、あるべき決算書の姿に「着地」させよう、という話です。

つまり、決算日が過ぎてから、「あぁ、こんなはずじゃなかったぁ…」と後悔することがないように。いまさら、決算日前の行動を書き替えることはできません(粉飾です)。

なので、決算日の前から、あるべき姿を思い描き、その姿に近いところへ、実際の数字を着地させる。これを「決算書をデザインする」と捉えて、このあとお話をしていきます。

ちなみに、デザインの対象は、「借入金」と「預金」です。これら2つの勘定科目をデザインすることが、銀行融資に効きます。要は、銀行融資を受けやすくなる。

それでは、順番に確認をしていきましょう。

まずは、借入金をデザインする

そもそも、銀行は融資先の「借入金」に注目しています。おカネを貸すのが商売なのですから、あたりまえと言えばあたりまえですが。

では、銀行がなにで「借入金」を確認しているかというと。決算書と、それに付随する「勘定科目内訳明細書(以下、内訳書)」と呼ばれる書類です。

内訳書のなかには、借入金の内訳明細が記載されています。これを見て、どの銀行のどの支店から、いくらのおカネを借りているのか(決算日時点の借入金残高)を確認しているのです。

シェアに気をつけろ

では、借入金について、なにをデザインすればよいのか? まずは、「シェア」です。複数の銀行から融資を受けているとした場合に、借入金総額に対して、それぞれの銀行の借入金残高が占める割合はいかほどか。が、「借入シェア」になります。

銀行は、借入シェアを気にしており、その「推移」にも注目していることを覚えておきましょう。

メインバンク(基本的には、借入残高がもっとも多い銀行)であれば、自行が引き続き「シェアナンバーワン」かどうかを気にしています。

また、サブバンク以下の銀行であれば、自行のシェアの推移に加えて、メインバンクのシェアをとくに気にしているものです。

そのうえで、もしも、メインバンクのシェアが急に下がっているようだと、「メインバンクが融資を引き上げるほど、状態がまずいのか?」との疑いを持ちます。

結果、メインバンクのシェア低下(借入残高の低下)をきっかけに、サブバンク以下からの融資が受けにくくなることがあるので、注意しなければいけません。

そこで、決算日の3ヶ月くらい前にはいちど、「借入シェア」を把握して、前回決算時点の「借入シェア」と比較をしてみましょう。激変しているようであれば、決算日までのあいだに、調整をすることが大切です。

もちろん、意図があって激変しているのであれば、それはそれですが。決算書を見た銀行からは警戒される可能性がありますので、銀行に意図を伝えることも検討しましょう。

残高を増やすことも考える

借入シェアに関連して、借入残高を増やすこともまた、銀行に対しては有効です。前回決算時点の借入残高に比べて、今回決算時点の借入残高が増えているかどうか。

借入が増えるだなんて、よくないのではないか。と、思われるかもしれませんが。銀行は、おカネを貸すのが商売。貸せる先を探しています。

借入が増えるということは、ウラを返せば、借入できるだけのチカラがある会社だ、ということでもあるわけで。だとしたら、借入が増えている会社は順調、借入が減っている会社は借りたくても借りられない危ない会社、との見方もあるでしょう。

もっとも、ただただ借入が増えるのは問題であり、あわせて売上や利益が増えているかどうか、預金が増えているかどうか(後述します)は、セットで確認されることは言うまでもありません。

というわけで、借入シェアをデザインしつつ、借入残高もデザインするようにしましょう。

なお、優良な会社ゆえに利用できる借入として、「当座貸越」が挙げられます。当座貸越とは、銀行が決めた「極度額(限度額)」までは、自由に借りたり返したりができる借入です。

銀行にとっては、「貸しっぱなし」になるリスクがあるため、優良な会社(黒字体質・年間売上高数億円超が目安)でなければ、利用することができません。

そこで、当座貸越を利用していることが銀行に知られれば、自社が優良であることのアピールになります。そのため、決算時点では当座貸越を完済状態にはせず、あえて借りておき、残高をつくっておくのもまた、ひとつのデザインです。

続いて、預金もデザインする

借入金に続いて、預金です。銀行は、決算書や内訳書に掲載されている「預金」にも注目をしています。

やはり内訳書を見れば、どの銀行のどの支店に、いくらのおカネを預けているのか(決算日時点の預金残高)がわかるからです。

預金もシェアに気をつけろ

融資をしている銀行にとって、融資先からの預金は「担保」みたいなものです。預金があればあるほど、回収に対する不安が減りますから大歓迎。

その預金を、どの銀行に預けているのか、シェアはどうなっているのかを銀行は確認しています。そのうえで、「借入シェアと同じくらいの預金はほしい」と考えるものです。

借入シェアよりも預金シェアが少ないとなると、「不公平だ」と考えます。すると、どうなるか。これ以上の融資が受けにくくなったり、融資条件が悪くなったりします。

ですから、決算時点の預金シェアには気をつけること。預金をどの銀行にあずけるかは、よく考えることです。

この点で、ひとつポイントとして、「日本政策金融公庫から借りたおカネ」が挙げられます。公的金融機関である日本政策金融公庫には、預金機能がありません。

ゆえに、借りたおカネはどこかの銀行にあずける必要があります。そこで、メインバンクや、これから融資を受けたい銀行などにあずけることで、融資を引き出す材料にするとよいでしょう。

なお、融資を受けている銀行に、「定期預金」はおすすめできません。銀行にとっては担保のようなものなのですから、解約するのがタイヘンになります。なかなか解約させてもらえないこともあるので気をつけましょう。

また、どこかの銀行に定期預金をあずけると、ほかの銀行からは「うちも、うちも」となってしまいます。それを断れば、やっぱり不公平感を与えてしまうのも問題です。

預金残高が多いことがだいじ

預金シェアとあわせて、銀行は決算書の「預金残高」にも注目しています。預金が総額でどれだけあるか? です。

銀行は、預金がある会社を好みます。ちょっとくらい赤字になっても、返済が滞ることがないからです。なので、預金がある会社ほど、融資が受けやすい。

ほんとうに融資を受けたいのは、預金がない会社のはずなのに。と、思われるかもしれませんが。それは、借りる側の理屈であって、はっきり言えば「わがまま」です。

おカネを貸すのは銀行。貸す側の理屈を理解しておく必要があります。

ちなみに、ここで言う「預金残高」は、借りたおカネであってもかまいません。たとえ、借入残高が多くても、預金残高も多ければ、その分の借入はないのと同じです。

借入残高が多いことを心配する社長は少なくありませんが、結果として、預金残高が少なすぎるのでは困ります。預金が少ないうえに、融資が受けにくくなるからです。資金ショートの可能性が高まります。

よって、預金残高については、最低でも「平均月商(年間売上高÷12ヶ月)の2ヶ月分」以上はキープしておきましょう。たとえ、借入をしてでも。

これが、平均月商1ヶ月分を下回るようだと、極端に融資が受けにくくなります。そう考えると、「決算日前に、借入を減らすために繰り上げ返済」がいかに危険な行為であるかがわかるでしょう。

そうではなく、決算日に向けて、できるだけ預金残高を多い状態にもっていくこと。預金残高をデザインすることが大切です。決算日を1日でも過ぎてしまえば、決算書の預金残高を変えることはできません。

まとめ

決算書の「借入金」と「預金」。これらの2つの勘定科目をデザインできると、銀行融資に効きますよ。という、お話をしてきました。

決算日が過ぎてから、「あぁ、こんなはずじゃなかったぁ…」と後悔することがないように。決算日の前から、あるべき姿を思い描き、その姿に近づけていきましょう。

決算書は『借入金』と『預金』をデザインできると銀行融資に効く

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