なぜ銀行は融資先に経営計画書の提示を求めるのか? 提示が必須ではないにも関わらず、経営計画書の提示を求められるのであれば、そこには銀行の目的があるはずです。
決算書は必須だが、経営計画書は必須ではない。
融資を受けている会社・融資を受けようとしている会社は、銀行から「経営計画書」の提示を求められることがあります。
融資を受けるにあたって、「決算書」の提示は必須ですが、経営計画書は必須ではありません。それでも、経営計画書の提示を求められるのであれば、そこには銀行の目的があるはずです。
というわけで、なぜ銀行は融資先に経営計画書の提示を求めるのか? について、お話をしていきます。具体的には、次のとおりです↓
- 先行きに不安を感じているから
- 将来の利益を知りたいから
- 会社の方向性を知りたいから
それではこのあと、順番に確認していきましょう。
なぜ銀行は融資先に経営計画書の提示を求めるのか?
先行きに不安を感じているから
銀行は、業績が悪い融資先に対して、経営計画書の提示を求めることがあります。業績が悪いとは、赤字であったり、預金が少なかったり… という状態です。
そういった状態の会社の「先行き」を銀行は不安を感じることから、「貸したおカネを返してもらえるのか?」を判断するための材料として、経営計画書の提示を求めることになります。
逆に、黒字続きで、預金も潤沢な状態であれば、経営計画書の提示を求めるまでもありません。したがって、経営計画書の提示を求められたときには、「銀行が不安に感じるほど危険な状態かもしれない」と考えてみましょう。
このとき、「メンドーだから提示しない、つくれないから提示しない」ということになると、当然、融資が受けにくくなります。求められた資料は提示するのが、銀行対応の鉄則です。
なお、業績が悪いことが前提ですから、「なぜ、業績が悪いのか?」の原因特定は欠かせません。原因がわからないままに、いくら「バラ色の計画」を描いたところで、銀行に信用してもらうことはできないからです。
なので、「現状分析→原因特定→対策検討」に関する一連の情報を、経営計画書のなかに織り込むようにしましょう。一番やってはいけないのにやりがちなのが、数値計画だけの経営計画書です。
また、債務超過(資産<負債の状態)の会社は、「3年以内に債務超過を解消できる」ことが1つの目安になります。逆に、3年を超えるようだと、銀行としては「新規融資」が難しくなるでしょう。
この場合には、5年以内に債務超過の解消を目指して、「リスケ(返済の猶予・減額)」が手段になります。ただし、リスケをするのにも計画は必要です。リスケをしなければいけないほど状態が悪い場合の計画書を、「経営改善計画書」と呼びます。
経営改善計画書について、くわしくはこちらの記事もどうぞ↓
将来の利益を知りたいから
大きな赤字というわけでもなく、それほど預金が少ないわけではなくても、銀行から経営計画書の提示を求められることがあります。それが、「将来の利益を知りたいから」です。
返済原資は「利益」と言われますが、厳密には「将来の利益」です。この点で、決算書の記載される利益は「過去の利益」であり、いくら黒字でも、将来も黒字かどうかはわかりません。
そこで、将来の利益を知るために、銀行は「経営計画書がほしい」と考えます。決算書から見たときに、「年間返済額 > 税引後利益 + 減価償却費」の状態にあるような融資先についてはとくに、です。
そういった状態にある会社は、つまるところ「利益が不十分」なのであり(黒字だとしても)、将来の返済に不安があります。
ゆえに、経営計画書においては、近い将来に「年間返済額 < 税引後利益 + 減価償却費」を実現できること、将来の返済に問題がないことを示せるかどうか? がポイントです。
決算書が黒字の会社の社長は、「決算書が黒字なんだから、借りられるに決まっている!」と考えることがあります。が、決算書は「あくまで過去」の情報に過ぎません。
将来の情報は、決算書では足りないのであり、銀行は将来の情報を知りたがっていることを理解しておきましょう。そう考えると、銀行から提示を求められずとも、経営計画書を提示できるほうが、銀行は融資を検討しやすくなることもわかるはずです。
なお、決算書は「あくまで過去」の情報に過ぎませんが、「過去の延長が将来」でもあります。ですから、将来の計画が「あまりのも過去と乖離している」と、その計画は信じてもらいにくくなることは覚えておきましょう。
決算書の数字と計画書の数字を繋げてみたときに(折れ線グラフだとわかりやすい)、違和感がないかどうか、なめらかに繋がっているかどうか? というのは、銀行の視点になります。
会社の方向性を知りたいから
ここまで、いますでに業績が悪い会社の話と、いまそこまで業績が悪くなくても将来の利益に不安がある会社の話をしてきました。
それらに対して、いま業績が良いとしても、銀行から経営計画書が求められることはある、という話も確認しておきましょう。ではなぜ、業績が良いにもかかわらず、銀行は経営計画書の提示を求めるのか?
それは、「会社(社長)の方向性を知りたいから」です。繰り返しになりますが、決算書は「過去」の情報であり、そこから「将来」の方向性を探るのは困難だと言えます。
これまた繰り返しになりますが、銀行が貸したおカネの返済原資は「将来の利益」なのですから、銀行は融資先の「方向性」についても関心を持っているものです。
また、最近では「事業性評価」という考え方が広がっています。事業性評価とは、「これまでのように、決算書の良し悪しや担保・保証の有無にばかりとらわれず、事業の内容や将来性を評価しよう」という考え方です。
金融庁は銀行に対して、事業性評価による融資を推しています。よって、銀行は事業性評価に取り組まざるをえない状況でもあり、そのために融資先の「方向性」について関心を強めている。という背景があることも、社長は覚えておくとよいでしょう。
ですから、銀行から経営計画書の提示を求められても、「業績だって良いのに、経営計画書をつくるなんてめんどくさい…」などとはおもわずに、これを機会に経営計画書を作成・提示することをおすすめします。
結果として、銀行からの理解が深まり、関係性が強化されることから、中長期的な視点での支援を得られるのがメリットです。つまり、ちょっと業績が悪くなったからといって、冷たくあしらわれるようなことが減り、将来に向けた投資についても理解を得やすくなるでしょう。
そう考えると、銀行から提示を求められずとも、経営計画書を提示するのも1つの方法だとわかるはずです。
まとめ
なぜ銀行は融資先に経営計画書の提示を求めるのか? 提示が必須ではないにも関わらず、経営計画書の提示を求められるのであれば、そこには銀行の目的があるはずです。
したがって、求められているのに提示をしないのは最悪ですし、銀行の目的を理解できずに提示をするのでは、経営計画書の効果も半減してしまいますから気をつけましょう。
- 先行きに不安を感じているから
- 将来の利益を知りたいから
- 会社の方向性を知りたいから