賞与の支払い・税金の支払いは、まとまったおカネが出ていくのでタイヘンだ… それなら、銀行借入が1つの方法です。いろいろなメリットがあるので、資金繰りを大幅に改善できるかもしれません。
実は、いろいろとメリットがあるのです。
賞与の支払い、税金の支払いは「まとまったおカネ」が出ていくのでタイヘンだ… と、感じる社長が多いことでしょう。資金繰りが悪くなるからです。そこで、銀行借入を利用するという方法があります。
いやいや、おカネを借りてまで賞与や税金を払うなんて… と、おもわれるかもしれませんが。
実は、賞与支払いのためのおカネ(賞与資金)や、納税のためのおカネ(納税資金)を借入することには、いろいろとメリットがあるのです。
この点について、先日、以下のようなツイートをしました↓
このツイートで挙げた3つのメリットがこちらです↓
- 資金繰りがラクになる
- プロパー融資が受けられる
- 業績好調をアピールできる
だとすれば、資金繰りに問題はなくとも、「あえて、借入をする」のも1つの方法です。
というわけで、このあと、これら3つのメリットをくわしく解説していきます。メリットを知り、賞与資金・納税資金の借入を上手に取り組めば、資金繰りの大幅な改善にもつながるところです。きちんと押さえておきましょう。
賞与資金・納税資金を銀行借入するメリット3選
資金繰りがラクになる
賞与資金・納税資金を銀行借入するメリットの1つめは、「資金繰りがラクになる」です。
たとえば、半年ごとに賞与を支給している会社があったとします。すると、賞与を支給するタイミングでまとまったおカネが減るので、その分、資金繰りが悪くなるのが問題です。
そこで、銀行から「賞与資金」として借入をする、という選択肢があります。この場合、基本的には「返済期間6ヶ月・毎月分割返済」です。実質的には、賞与を分割払いできることになります。
賞与支給のタイミングで、まとまったおカネが減るのを防ぎ、資金繰りを安定させられるのはメリットです。
納税資金の借入についても、同じメリットをえられます。納税(法人税)もまた、半年ごとに支払いがあることから、やはり「返済期間6ヶ月・毎月分割返済」が基本です。
賞与資金や納税資金の借入をするのであれば、事前に、銀行へ相談しておきましょう。
このとき、賞与資金であれば、賞与明細一覧表(各人ごとの支給額がわかる書類)を提出する。納税資金であれば、予測の決算書・予測の納税額がわかる書類を提出することが大切です。
なお、賞与資金について、前回支給額と比べて大幅に金額が増える場合などは、その理由をきちんと説明できるようにしましょう。支給対象者が増えたとか、業績が良いので上乗せしたとか。
銀行は、「賞与資金と言いながら、余分に借りて、別のことにおカネを使うのかも」と考えるものです。そのような疑いを晴らすことができないと、借入しづらくなってしまいます。
また、納税資金については「予測」の精度が重要です。いい加減な予測で、「実際には全然違っていました…」では信用を失ってしまいます。顧問税理士に確認をしてもらう、顧問税理士からも銀行に説明してもらうことも考えてみましょう。
プロパー融資が受けられる
賞与資金・納税資金を銀行借入するメリットの2つめは、「プロパー融資が受けられる」です。
さきほど、賞与資金・納税資金の返済期間は6ヶ月、という話をしました。返済期間が短い融資なので、銀行にとっては「回収不能リスク」が小さい融資だと言えます。
したがって、賞与資金・納税資金の借入をするのであれば、プロパー融資が基本です。
プロパー融資とは、信用保証協会の保証がない融資。返済期間が長い融資であれば、銀行は信用保証協会の保証を付けたがりますが、賞与資金・納税資金であればそれほどでもありません。
保証付きの融資になると、会社は信用保証料も払う必要がありますから、避けたいところです。
なお、プロパー融資を受けるメリットは、そのとき限りではありません。つまり、いまプロパー融資を受けるときだけに限らず、将来受ける融資についてもメリットが及ぶのです。
どういうことか、というと。いちどプロパー融資を受けた実績ができると、その実績を活かして、次の融資でもプロパー融資が受けやすくなります。
プロパー融資を受けるにあたって、一番難易度が高いのは「初めて」のプロパー融資です。初めてのときに、長期返済の融資となると「回収不能リスク」が高いので、銀行はより慎重になります。
なので、賞与資金・納税資金の借入で、いちどプロパー融資の実績をつくったうえで、その後の長期借入の際にもプロパー融資を相談してみるとよいでしょう。受け入れられる可能性が高まります。
ちなみに、借りられるなら「プロパー融資」でも「保証付き融資」でもかまわない。というのであれば、それはあまりよい考え方ではありません。なぜなら、プロパー融資にはいろいろとメリットがあるからです。
そのあたり、くわしくはこちらの記事もどうぞ↓
業績好調をアピールできる
賞与資金・納税資金を銀行から借入できることはわかった。でも、ウチはそれほど資金繰りに困っているわけじゃないんだよね。と、おもわれる社長もいるでしょう。
が、「あえて借りる」というのも選択肢の1つだと言えます。なぜなら、賞与資金・納税資金の借入が、自社の業績好調をアピールするチャンスにもなるからです。
賞与が支給できるのは、どちらかと言えば、業績がよい会社です。賞与の額が大きければ、なおさら、業績がよくなければ支給できません。
また、納税資金が必要になるのは、税金が発生するからです。税金が発生するのは、利益が出ているからであり、やっぱり業績が良い会社だということになります。
では、銀行が何を考えているのか? 「業績が良い会社にこそ、おカネを貸したい(回収不能リスクが小さいから)」ということです。
したがって、自社の業績好調をアピールできると、銀行からの融資提案が増えます。
銀行融資は、こちらから「依頼」するよりも、銀行から「提案」されるほうが、借りやすいことを理解しておきましょう。銀行は貸したいから提案をするのですから、当然です。
いっぽうで、こちらから依頼をする場合に、銀行が貸したいと考えるかどうかはわかりません。ケースバイケースです。これだと、借りられる確率が下がります。
というわけで、賞与資金・納税資金の借入を通じて、自社の業績好調をアピールしましょう。
なお、「あえて借りる」ことには、ほかにもメリットがあります。あえて借りると、資金繰りがより安定するので、「納税に対する抵抗(そんなに税金払いたくない…)」が小さくなるものです。
すると社長は、納税を気にせず、よりいっそう利益を出せるようになります。利益が増えれば、決算書もよりいっそうよくなりますので、さらに銀行からの融資提案が増える。好循環です。
まとめ
賞与の支払い・税金の支払いは、まとまったおカネが出ていくのでタイヘンだ… それなら、銀行借入が1つの方法です。そのメリットについて、お話をしてきました。
メリットを知り、賞与資金・納税資金の借入を上手に取り組めば、資金繰りの大幅な改善にもつながるところです。きちんと押さえておきましょう。
- 資金繰りがラクになる
- プロパー融資が受けられる
- 業績好調をアピールできる