いまさら感のあるポモドーロテクニック。とはいえ、10もの効果を実感しているので、それらの効果を紹介しつつ、利用上の注意点や関連事項などもふまえてお話をしていきます。
なにをいまさら、されどいまさら。
ポモドーロテクニックと言えば、有名なライフハック(仕事術)のひとつ。「なにをいまさら」という感じで、わたし自身、ずいぶん前から実践を続けています。
が、最近になって、利用頻度が増えたこともあり、あらためて「効果」を考えてみたら、ぜんぶで 10もあったんですよね。どうりで利用頻度も増えるわけだ… と、ひとり合点がいくところ。
せっかくなので、いまさらポモドーロテクニックのススメとして、その効果をお話ししてみることにします。あわせて、利用上の注意点や関連事項などもふまえて。
で、わたしが感じている具体的な効果はこちらです↓
- 脳の疲労を軽減できる
- 休み過ぎの防止になる
- エンドレスから解放される
- 締め切り効果がはたらく
- マルチタスクの予防になる
- マインドフルネスが身につく
- 生産性を計測できる
- スケジュールの精度が上がる
- ツァイガルニク効果がはたらく
- 集中モードのスイッチになる
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
念のため、ポモドーロテクニックとは?
本題である「ポモドーロテクニックの10もの効果」をお話しする前に。念のため、「ポモドーロテクニックとは?」について、カンタンにご紹介をしておきます。「もう、じゅうぶんに知ってるよ」ということであれば、読み飛ばしていただいてかまいません。
さて、ポモドーロテクニックとは、イタリア人のフランチェスコ・シリロさんによって、1980年代くらいに考案されたライフハックです。ポモドーロテクニックの具体的な手順は、次のとおり↓
- 実行するタスクを決める
- タイマーを 25分にセットする
- タイマーが鳴るまでタスクを実行する
- タイマーが鳴ったら5分休憩する
- 以上を繰り返す
- 4回繰り返したら、長めに休憩する(15〜30分)
と、いたってシンプル。用意するものもタイマーのみなので、いますぐにでもはじめられます。
ところで、なんで「ポモドーロ」なのか? まぁ、これも有名すぎるハナシでして、いまさら感がすごいですが。ポモドーロとは、イタリア語で「トマト」のこと。考案者のフランチェスコ・シリロさんが、「トマト型のキッチンタイマーを使っていたから」らしいです。
なお、ポモドーロテクニックに「向いている人・向いている仕事・向いている作業」はなんなのか。わたしが調べた限りでは、絶対的な正解はないようです。
クリエイティブな仕事にこそ向いている! と言う人もいれば、向いていない! という人もいる。単調なデスクワークに向いている! と言う人もいれば、やっぱり、向いていない! という人もいる。どっちやねん、です。
なので、そこはじぶんで、いろいろなタスクをためしてみて、じぶんに合ったタスクに対して、ポモドーロテクニックを取り入れればよいのではないでしょうか。という、元も子もないことを言っております。
と、前置きはこれくらいにして。本題に入りましょう。
ポモドーロテクニックの10もの効果
ポモドーロテクニックの効果は、ぜんぶで 10。利用上の注意点や関連事項などもふまえて、確認をしていきます。
脳の疲労を軽減できる
そもそも、ヒトはそれほど長いあいだ集中することはできないと言われています。脳が疲労するからですね。そこで、ポモドーロテクニックの「こまめな休憩」が役立ちます。強制的に休憩をすることで、その後の集中力を維持しやすくなるのがメリットです。
いやいや、オレは・ワタシは、ぶっ続けで集中できる! と、おもわれるかもしれませんが。長時間の集中によって、脳には疲労が蓄積されます。その蓄積が大きいほど、回復には時間がかかるとされ、翌日以降の生産性に悪い影響がある、との研究結果もあるそうで。休憩はだいじ。
ちなみに、休憩時には「立ち上がる」ようにしましょう。座りっぱなしが良くないことも、ご存知のとおりです。立ち上がって、ストレッチや筋トレ(わたしはよく、スクワットをします)などをすると、血行がよくなって、より集中力が高まるのでおすすめ。
休み過ぎの防止になる
休憩がだいじなのはわかっている。でも、休憩をすると、休憩をしすぎてしまう。休み過ぎてしまうんだよねぇ… という人もいるのではないでしょうか。わたしもそうです。
この点で、ポモドーロテクニックでは「短い休憩(5分)」が基本ですから、休み過ぎの防止になります。休む前には、5分のタイマーをかけておけばよいでしょう。短い休憩で、「集中して休む」のもだいじなこと。ダラダラ休んでいたのでは、良い休憩にはなりません。
また、スマホゲームや、SNS・メールの新着チェックなど。これらは、休憩とは言えないものでもあります。休憩のときくらいは、スマホやパソコンの画面から離れるようにしてみましょう。窓を開けて空気を入れ替える、水分を摂るなどは、リフレッシュ効果が高い休憩としておすすめです。
エンドレスから解放される
ポモドーロテクニックのような「区切り」がないと、「エンドレス」になることもあるでしょう。おわりのない仕事、おわりのない作業は、カラダに負担があるのはもちろん、ココロにも負担をかけているものです。実際、「いったいいつおわるんだ…?」と、苦悩を続けた挙げ句、心身に支障をきたした過去もあります。
これに対して、ポモドーロテクニックがあれば、「ひとまず 25分」です。そこでいちどは区切りをつけることができます。そのうえで、「もう夕方」であれば、「きょうはこれくらいにしておこう」と、仕事を切り上げる「きっかけ」にもできるでしょう。しくみとして、「きっかけ」をこしらえておくのも大切なことです。
締め切り効果がはたらく
締め切りまぎわになると、急に、やる気と集中力が高まり、一気に仕事が片付いた! みたいな経験が、だれにでもいちどくらいはあるのではないでしょうか。これを心理学では、「締め切り効果」と呼んでいます。
ポモドーロテクニックでは、25分という「締め切り」を設けることで、「締め切り効果」がはたらきやすい状況をつくれるのがメリットです。いっぽうで、「締め切りがまったくない・時間がたっぷりある」と、生産性が落ちてしまうのがヒトでもあります。
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する。というのは、これまた有名な「パーキンソンの法則」です。ちょっと調べ物のつもりが、気がついたら1時間… とか。30分でおわらせるはずの会議が、もうすでに2時間… とか。あるあるです。
このような状況を避けるために、ポモドーロテクニックを利用してみるのもよいでしょう。
マルチタスクの予防になる
複数のタスクを同時並行で実行することを「マルチタスク」といいます。たとえば、Excelで作業をしている最中に、メールのチェックをするとか。テレビを観ながら、執筆作業をするとか。そんなマルチタスクには、「生産性が低下する」というデメリットがあります。
タスクを切り替えるたびに、集中力が途切れたり、あらためて作業をはじめるための段取り(物理的にも、心理的にも)が必要になるからです。研究によれば、マルチタスクでも生産性が落ちない「特別なヒト」は、2%しかいないことがわかっています。
じぶんが、その2%であるという保証はありません。多くの人にとっては、マルチタスクよりもシングルタスク。ひとつのタスクに集中をするほうが、生産性は高まるものです。この点で、ポモドーロテクニックでは、「〇〇のタスクをはじめる」という手順があります。
ひとつのタスクを認識したうえでスタートしているので、マルチタスクにはなりにくい。25分という時間を計測していもいるために、やはり、マルチタスクにはなりにくいのは、ポモドーロテクニックの大きな効果のひとつです。
マインドフルネスが身につく
最近ではよく聞く言葉に、「マインドフルネス」があります。ひとことで言ってしまえば、「いま、この瞬間に集中すること」です。それがだいじなことは言うまでもありませんが、実際には、過去を思い悩んだり、未来を憂いたり、なんやかんやの雑念によって、マインドフルネスの実践はカンタンではありません。
ところが、ポモドーロテクニックを利用しているあいだは、25分の「時間制限」もあってか、強制的な「マインドフルネス」の状態をつくりやすくなります。この 25分は〇〇という作業に集中する、という状態です。
これによって、ポモドーロテクニックを利用しているとき以外でも、マインドフルネスを実践しやすくなるのではないかと考えています。マインドフルネスは、訓練で鍛えられることもわかっています。たとえば、瞑想とか。だとすれば、ポモドーロテクニックで鍛えられることもあるはずです。
マインドフルネスには、ストレス軽減や免疫力向上といった心身の効用に加えて、「いま、この瞬間を生きる」という人生の充実度・幸福度を上げる効用もあります。ポモドーロテクニックを、マインドフルネスを身につけるトレーニング、と考えてみるのはいかがでしょうか。
生産性を計測できる
ポモドーロテクニックを利用して、25分という「区切り」ができるようになると、じぶんの生産性を「数字」で計測しやすくなる効果があります。
たとえば、執筆作業。ポモドーロテクニックを2回繰り返すと1時間ですから、そのあいだに 2,000文字書ければ、「時間あたり 2,000文字」という生産性を知ることができるでしょう。これにより、タスクごとの生産性を把握できるのはメリットです。
じぶんの生産性はどれくらいなのか、といわれても。意外と答えられない… ということもあるはずです。ポモドーロテクニックを利用すれば、生産性を数字で明らかにしつつ、さらに生産性を上げるにあたっての「指標」にすることもできます。
スケジュールの精度が上がる
いましがた、ポモドーロテクニックによって、生産性を計測できるといいました。じぶんの生産性を知ることで、さらに得られる効果があります。それは、スケジュールの精度が上がる、という効果です。
たとえば、「時間あたり 2,000文字」という生産性を把握していれば、5,000字の執筆作業なら「おおむね 2.5時間」というスケジュールを立てることができます。なんの「目安」もなくスケジュールを立てるよりも、精度が上がるはずです。
精度が低いスケジュールを立てれば、ほかのスケジュールも含めて「スケジュール全体」が崩壊してしまいますから、精度が高いスケジュールを立てられることにはメリットがあります。ポモドーロテクニックを利用することで、いろいろなタスクの生産性を把握して、スケジュールを立てるときの目安にしてみましょう。
ツァイガルニク効果がはたらく
ポモドーロテクニックでは、25分という「区切り」があるために、中途半端なところでも、いちど中断をしなければならないケースがあります。それはそれでどうなのか? とおもわれるかもしれませんが。
ヒトは、中途半端な状態なものごとについては、記憶に残りやすく、緊張感や集中力が継続するということがわかっています。心理学で言う「ツァイガルニク効果」です。この効果のおかげで、5分の休憩を挟んだとしても、続きの作業にスムーズに入ることができる。結果として、作業全体をとおして、高い集中力を維持しやすいという効果があります。
なので、中途半端なところであっても、「あともうちょっとだけ…」などと粘らずに、スパッと休憩をとるようにしましょう。きちんと休憩をとらなければ、疲労を軽減する効果が失われてしまいます。
集中モードのスイッチになる
と、ここまで、ポモドーロテクニックの効果を9つほどお話ししてきました。が、わたしは必ずしも、いつもいつもポモドーロテクニックを利用しているわけではありません。どちらかと言えば、「ここぞ」というとき、「とくに集中したい」というときに、ポモドーロテクニックを利用しています。
これは、ポモドーロテクニック自体を、集中モードのスイッチと位置づけているからです。なんとなく散漫な気分のときにも、「ひとまず 25分」ということであれば、作業をはじめやすくなります。その 25分によって、集中モードがオンになることはあるものです。
というように、ポモドーロテクニックは、集中力を発揮するための「とっかかり」としても役立ちます。
まとめ
いまさら感のあるポモドーロテクニックではありますが。とはいえ、10もの効果を実感しているので、それらの効果を紹介しつつ、利用上の注意点や関連事項などもふまえてお話をしてきました。
ちなみに、ポモドーロテクニックで使うタイマーは、専用のタイマーを準備することをおすすめします。おすすめしないのは、スマホのタイマーです。スマホは気を散らす、いちばんの原因になります。ポモドーロテクニック中はむしろ、スマホは見えないところにしまっておくくらいがちょうどいい。
わたしは、こんなタイマーを使っています。置き方を変えるだけで、25分や5分のタイマーをスタートできるので便利です↓