融資を受けている会社の社長が、取引銀行の担当者に対して、してはいけないことについてまとめます。しているようだと、融資が受けにくくなってしまうところです。
もっとも接点が多い銀行員=銀行担当者
銀行から融資を受けている社長にとって、もっとも接点が多い銀行員は、取引銀行の担当者(渉外係)でしょう。その銀行担当者に対して、社長がしてはいけないことがあります。
具体的にはこちらです↓
- 前任者との比較をする
- ほかの銀行を引き合いにする
- 担当者を飛ばして上司に掛け合う
これらのことをしているようだと、結果として、融資が受けにくくなってしまいます。それはなぜなのか? 代わりにどのように対応をしたらよいのか? このあと確認をしていきましょう。
銀行担当者に対して社長がしてはいけない3つのこと
1.前任者との比較をする
銀行担当者は、数年にいちどていどの頻度で異動があります。ずっと、同じ銀行担当者というわけにはいきません。すると、社長は「前の担当者のほうがよかったなぁ」ということもあるでしょう。
ですが、それをクチに出すのはもちろん、表情に出すようなことをしてはいけません。
たとえば、「前の担当者はもっとよくやってくれた」とか、「前の担当者はこれでいいと言っていた」とか。いまの担当者にしてみれば、「前担当者は前担当者、いまの担当者はじぶんだ!」と、考えることでしょう。
ほかの人と比較をされる、しかも、悪い評価をされれば気分が悪いのは、銀行員に限ったハナシではありません。前担当者との比較は、しないようにしましょう。
そもそも、銀行の人事では、「前任とはあえて対照的な後任を選ぶ」とも言われます。そう考えると、社長にとって相性のよい担当者の後任は、相性が悪い担当者になるのは必然です。
次はまた、相性がよい担当者が来るものと考えて、「いまはガマン」が賢明な対応になります。
融資を受けるにも、まずは「目の前の銀行担当者」が窓口です。その銀行担当者の気分を悪くしないようにしましょう。言うのであれば、たとえば次のような感じです。
「前任の〇〇さんをはじめ、〇〇銀行さんにはいつも親身な対応をしてもらい感謝しています。〇〇さん(後任)、引き続きよろしくお願いします」とか。
これであれば、「前担当者との比較」というフンイキは最小限にしつつも、「前担当者はよくしてくれましたよ」とのプレッシャーをかけることができるでしょう。
また、こんなことも伝えられるとよいかもしれません。「前任の〇〇さんに言われたことを参考に改善をしてきましたが。〇〇さん(後任)から見て、なにか改善したほうがよいところがあれば、ぜひ教えてください。」といった感じです。
これであれば、後任の担当者に「前担当者のやり方や考え方にしばられていない社長だ」との安心感をもってもらうことができるでしょう。担当者が替わったときにはまず、コミュニケーションをとりやすいフンイキをつくることが重要です。
2.ほかの銀行を引き合いにする
たとえば、金利について。「〇〇銀行さんは、金利〇%で融資をしてくれている。おたくも、もう少し金利を下げてはもらえませんか?」といった話をする社長がいます。
それが「絶対的に悪い」とまでは言えませんが、あまり得策とも言えません。
なぜなら、銀行担当者は「ほかの銀行を引き合いにされる」のを嫌うからです。銀行担当者からすれば、あっちはあっち、こっちはこっち。ウチにはウチの金利がある、と考えています。
とはいえ、黙っていれば、金利を下げてもらいにくくなることもあるでしょう。では、どうするか?
まずは、「借入金一覧表」を作成して、それを銀行担当者に提示します。借入金一覧表とは、それぞれの取引銀行ごと、借入ごとに、次の項目を一覧にした表です↓
- 当初借入額、現在残高、月返済額
- 借入日、返済期日、返済日、借入期間
- 返済方法、資金使途、金利、担保・保証など
これにより、銀行担当者は「他行」のようすを把握することができます。そのうえで、次のように伝えましょう。「良いご提案があれば、お願いします」と。
銀行担当者が「この会社に貸したい!」と考えれば、借入金一覧表の情報をもとに、他行よりもよい融資条件を検討してくれるはずです。これなら、直接的に他行を引き合いにせずともすみます。
ちなみに、ほかの銀行の悪口を言うのもよくありません。「〇〇銀行さんは、ぜんぜん融資をしてくれない」とか、「〇〇銀行さんは、ちっとも親身になってくれない」とか。
これを聞いた銀行担当者は、「じぶんのことも悪口を言われているのではないか…?」と考えるでしょう。悪口を言われるのがイヤなのは、銀行員に限ったことではありません。
また、ネガティブなことばかり言っていると、「他行は融資を引き上げているのではないか?だったらウチも貸せないぞ」ともなりかねないところです。発言にはくれぐれも気をつけましょう。
3.担当者を飛ばして上司に掛け合う
目の前の銀行担当者を飛ばして、上司に掛け合おうとする社長がいます。つまり、いきなり支店長や、役席者(銀行でいう管理職者のこと)に話をしようとする社長です。
これにも、いろいろなケースがありますが。
たとえば、支店長と面識もあり、親しいことから「直接、融資をお願いしたほうがスムーズだろう」と考えたり。「融資条件に不満があるから、支店長に直接文句を言おう」と考えたり。
いずれにせよ、銀行担当者を飛ばして上司に掛け合うのは、おすすめできる対応ではありません。
まず、融資について検討して、稟議書にまとめるのは銀行担当者です。直接話をしたからといって、支店長や役席者が稟議書をつくるわけではありません。
にもかかわらず、話を飛ばされた銀行担当者としては、やはり気分が悪いことでしょう。また、話を聞いた支店長や役席者からの「又聞き」になりますから、稟議書をつくるにもつくりづらい…(聞きたいことが聞けない) というハナシを耳にしたことがあります。
したがって、融資の依頼をするのであれば、いちばん自社のことを理解しているであろう銀行担当者からです。
また、文句なり、クレームなりを、上司に直接言われるのを銀行担当者は好みません。銀行の人事は「減点主義」です。融資先からの文句やクレームは、銀行担当者の出世に響きます。
となると、銀行担当者は「じぶんを飛ばして、上司に文句やクレームを言うような社長の会社には行きたくないなぁ」と考えることもありえます。
銀行担当者の足が遠のけば、コミュニケーションが希薄になり、融資が受けにくくなるものです。よほど腹に据えかねるようなことを除いては、いきなり支店長にクレームをいれるようなことはやめておきましょう。
まとめ
融資を受けている会社の社長が、取引銀行の担当者に対して、してはいけないことについてまとめます。しているようだと、融資が受けにくくなってしまうところです。
代わりにどうしたらよいのか? も含めて、押さえておきましょう。
- 前任者との比較をする
- ほかの銀行を引き合いにする
- 担当者を飛ばして上司に掛け合う