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銀行対応で注意すべき「決算日まぎわの特別な取引」

銀行対応で注意すべき「決算日まぎわの特別な取引」

決算日まぎわに行われる取引のなかには、銀行対応の面で注意すべきものがあります。その内容と具体的な対応を確認しておきましょう、というお話です。

目次

決算日まぎわにはいろいろある。

銀行から融資を受けている会社が、「銀行対応」として注意すべき取引はいろいろありますが。本記事では、「決算日まぎわの特別な取引」に注目をしてみます。具体的にはこちらです↓

銀行対応で注意すべき「決算日まぎわの特別な取引」
  • 多額の売上
  • 多額の仕入
  • 特別損失の計上
  • 費用の年払い
  • 倒産防止共済への加入

これらの取引は、決算日まぎわにしばしば行われるものでありながら、実は、銀行対応の面では注意が必要になることを覚えておきましょう。それではこのあと、順番にお話をしていきます。

銀行対応で注意すべき「決算日まぎわの特別な取引」

多額の売上

決算月というのは、どういうわけか「多額の売上」があるものです。今期の売上目標に向けてラストスパート!とか、在庫処分の決算セール! みたいなこともあるからでしょう。

そういった「理由」はなんであれ、決算まぎわに「多額の売上」があった場合には、銀行対応では注意が必要になります。なぜなら、決算書には「多額の売掛金」が計上されることになるからです。

銀行は、売掛金の残高に注目していることを覚えておきましょう。過去の推移や、同業他社と比較してみて、多いようであれば「不良債権」や「架空債権」を疑います。

たとえば、ふだんは毎月 1,000万円の売上で、売掛金の残高が 1,500万円くらいの会社があったとして。決算月にはふだんの倍、2,000万円の売上があったとしたらどうでしょう?

決算書に記載される売掛金の残高は 2,500万円くらいとなり、銀行からすると「いつもよりも、なんか多いぞ…?」ということになるわけです。これをもし、不良債権や架空債権と誤解されると、その分だけ決算書の評価は下がることになります。すると、融資が受けにくくなるのは問題です。

では、どうするか? 難しいことはなく、事実を銀行に説明することです。決算書(のコピー)を銀行に渡すときに、説明をするとよいでしょう。具体的には、「決算月に〇〇社への売上が ××万円あったため、売掛金が多くなっています」といった感じです。

ポイントは、売上先(〇〇社)まで伝えること。決算日まぎわになって、利益を水増し(粉飾)するために「架空の売上」を計上する会社があります。架空の売上の場合には売上先は存在しないので、前述のような説明はできません。売上先を伝えられるということは、「架空の売上ではない」とのアピールでもあるわけです。

多額の仕入

多額の売上と同じように、多額の仕入ということもあるでしょう。大口の売上見込みに対応するための仕入ということもあれば、仕入先がセール時期なのでまとめ買いをすることもあります。

すると、なにが起きるのか? 決算書に記載される「棚卸資産」の金額が大きくなります。決算日まぎわに仕入れて、それが決算日までに売れなければ棚卸資産の金額が大きくなる。これに注意が必要です。

銀行は、棚卸資産の金額に注目をしています。前述の売掛金と同じように、過去の推移や、同業他社と比較してみて、多いようであれば「不良在庫」や「架空在庫」を疑っているのです。

不良在庫や架空在庫と誤解されると、やはり、その分だけ決算書の評価は下ることになります。会社としては困ったことです。なので、事実を銀行に説明するようにしましょう。

具体的には、「大口の売上見込みに備えて、在庫を確保するためにまとめて仕入れをしました」といった感じです。銀行としては、「それは、ほんとうに売れるのか?」を気にしています。

ですから、その後、実際に売れたのであれば、売れたことがわかる書類(受注書や請求書など)を提示できるとよいでしょう。

まだ売れてはいないというのであれば、「現物」を銀行に見せるという方法もあります。倉庫に案内して、実際の在庫を見てもらうことによって、「ほんとうにある」のを確認してもらうわけです。

特別損失の計上

決算日まぎわになって、特別損失を計上する会社があります。たとえば、売れなくなった在庫を処分する(棚卸資産廃棄損)とか、含み損のあった不動産を処分する(固定資産売却損)とか。

こういった「特別損失」は、文字どおり、特別であることから、銀行は「通常の利益」とは別に見ています。別の言い方をすると、決算書(損益計算書)の「経常利益」を見ている、ということです。

経常利益は、特別損失を考慮する前の利益。その会社の「ふだんの利益」をあらわしています。その経常利益がじゅうぶんであればよし、というのが銀行の見方です。

が、そうは言っても、銀行は「最終利益(当期純利益)」も見ています。特別なことも含めて、その会社の1年の利益はどうだったのか? これはこれで重要だからです。

なので、大きな特別損失があって、最終利益が大きく減る、あるいはマイナスになるようなときには、銀行に事情を説明するようにしましょう。なお、説明をするタイミングは「特別損失が発生する前」、つまり、決算書ができる前がおすすめです。

決算書でいきなり大きな特別損失が出てくれば、いくら特別とはいえ、銀行も驚きはします。だとしたら、事前に説明をしておくことで、銀行の驚きをやわらげることもできるでしょう。

場合によっては、「良い知恵」を貸してくれるケースもあります。高く買い取ってくれそうな在庫処分先や、不動産の有効利用などについてアドバイスをもらえるかもしれません。

銀行は「融資」だけが仕事ではなく、融資先の「事業支援」も仕事のうちです。「事前に相談」は、有効な銀行対応のひとつだと考えておくとよいでしょう。

費用の年払い

納税額を減らすために、決算日まぎわに費用を増やす会社があります。なかでも、費用を年払いすることで、その全額を経費とするのは広く知られた節税方法です。

生命保険料や火災保険料、事務所や店舗などの家賃、サーバー利用料、会費などが具体例として挙げられます。これらの費用について、決算日まぎわになって「向こう1年分」を支払っても、1年分が経費になるのは、たしかに税金面ではメリットです。

けれども、その分だけ「利益」も減っています。銀行は「利益=返済原資」という見方をしていますから、利益が減れば、融資を受けづらくなることは理解しておきましょう。

具体的にどれくらいの金額の融資が受けづらくなるのか? の考え方ついては、こちらの動画にまとめています↓

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