会社が創業融資を受けるメリットについてお話をしていきます。もちろんデメリットもありますが、それを上回るだけのメリットかどうかを確認しておきましょう。
メリットはデメリットを上回るか。
会社を創業するにあたって検討すべきことの1つに、「融資を受けるかどうか」が挙げられる。つまり、創業融資を受けるかどうか。
この点で、検討する際の「参考」として、会社が創業融資を受けるメリットを押さえておくとよいでしょう。具体的には次の5つです↓
- 融資が受けやすい
- その後の融資も受けやすい
- 財務的につぶれにくい
- 経営的につぶれにくい
- 無担保・無保証で借りられる
これらは、創業まもなく資金力・信用力が乏しい中小企業にあっては大きなメリットです。もちろん、借りたものは返さねばなりませんし、利息を払わなければならないというデメリットはあります。
それでもデメリットを上回るだけのメリットがあるのかどうか、確認しておきましょう。
会社が創業融資を受けるメリット5選
融資が受けやすい
同じ銀行融資であっても、創業融資とそれ以外の融資(創業後の融資)とでは「受けやすさ」が違います。結論として、「創業融資は受けやすい」ということを覚えておきましょう。
おもな理由は、実績を見られずに済むからです。当然ながら、創業時には事業の実績がありません。いっぽうで、創業後に融資を受ける場合には、事業の実績があります。ゆえに、その実績の良し悪しが融資の受けやすさに影響するわけです。
端的にいえば、業績が良ければ融資が受けやすく、業績が悪ければ融資が受けにくい。では、創業融資を受けずに事業をはじめて、その後、業績が悪くなってしまったらどうでしょう?
おカネが不足しますから融資を受けたいところですが、業績が悪いため、カンタンに融資を受けることはできません。創業後しばらくのあいだ、売上・利益が伸び悩むのはよくあることで、けして少なくはない会社が陥っているパターンだといえます。
繰り返しになりますが、創業融資であれば業績は関係ありません。相応の自己資金があるかどうか、計画は妥当か、といった点をクリアすれば融資を受けることができます。そういう意味で融資が受けやすいのは、創業融資のメリットです。
創業する社長のなかには、「おカネが必要になったら借りればいい」と考えている社長がいます。ですが、おカネが必要になったときは業績が悪いものであり、融資が受けにくい状態であることを理解しておきましょう。
その後の融資も受けやすい
いちど融資を受けて、返済がはじまると、「借りた実績・返した実績」ができます。借りた実績があるということは、銀行の審査をクリアできたということです。返した実績があるということは、それだけの返済力があるということです。
よって、それらの実績がある会社は融資が受けやすくなります。ところが、創業融資を受けるときには、「借りた実績・返した実績」はありません。はじめての融資だからです。
すると銀行が融資をしづらくなってしまうので、公的機関である日本政策金融公庫や信用保証協会が、創業融資を積極的にあと押ししています。
にもかかわらず、創業融資を逃してしまうと「借りた実績・返した実績」がないまま、その後の融資に臨むことになります。当然、融資が受けにくくなるのが問題です。いっぽう、創業融資を受けた会社であれば、実績ができていますから、その後の融資も受けやすくなります。
会社が成長すれば、必要なおカネが増えるものです。このとき、銀行融資が受けにくいと成長にブレーキがかかってしまいます。創業後、スムーズに資金調達できるように、創業融資を受けておくことも考えてみましょう。
ちなみに、創業融資で「据置期間」を設定した場合、据置期間中は「返した実績」ができません。これは、その後の融資の受けにくさにつながります。その後の融資を考えるのであれば、据置期間を長くとりすぎないのがおすすめです。
財務的につぶれにくい
創業後しばらくのあいだ、売上・利益が伸び悩むのはよくあることだ、と前述しました。ほんとうによくあることですし、想定以上に伸び悩むことがありますので気をつけましょう。
どう気をつけるかといえば、おカネを用意しておくほかありません。売上・利益を伸ばす努力はしているという前提であれば、あとはおカネを用意しておくしかないのです。
そのおカネがあればあるほど、時間をかせぐことができます。だとすれば、創業融資を受けておカネを用意することが有効な手段になるとわかるはずです。
支払う利息がもったいない、という社長もいますが。利息を渋ったばかりに、のちのちおカネが足りずに会社をつぶしてしまうのでは元も子もありません。実際に、「あともう少し時間があれば軌道に乗せられたのに…」と後悔をしながら、会社をつぶした社長もいます。
創業に自信がある社長ほど、「融資は必要ない」と考えるものです。でもほんとうは、その逆にするのがよいのではないでしょうか。つまり、「とりあえず、創業融資を受けておく。最終的におカネを使わなければ返せばいい」ということです。
自信がないのであれば、借りるのにも躊躇するのはわかります。ですが、多くの社長は自信があるからこそ創業をするのでしょう。だとすれば、あえて創業融資を受けることで、手元におカネを用意する。結果、財務的につぶれにくい状態を目指すことをおすすめします。
経営的につぶれにくい
創業融資を受けると財務的につぶれにくくなる、と前述しました。実は、経営的にもつぶれにくくなります。
創業融資を受けるにあたっては、「創業計画書」の作成が必要です。その計画書をもとに、銀行は融資審査をします。ですから、銀行の審査をクリアできる計画書を作成しなければいけません。
そのためには、根拠のある売上計画や、慎重な経費計画、設備投資計画を検討する必要があります。社長は創業融資を通じて、経営について思案し、銀行という第三者の評価を受けることにもなるわけです。
いっぽうで、創業融資を受けない社長はどうでしょう? 極端をいえば、計画書をつくらずに事業をはじめることができます。つくっていたとしても、第三者の評価を受けるわけではありません。「客観性」や「実現可能性」が欠けた計画書になることもあるはずです。
そう考えると、創業融資を受ける社長のほうが、計画を練り上げる必要がある分だけ、経営的につぶれにくい会社をつくることができるといえるのではないでしょうか。
無担保・無保証で借りられる
創業融資の代表格である、日本政策金融公庫の新創業融資であれば、原則、無担保・無保証です。創業後の融資であれば、担保が必要になったり、保証人が必要になることがありますから、無担保・無保証はメリットです。
中小企業は社会的信用の面で不安があることから、無保証で融資を受けるのは難しいものがあります。社長の連帯保証が必要になったり、信用保証協会の保証が必要になったり、です。
社長の連帯保証となれば、会社が返済できないときには社長個人が返済しなければいけません。信用保証協会の保証を得るためには、安くはない信用保証料を払わなければいけません。
ところが、創業融資であれば、そういった心配をしなくてすみます。同じ融資を受けるのであれば、無担保・無保証のほうがよいはずですから、あえて創業融資を借りておくことも考えてみましょう。
まとめ
会社が創業融資を受けるメリットについてお話ししてきました。もちろんデメリットもありますが、それを上回るだけのメリットかどうかを確認しておきましょう。
創業まもなく資金力・信用力が乏しい中小企業にあっては大きなメリットです。
- 融資が受けやすい
- その後の融資も受けやすい
- 財務的につぶれにくい
- 経営的につぶれにくい
- 無担保・無保証で借りられる