信用保証協会の代位弁済はいつはじまるのか?

信用保証協会の代位弁済はいつはじまるのか?

会社が返済できなくなった場合に、信用保証協会が肩代わりをするのが「代位弁済」。その代位弁済が、具体的にはじまるタイミングはいつなのか? 会社の対応や注意点などもふまえて、お話をしていきます。

目次

いざ代位弁済、となってからあわてぬように。

会社が銀行から受ける融資は、大きく2つに分かれます。ひとつは、信用保証協会の保証付き融資。もうひとつは、プロパー融資です。

まず、信用保証協会の保証付き融資とは、会社が返済できなくなった場合に信用保証協会が肩代わりをする融資。銀行にとっては、リスクが小さな融資になります。

いっぽうで、プロパー融資とは、信用保証協会の保証がない融資。会社が返済できなくなったときには、銀行が 100%の損失をこうむります。銀行にとっては、リスクが高い融資です。

このうち、信用保証協会の保証付き融資について。さきほど、「会社が返済できなくなった場合に信用保証協会が肩代わりをする」と言いました。この肩代わりを「代位弁済(だいいべんさい)」と呼びます(略して、「だいべん」とも)。

では、その代位弁済はいつはじまるのか? 具体的に、どういうタイミングで、信用保証協会が肩代わりをすることになるのか? その際の会社の対応や注意点などもふまえて、このあとお話をしていきます↓

このあとの話の内容
  • 代位弁済はいつはじまるのか
  • 代位弁済を回避するには
  • 代位弁済となったときの対応

これらについて、順番に確認をしていきましょう。望まぬ代位弁済とならならいように、いざ代位弁済となったときにあわてることがないように。代位弁済については、あらかじめ理解をしておくことも大切です。

代位弁済はいつはじまるのか

代位弁済がおこなわれるタイミングについては、「ぜったい」がありません。銀行と信用保証協会との検討によって、代位弁済するかどうかが決まります。つまり、代位弁済がいつはじまるのかに、「あきらかな基準はない」ということです。

ただ、「ぜったい」はないものの、実務的には「おおむね、ここ」というタイミングはあります。それが、「3回連続で返済に遅れたとき(毎月返済の融資であれば、3ヶ月連続で返済に遅れたとき)」です。

このタイミングで、銀行は融資先に対して、「期限の利益の喪失通知ならびに催告書」を送付します。期限の利益とは、「返済期限までは返済をしなくてもよい」という融資を受ける側の利益であり、権利です。

ところが、融資を受ける側が返済に遅れると、「約束を破った」として、期限の利益を喪失することになります。ちなみに、ここで言う「約束」とは、会社がその銀行からはじめて融資を受けるときに取り交わしている「銀行取引約定書」のことです。その銀行取引約定書のなかには、期限の利益を喪失する条件として、「返済に遅れたとき」ということが明記されています。

そこで銀行は、「期限の利益の喪失通知」をしたうえで、「いついつまでに全額返済をするように」との催告をするわけです。ここで、会社が返済できなければ(通常はできないでしょう)、銀行は信用保証協会に対して「事故報告書」を提出します。これにもとづいて、銀行と信用保証協会は、代位弁済の検討をはじめる、という流れです。

結果、代位弁済となると、銀行に対する債務は、信用保証協会に対する債務へと変わります。以降、会社は信用保証協会に対して返済をしていく、ということです。肩代わりといっても、債務が消えてなくなるわけではありません。

代位弁済を回避するには

債務が消えてなくなるわけではないにせよ、ひとまずカタがついたのならよかった… ともいかないところがあります。なぜなら、代位弁済にはデメリットもあるからです。

まず、代位弁済の対象になった債務について、完済をするまでは信用保証協会の保証付き融資をあらたに受けることはできません。また、代位弁済となった銀行からは、今後、融資を受けることは難しくなるはずです。

さらに、関連会社や、社長の親族が経営している会社なども、保証付き融資を受けられなくなる可能性があります。これは、大きなデメリットだと言えるでしょう。

これらをふまえて、「代位弁済は回避したい」というのであれば、ひとつの方法として「リスケジュール」が挙げられます。リスケジュールとは、「融資条件の変更」です。もともとは「毎月〇〇万円ずつ返済」といった条件を、銀行との交渉によって、いちぶ減額あるいは全額猶予してもらいます。

銀行にリスケジュールが認められれば、しばらくは返済できないとしても、「返済に遅れた」との扱いにはなりません。期限の利益を喪失することもなく、代位弁済を避けられるわけです。

したがって、返済に遅れるような状況になったときには、その状態を放置せずに、できるだけ早くリスケジュールの相談をすることが大切になります。もっと言えば、いちどでも返済に遅れる前に、リスケジュールの相談をするということです。

リスケジュールを検討する、具体的なタイミングは次のとおりになります↓

リスケのタイミング
  1. 税引後利益+減価償却費<年間返済額
  2. 銀行が融資に応じてくれない、応じてくれても少額

上記2つの「いずれ」も満たす状態になったときが、リスケジュールを検討すべきタイミングです。遅すぎることがないように、気をつけましょう。このタイミングを逃さないことが、望まぬ代位弁済を回避することにもつながります。

代位弁済となったときの対応

それでも、代位弁済を避けられないときの対応と、注意点についてもふれておきます。

代位弁済となると、債務は銀行から信用保証協会へと移ることは、さきほど話をしたとおりです。銀行に返済をすることはなくなりますが、以降は、信用保証協会に返済をすることになります。

とはいえ、すぐに一括返済を求められたり、ムリな返済を求められることはありません。そもそも、約束どおりの返済ができなくなったからこその代位弁済です。

よって、信用保証協会と会社との「協議」によって、毎月の返済額が決まります。会社の状況から見て、いったいいくらだったら毎月返済を続けることができるのか? を、信用保証協会と会社とで話し合いをするわけです。

銀行に毎月返済していた金額よりも少なくなれば、会社が事業継続できる可能性も高まります。また、会社の状況が良くなり、毎月の返済額が増えてくるようであれば、代位弁済の対象になっている債務が残っていても、その残額を「あらたな保証付き融資」としてもらえることがあります(どこかの銀行に、保証付き融資を引き受けてもらう)。つまり、完済をする前に、代位弁済の状態を脱することができる可能性もある、ということです。

信用保証協会とは、真摯な対応を心がけましょう。

まとめ

会社が返済できなくなった場合に、信用保証協会が肩代わりをするのが「代位弁済」。その代位弁済が、具体的にはじまるタイミングはいつなのか? 会社の対応や注意点などもふまえて、押さえてきましょう。

望まぬ代位弁済とならならいように、いざ代位弁済となったときにあわてることがないように。代位弁済については、あらかじめ理解をしておくことも大切です。

このあとの話の内容
  • 代位弁済はいつはじまるのか
  • 代位弁済を回避するには
  • 代位弁済となったときの対応
信用保証協会の代位弁済はいつはじまるのか?

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