世の中には、「スキマ時間を活かしましょう」というハナシがありますが。そこには罠がある! との考えから、その根拠と代替案についてお話をしていきます。
反論には、根拠と代替案がなければいけない。
スキマ時間を活かしましょう、といったハナシがあります。スキマ時間とは、「なにかしらのスケジュールと、なにかしらのスケジュールとのあいまにできた時間」をいうわけですが。
そんな「スキマ時間」をじょうずにつかうことが、時間管理や生産性向上には有効だ。と、そのあたりが、「スキマ時間を活かしましょう」における主張になっています。
が、そこには「罠」がある。というのが、わたしの考えです。つまり、スキマ時間を活かすことなんてできるのか? いや、できないだろう。という、反論でもあります。
とはいえ、ただ反論するばかりではアレなので。反論の根拠にもふれつつ、代替案をお話をしてみようかと思います。代替案とは、具体的にはこちらです↓
- そもそもスキマなどない、と知る
- スキマをつくらない
- スキマに頼らない
- なにをするかを決めておく
- 心が揺らぐことには手を付けない
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
「スキマ時間を活かす」という罠への挑みかた
そもそもスキマなどない、と知る
そもそものハナシとして、「スキマ時間」は存在するのかどうか。と考えてみると、時間管理や生産性向上に役立つスキマ時間は、ほとんど存在しないものと想像します。
たとえば、「スキマ時間に勉強をしよう」「スキマ時間に読書をしよう」みたいなハナシは、よく見聞きをするところです。しかしながら、それはなかなか実現しにくいことでもあります。
なぜなら、ヒトはスキマ時間をムダにするものだからです。電車に乗ったら、「とりあえず・なんとなく」でスマホをいじったりしていませんか?
待ち合わせの相手が遅れるとわかり、やっぱり、「とりあえず・なんとなく」でスマホをいじったりしていませんか? 別に、スマホに悪意はありませんが。よくある光景としての例にすぎません。
なんにせよ、せっかくできたはずのスキマ時間を、ヒトはよくよくムダにしているのです。もちろん、わたしにも経験がありますし、油断をすれば、いまだってそうしてしまいます。
だからまずは、「そもそもスキマ時間など存在しない」と、認識するところからはじめるのがよいでしょう。より明確に認識するためにおすすめなのが、「記録」です。
1週間でかまわないので、じぶんの行動について、できるだけ細かく記録をしてみましょう。すると、じぶんの「時間のつかいかたのクセ」や、「スキマ時間をどれだけムダにしているか」も見えてきます。
スキマをつくらない
そもそもスキマなどない(あっても有効にはつかえない)、という話をしました。だとしたら、次に考えるべきは、「スキマ時間をつくらないこと」です。スキマ=ムダであるのなら、スキマをなくせばいい。
さきほどの例とからめて言えば、もともと、電車に乗らなきゃいい。買い物であればネットで済ませる、人と会うのであればオンラインを利用すればいい。と、考えることができます。
いやいや、通勤はしないと… と、思われるかもしれませんが。それとて、リモートワークが標準仕様の会社に転職する、独立して自宅を拠点に仕事をする、といった「選択肢」は存在しています。
スキマ時間が生じる理由は、人それぞれケースバイケースです。そのケースバイケースにあわせて、「どうしたらスキマをつくらないようにできるか?」を考えてみるとよいでしょう。
スキマ時間を完璧にはなくせないまでも、減らすことはできるはずです。もしかすると、「ちょっとばかり減らすことができてもなぁ… 」と尻込みするかもしれませんが。
時間の「蓄積」をナメてはいけません。1日5分、ムダな時間を減らすことができたらどうなるか? 1ヶ月で 2.5時間、1年で 30時間(1.25日)に相当します。読書なら 10冊分くらいにはなるでしょう。
スキマに頼らない
前述の「スキマをつくらない」こととあわせて、もうひとつ。「スキマに頼らない」というマインドセット(心持ち)も大切だと考えています。
スキマ時間に、アレをやってコレをやって… そうすれば、いろいろと片付けることができるはずだ。と、スキマ時間に頼ってはいないでしょうか。これもまた、罠です。
たとえば、実際に5分や 10分といった、「細切れ」の時間が存在したとします。ところが、細切れの時間に手をつけるのは、きわめて「非効率」だと言えるでしょう。
なぜなら、ものごとには「段取り」が必要になるからです。メールを書くのであれば、パソコンやスマホを準備する、アプリを開くところからはじまります。その際に、なにか「参考資料」が必要であれば、それも準備しなければいけません。
準備が整ってはじめてメールを書きはじめるわけですが、そのときにはもう、5分・10分がおわっている可能性があります。そして、次の細切れ時間にはまた、段取りからはじめることになれば、二度手間・三度手間です。
これを防ぐためにはどうするか? 別途、まとまった時間をつくることです。メールを書くのであれば、スキマ時間に頼るのではなく、メールを書く時間を「まとめて確保する」こと。
これであれば、「段取り」はいちどで済みます。ちなみに、段取りについては「作業」的なこととは別に、「心理」的な一面もあることは無視できません。
心理的な一面とは、言い換えると、「さぁ、やるぞ」という気持ちの切り替えです。なにかに手を付けるときには、多かれ少なかれ、この気持の切り替えが必要になります。切り替える回数が増えるほど、ストレスや疲労がたまるものですから注意しなければいけません。
なにをするかを決めておく
スキマをつくるな、スキマに頼るな、と「ストイック」かつ「理想」のお話をしてきました。そうは言っても、細切れの時間、スキマ時間をまったくのゼロにはできないだろう? というのであれば、そのとおりです。
なので、いざスキマ時間ができたときにはどうするか。これについても、考えておく必要があります。その答えは、「なにをするかを、あらかじめ決めておくこと」です。
さきほど、「とりあえず・なんとなくスマホ」の例をあげました。そんなことになってしまうのは、スキマ時間に「なにをするか」を決めていないからです。
だから、せっかくスキマ時間ができても、ムダをしてしまう(そのときにはムダと感じなくても、あとで後悔するムダもありますね…)。
そこで、わたしが実際にやっていることとしては、電車に乗ったら本を開くと決めておくとか。ネットで調べたいことを Google Keepにリストアップしておいて、手持ち無沙汰な時間にスマホで調べるとか。
というわけで、5分あったらコレをやる、10分あったらアレをやる、15分あったら… みたいに、あるていど時間別に「なにをするか」を決めておく。というのは、スキマ時間の活用法の「王道」として語られていることでもあります。
心が揺らぐことには手を付けない
なにをするかを決めておけば有意義か? というと。必ずしもそうではないだろう、とも考えています。たとえば、ニュースアプリでニュースをチェックするとか。
それくらいだと、1分でも3分でも、ちょっとした時間があれば、そして、スマホがあればできますよね。でも、わたしはやりません。なぜなら、心が揺らぐ可能性があるからです。
ニュースアプリに流れるニュースのなかには、悲しいできごと、暗いできごとが少なくありません。そういったことも伝えるのがニュースですから、しかたのないことでしょう。
ところが、そういったニュースを見た結果。そのあともしばらく、そのニュースのことが気になってしまう。場合によっては、さらにそのニュースを深追いしてしまう。心がモヤモヤする、心がザワつく… みたいなことがあるのではないでしょうか。わたしは、経験があります。
心が揺らげば、そのあとの時間に影響が生じるわけで。仕事・作業の効率が落ちたり、遊びであっても純粋に楽しめなくなってしまったり、というのではあきらかに「損」です。
ニュースに限らず、SNSやメールをチェックするのも同じようなことかもしれません。
人それぞれ、心が揺らぐ対象には差があるでしょうから、じぶんにとって心が揺らぐものはなんなのかを把握しておく。そのうえで、スキマ時間にはそれに手をつけないようにするのがよいのではないでしょうか
まとめ
世の中には、「スキマ時間を活かしましょう」というハナシがありますが。そこには罠がある! との考えから、その根拠と代替案についてお話をしてきました。
そもそも「スキマ時間」などない。あるとすれば、つくらないようにする。どうしてもできてしまったスキマ時間への「対処方針(なにをするか・なにをしないか)」を決めておく。というのは、いかがでしょうか。
- そもそもスキマなどない、と知る
- スキマをつくらない
- スキマに頼らない
- なにをするかを決めておく
- 心が揺らぐことには手を付けない