会社の銀行融資を借り換えすることには、いろいろとメリットがありますが。いっぽうで、借り換えするときには注意点もありますよ、というお話です。
メリットばかりに目を奪われぬよう。
会社の銀行融資について。既存の融資を「借り換え」する、という選択肢があります。
いまある融資(1本でも複数本でも)を、あらたな融資(1本)で借り換えることによって、たとえば、毎月の返済額を減らせるのがメリットです。金利を下げられることもあるでしょう。
とはいえ、借り換えをするときには注意が必要ですよ、というのが本記事のお話になります。具体的には次のとおりです↓
- 業績が悪くならないうちに
- 他行借換は覚悟をもって
- 各種手数料の確認を
- 返済期間が延びるデメリット
それではこのあと、順番に確認していきましょう。
会社の銀行融資を借り換えするときの注意点
業績が悪くならないうちに
借り換えは銀行にとって、必ずしも好ましいものではありません。借り換えの理由が、毎月の返済額の軽減にあるとして、もしすでに、資金繰りの状況が相当に悪いとしたら…
借り換えとは言っても、実質的には「リスケ(条件変更)」のようなもだとも言えます。つまり、当初の約束どおりには返済できなくなった危険な会社だ、という評価になるわけです。
それでも借り換えを実行して、結局、その会社が返済できなくなってしまった場合はどうなるか?
借り換えに応じた銀行担当者の責任が問われることもあるでしょう。さらには、支店長にまで責任が及ぶこともあるでしょう。だとすれば、「出世」に関わりますから、銀行員としては借り換えを躊躇するのは当然です。
したがって、業績が悪くなってからの借り換えは、難易度が上がることを理解しておきましょう。借り換えをするのであれば業績が良いうちに、少なくとも、業績が悪くなる前です。
業績が良いのに借り換える必要があるのか? と、おもわれるかもしれませんが。利益が出ているとしても、返済額に対しては利益が少ない(税引後利益<年間返済額)ということはあるものです。確認しておきましょう。
他行借換は覚悟をもって
借り換えには、「他行借換(他行肩代わり)」という方法があります。たとえば、A銀行からの既存借入を、B銀行からの新規融資で借り換える、ということです。
B銀行が、A銀行よりも低い金利の融資を提案したきた場合などには、他行借換をしたくもなるでしょう。ですが、社長は「覚悟をもって」実行する必要があります。
なぜなら、この場合、A銀行との関係性は切れてしまうことになるからです。B銀行での借り換えを実行すれば、A銀行は「お客を取られた!」と考えるわけで、ひいては、自社に裏切られたとも考えます。
つまり、「いままで融資をしていたのに、他行に乗り換えるだなんて不義理をする会社とはもう付き合うもんか」と、カンタンに言えばそういうことです。
結果、以降はA銀行からの融資が受けられなくなる可能性があります。すると、会社は取引銀行を1つ失うことになるのですから、社長は慎重に判断しなければいけません。
ちょっと金利が低くなったくらいでは割に合わない、大きなダメージをこうむることもありえます。
各種手数料の確認を
借り換えの理由が、金利の引き下げである場合に気をつけるべきことがあります。それは、金利とは別に、銀行に支払うことになる「各種手数料」です。
借り換えすることによって、あらたな金銭消費貸借契約書の印紙代、事務手数料、不動産の抹消や設定の登記費用などの支払いが必要になり、ぜんぶ合わせると、金利の引き下げ効果が帳消しになることも考えられます。
ですから、事前に各種手数料の金額を確認して、借り換えは本当にメリットがあるのかを検証しなければいけません。
また、既存融資が固定金利の場合には、借り換える際に「違約金」が発生することもあります。当初、融資を受ける際に説明を受けていたはずですが、忘れてしまっていることもあるでしょう。
借り換えを実行する前に、必ず確認をしておくべきところです。いざ借り換えを実行する段階で、多額の違約金に気がついた… となっても、もはやあとには引けなくなってしまいます。
というのでは、なんのために借り換えをしたのかわかりません。
返済期間が延びるデメリット
借り換えのメリットとして、「毎月の返済額が減る」ということについては前述しました。
たとえば、当初 600万円を返済期間 60ヶ月で借入した場合、毎月の返済額は 10万円です。30ヶ月返済が済んだところで(借入残高 300万円)、借り換えをするとします。
借り換えの条件が、金額 300万円、返済期間 60ヶ月だとすれば、毎月の返済額は5万円です。これまでの返済額 10万円の半分になるので、毎月の資金繰りがラクになります。
が、いっぽうで、完済までの期間は延びるのがデメリットです。早く完済したい! と考えている社長にとっては、返済期間が延びることは好ましいことではありません。
また、返済期間が延びるということは、利息を払い続ける期間も延びるわけで、支払う利息の総額が増えることにもなります。これもまた、借り換えによるデメリットの1つです。
というように、借り換えも一長一短あります。メリットとデメリットとをきちんと比較したうえで、借り換えすべきかどうかを検討するようにしましょう。
ただし、あまりに利息を気にしすぎて、必要な借り換えをしないのは問題があります。つまり、「税引後利益<年間返済額」の状態にありながら、利息を増やしたくないから借り換えしない、というケースです。
この場合、利息が増えたとしても「税引後利益>年間返済額」を目指して、借り換えを優先するのがよいでしょう。
まとめ
会社の銀行融資を借り換えすることには、いろいろとメリットがありますが。いっぽうで、借り換えするときには注意点もありますよ、というお話でした。
目先のメリットばかりに目を奪われぬよう、気をつけましょう。
- 業績が悪くならないうちに
- 他行借換は覚悟をもって
- 各種手数料の確認を
- 返済期間が延びるデメリット