社長は「銀行員の不安」を理解した会話・行動ができるとよいでしょう。銀行員の不安を軽減できれば、銀行員は融資に対して積極的に取り組みやすく、融資の受けやすさにつながるからです。
社長も不安、銀行員も不安。
銀行から融資を受けている会社の社長は、銀行員(銀行担当者)と接する機会が多くあるでしょう。それでも「銀行対応は不安だ…」と感じる社長がいるいっぽうで、銀行員もまた不安を感じていることがあります。
社長は、その「銀行員の不安」を理解した会話・行動ができるとよいでしょう。銀行員の不安を軽減できれば、銀行員は融資に対して積極的に取り組みやすくなるからです。結果として、融資の受けやすさにつながります。
では、銀行員の不安とは、具体的にどのようなものなのか? 実際に、銀行員の方(元銀行員も含む)から聞いたこととしては次のとおりです↓
- わからないと呆れられる
- 断ったら叱られる
- なにを話せばよいかわからない
- 久しぶりだと会いにくい
これら銀行員の不安について、社長が会話・行動で気をつけるとよいこともふまえて、お話ししていきます。
社長が理解すべき銀行員の不安とは
わからないと呆れられる
銀行員には、「聞きたいことがあるけれど、そんなことを聞いたら、社長に呆れられるかもしれない…」と不安を感じるときがあるそうです。
たとえば、決算書の内容について。どうして原価率が上がっているのか、を聞きたい。でも、社長から「そんなこともわからないのか」と言われたり、思われたりするのはイヤだ… みたいな。
なかには、「そんなことに答える必要はない!」と怒り出す社長もいるそうですから、銀行員が不安になるのも無理からぬハナシだと言えるでしょう。
こうして、銀行員が聞きたいことを聞けないとどうなるか? 融資の審査に必要な情報、役立つ情報を得られず、結果として、融資が受けにくくなってしまいます。
ですから、社長はふだんから「銀行員が聞きやすいフンイキ」をつくるようにしましょう。「わからないことがあれば、なんでも聞いてください」といった具合です。
なお、銀行員が「聞きたいけれど聞けないこと」の1つに、「事業内容」が挙げられます。融資先が、どのような商売(だれに・なにを・どのように売るか)をしているか? ということです。
異動によって、あらたに担当になったので、事業内容をあらためて聞きたい。でも、会社と銀行とのお付き合いは長いのだから、「なにをいまさら?」と呆れられるようではよくないし…
社長は、そんな銀行の不安を理解して、むしろ社長のほうから事業内容を説明できるとよいでしょう。事業内容を知ることは、銀行が融資をするうえで重要なことであり、事業内容も変化をするものですから、なんど説明してもしすぎることはありません。
断ったら叱られる
銀行から融資を断られたときに、怒りだす社長がいます。そういった社長を、銀行員は多かれ少なかれ目にしているために「断ったら叱られる」という不安があるようです。
その不安が大きくなれば、融資の申込みをしても積極的に取り組みづらくなったり、融資の提案をしづらくなったりしていしまいます。会社にとっては不利益でしょう。
なので、融資を断られることがあっても、変に詰めたりはしないことです。「どうして、融資がしてもらえないんだ!」とか、「融資できそうなことを言っていたのにおかしい!」とか。
なかには、銀行の判断・対応が理不尽だとおもえるケースはあるかもしれませんが、それとて詰めたところでそうそう結論は変わりません。もし仮に変わったとしても、その後の関係性は悪くなってしまうでしょう。
銀行員を詰めたり、叱ったりすることには、中長期的なメリットがないのです。
というわけで、融資を断られたときには「次に融資を申し込むときの参考にしたいので、当社のどこを改善したらよいかを教えてほしい」といった、建設的な伝え方をしましょう。
これであれば、銀行員の不安も軽減されて、話をしやすくなるはずです。改善点を知ることができれば、次の融資を受けやすくするのにも役立ちます。
なにを話せばよいかわからない
経験が浅い銀行員の場合にはとくに、「(社長と)なにを話せばよいかわからない」という不安があると聞きます。銀行に対しては、「聞かれたことしか答えない」という社長は気をつけたいところです。
銀行員に「話しづらい社長」というイメージがついてしまえば、銀行の足が遠のく原因になりかねません。銀行とは「コミュニケーション」が大事であり、その機会が減ってしまえば、当然、融資が受けにくくなってしまいます。
とはいえ、銀行員相手になにを話せばよいのか? と、おもわれるかもしれません。
おすすめは、「自社の近況」や「業界の現状」です。自社の近況についてはよいでしょう。前回、その銀行員に会ったときから、いままでのあいだに起きた「変化」を伝えればOKです。
では、業界の現状とは? 自社が属する業界について、最近の動向や、業界全体の課題・問題、業界内で注目されている会社・注目されている理由などが該当します。
そういった話は、銀行が自社を融資審査するときにはもちろん、同業他社の審査をするときにも役立つ情報です。さらには、あらたな融資先を開拓するための情報としても役立ちます。
すると、銀行員は「いつも役立つ情報をくれる社長だ」との印象を持つので、足繁く通ってもらえるきっかけになるものです。コミュニケーションが増え、関係性が深まれば、融資を受けるのにも良い影響があります。
久しぶりだと会いにくい
しばらく会っていないとなると、社長とも会いにくくなる… ということが、銀行員にはあるそうです。しばらく会っていない理由もさまざまですが、銀行員に「来てもらいやすい環境」をつくっているかは考えてみるとよいでしょう。
たとえば、試算表を毎月作成しているのであれば(というか、毎月作成しましょう)、「試算表ができたので見てもらえませんか」と伝えてみるとか。
銀行は、融資先の「近況」を気にしていますから(もし業績悪化していたら、貸したおカネの回収をはからなければいけない)、試算表は欲しい情報の1つです。よって、会社まで来てくれる可能性が高まります。
とはいえ、銀行員も忙しいですから、「毎月はちょっと…」ということもあるでしょう。だとしたら、試算表を取りに来てもらうのは四半期にいちどくらいにして、あとの月はメールで送って、電話で少し話をするだけでも、なにもしないよりはずっとマシだと言えます。
また、たまには社長のほうから、銀行まで試算表を渡しに行く(アポイントをしたうえで)のもおすすめです。銀行員が忙しいとしても、会ってもらえる理由になりますし(銀行にとって試算表は欲しい情報)、取りに行くよりは銀行員の手間も省けます。
というように、銀行員と会う機会をつくることで、「久しぶりだと会いにくい」とおもわれない環境をつくりましょう
まとめ
銀行員の不安を軽減できれば、銀行員は融資に対して積極的に取り組みやすくなり、結果として、融資の受けやすさにつながります。
よって、社長は「銀行員の不安」を理解した会話・行動ができるとよいでしょう。
- わからないと呆れられる
- 断ったら叱られる
- なにを話せばよいかわからない
- 久しぶりだと会いにくい