会社が銀行から融資を受けるにあたって、「コネ」はあったほうがいい。というハナシはほんとうなのか? コネはほんとうに必要なのか? では、コネがなければ、会社はどうすればいいのかについてお話をしていきます。
結論、コネは必要ない。
会社が銀行から融資を受けるにあたって、「コネ」があったほうがよいのではないか? とのハナシがあります。
つまり、いままで融資を受けたことがない銀行から融資を受けるにあたって、だれか有力者にその銀行を紹介してもらう。結果として、融資が受けられる・融資が受けやすくなるはずだ、という論理です。
が、結論として、銀行融資を受けるのにコネは必要ありません。コネがあればあったで、メリットがゼロではないものの、なければないでかまわない。
というわけで、このあと、銀行融資を受けるのにコネは必要ない理由と、コネがなければ会社はどうすればよいのかについて、お話をしていきます ↓
- 銀行融資を受けるのにコネは必要ない理由
- コネがなければ会社はどうすればよいか
コネに頼りすぎたり、期待しすぎたりしないように。そして、誤った銀行対応をすることがないように。確認をしていきましょう。
銀行融資を受けるのにコネは必要ない理由
まずは、銀行から融資を受けるのに、コネは必要ない理由を押さえておきましょう。ぜんぶで、3つあります。
メリットは限られているから
「コネは必要ない」とは言いましたが、あればあったでメリットがないわけではありません。では、そのメリットとは? 「入口がスムーズになる」ことです。
いままで融資を受けたことがない銀行から融資を受けようとした場合、その銀行は「警戒」します。「ほかの銀行で融資を断られて、やむなくウチに借りに来たのでは…?」という警戒です。
この点で、だれか有力者からの紹介があれば、銀行の警戒がやわらぐということはあるでしょう。これが、「入口がスムーズになる」ということです。とはいえ、メリットはここまで。
そのあとはじまる融資審査が甘くなる、などということはありません。そう考えると、コネのメリットは「入口まで」であって、きわめて限定的なのです。
また、「ほんとうに有力者なのか?」という問題もあります。銀行を紹介してもらうのだとすれば、知り合いの社長や顧問税理士などが多くなるでしょう。ところが、銀行との関係性がどこまで「深い」ものなのかはケース・バイ・ケースです。
場合によっては、「存在を認識しているていど」ということもありえます。だとすると、「入口」としてのメリットもあやしいものです。
紹介者に迷惑をかけることもあるから
それでも、だれか有力者とおもわれる人を見つけて、銀行を紹介してもらったとします。では、このとき、もしも自社の決算書が「大きな赤字かつ大幅な債務超過」であったとしたらどうでしょう?
大きな赤字ということは、返済力がないということ。大幅な債務超過ということは、すでに借入過大ということ。有力者からの紹介だからといって、銀行が融資できない状況です。
とある銀行員の方から聞いたのは、「融資ができないような会社ばかりを紹介されるのは、ありがた迷惑だ」というハナシ。紹介してくれるのであれば、融資ができるような会社を紹介してほしい… それが銀行員の本音のようです。
なので、自社の決算書の内容が悪いのにもかかわらず、有力者にムリを言って紹介してもらうと、紹介者に対して迷惑が及ぶ可能性は否定できません。
大きな赤字で、大幅な債務超過という「極端な例」を挙げましたが、実際には、どういう状況で照会者に迷惑がかかるかはわからないものでもあります。迷惑をかけるくらいなら、コネは必要ないという考え方もあるでしょう。
再現性がないから
コネには「再現性」がありません。たとえば、Aという紹介者とBという銀行によって、コネが成り立っている場合。どちらかいっぽうがいなくなれば、コネによるメリットはえられなくなってしまいます。
紹介者Aが顧問税理士だとすれば、顧問税理士を変えた場合にはコネがなくなる。融資を受けたいのがC銀行だった場合、紹介者Aにはコネがない。となると、コネによるメリットは得られないわけです。
よって、この場合、コネのメリットがえられるのは、紹介者AとB銀行というケースのみであって、その他のケースでは再現できないメリットだと言えます。
また、銀行員には「異動」もありますから、特定の銀行員と懇意にしていたとしても、異動によってコネが消失することもあるでしょう。やはり、再現性がなくなります。
だとすれば、コネに頼りすぎたり、期待しすぎたりはしないように。そもそも、コネは必要ないとも考えられるところです。
コネがなければ会社はどうすればよいか
コネのメリットは、「入口がスムーズになる」ことだという話をしました。そのコネが無いのであれば、会社自身で入口をスムーズにすることです。ポイントは、おもに3つあります。
突然、銀行に駆け込まない
いきなり銀行の店頭に出向いて、融資を依頼するのはいけません。銀行から警戒されるばかりです。「そんなにあせっておカネが必要なほど状況が悪いのか? ほかの銀行で断られたのか?」などと、見られてしまいます。
なので、突然、銀行に駆け込めば、ほぼ間違いなく融資が受けられないことを理解しておきましょう。最低でも、まずは電話をして、アポイントをとるところからです。焦っているフンイキを出してはいけませんので、時間的にも余裕をもって対応することが重要になります。
とはいえ、「融資を目的」にアポイントをする時点で、銀行からは警戒されるものです。そこで、おすすめなのが、次のお話になります↓
口座開設からはじめる
融資を受けようとしている銀行が、まだ口座を持っていない銀行であれば、まずは口座をつくるところからです。これであれば、融資を申し込むよりは、銀行の警戒感もやわらぎます。
なお、銀行に口座開設の申し込みをすると、社長面談があったり、会社への訪問があったり。ここでの「対応」がポイントです。やってはいけないのが、このタイミングで融資を申し込むこと。
ここで融資の話をすると、銀行の警戒感が一気に高まります。ですから、あくまで口座開設を進めるようにしましょう。とはいえ、こちらの目的は融資です。では、どうするか?
銀行から言われずとも、「決算書3期分」を渡します。直近の決算書だけを求められたとしても、です。3期分渡すのは、銀行が融資審査をするには直近の決算書だけでは不十分だからです。
ただし、「融資審査に必要でしょうから」と言って渡すわけにはいきませんので、話の流れのなかで「参考にどうぞ」という体で渡すようにしましょう。銀行との面談のなかで、会社の概要や状況などの話をしているタイミングで渡すのがおすすめです。
そもそも、銀行はおカネを貸すのが商売ですから、決算書3期分を見た銀行が「貸したい、貸してもいい」と考えれば、いずれ銀行のほうからアプローチがあります。これであれば、入口としてはスムーズです。
このような銀行のアプローチを「待てる」ように、時間的な余裕をもって対応できるようにしましょう。繰り返しになりますが、融資を焦っているとわかれば、銀行は警戒するものです。
選んだ理由を決めておく
まずは、「口座開設をしましょう」という話をしました。ここで注意点があります。それは、「その銀行を選んだ理由を決めておく」です。
銀行からは必ず、「なぜ当行を選ばれたのか?」と聞かれます。やはり、ほかの銀行で断られたからではないのか? を警戒しているからです。では、どのような理由がよいのか、というと。
いちばんよいのは「近いから」です。会社の近くだからというのは、「きわめて自然」な理由になります。これに加えて、「以前から、社長個人では利用している」とか、「取引先が利用している」とか、「顧問税理士に勧められた」といった理由があるとなお良しです。
まとめ
会社が銀行から融資を受けるにあたって、「コネ」はあったほうがいい。というハナシもありますが、実際には、必ずしもコネは必要ありません。あればあったで役に立つこともありますが、なければないでかまわない。
その理由と、コネがなければ会社はどうすればよいのかを押さえておきましょう。コネに頼りすぎたり、期待しすぎたり、誤った銀行対応をするのを避けられるはずです。
- 銀行融資を受けるのにコネは必要ない理由
- コネがなければ会社はどうすればよいか