社長は銀行との約束を軽く考えてはいけない

社長は銀行との約束を軽く考えてはいけない

銀行から融資を受けている社長は、銀行との約束を守りましょう。「そんなのあたりまえだ」とおもっている社長でも、実は約束を軽く考えているケースもあるので注意が必要です。

目次

言い訳ばかりで、果ては逆ギレ。

銀行から融資を受けている社長が気をつけるべきこととして、「銀行との約束を守る」ことが挙げられます。と聞いて、「そんなのあたりまえだろう」とおもわれるかもしれませんが。

実際には、銀行との約束を軽く考えている社長を見聞きしています。銀行から頼まれたことを「やる」と言われたのにやっていない。そのうえ、やっていないことの言い訳ばかり。果ては逆ギレ。

結果として、融資が受けられない・受けにくくなっている会社はあるのです。

ではなぜ、社長は銀行との約束を軽く考えてはいけないのか? あらためて、まとめてみることにします。おもなところでは次のとおりです↓

社長は銀行との約束を軽く考えてはいけない理由
  • そもそも約束を重んじる文化だから
  • 返済遅延は命取りになるから
  • 次の融資が受けられない理由になるから

それではこのあと、順番に確認していきましょう。

社長は銀行との約束を軽く考えてはいけない理由

そもそも約束を重んじる文化だから

銀行という「仕事柄」、銀行員が約束を重んじることはイメージできるでしょう。事実、銀行融資は「契約」という約束によって実行されるものでもあり、約束が重要であることは明らかです。

そんな銀行員ですから、みずからが約束を守ろうとするいっぽうで、相手にも約束を守ることを求めます。繰り返しになりますが、約束は重要であり、守られるべきものという文化があり、価値観があるからです。

約束といっても、いろいろあります。たとえば、面談日時の約束。その日時に対してルーズな社長はいるものです。毎度のごとく遅刻をしたり、ドタキャンしたり。ひどい場合には失念していたり。

そういった社長が、銀行から嫌われることは言うまでもないでしょう。この点、銀行員は「感情」だけで社長を評価しているわけではありません。

銀行という組織における「評価基準」の1つとして、社長のことを見ています。つまり、社長の資質もまた、会社の融資審査に影響するということです。

おカネを借りるのは会社なのに、なぜ社長個人の資質まで問われるのか? と、おもわれるかもしれません。が、多くの中小企業では、社長が株主でもあり経営者でもあります。

言うなれば、「会社=社長」なのです。ゆえに、銀行には「人を見て貸せ」との言葉もあります。ですから、社長は会社がおカネを借りるときでも、社長個人が見られていることを忘れてはいけません。

約束を守るのは、その実践にあたるものです。たとえ口約束であっても、「やる」といったことは約束どおりに実行しましょう。銀行は、口約束も忘れませんし、記録に残してさえいます。

そういう意味では、社長もまた記録に残すことが大切です。場合によっては、社長のほうから約束事項を文書にまとめて、銀行に渡すのもよいでしょう。

それを見た銀行は、約束を重んじる社長として、社長の資質を評価するはずです。結果として、銀行とのコミュニケーションがスムーズになり、融資が受けやすくなる効果があります。

返済遅延は命取りになるから

資金繰りが厳しいからといって、なんの連絡もせずに、返済日に返済をしない社長がいます。聞けば、「無いものは無いのだからしかたないだろう」と。

たしかに、そうかもしれませんが、「返済日」は約束なのですから、連絡もなしに約束を破るのは問題があります。事前に連絡をして事情を伝える、相談をするのは「当然の対応」です。

また、うっかりしていて返済しそびれる社長もいます。返済日に預金口座の残高が不足していて、引落ができなかった… みたいな。悪意はないとしても、約束を破ったことに変わりありません。

言うまでもないことですが、銀行は返済遅延に対して厳しい見方をしています。「資金繰りの厳しさ=回収不能の可能性が高い」という見方に加えて、「約束違反=社長の資質に問題あり」とも見ているからです。

さらには、返済遅延は「期限の利益の喪失事由」にもあたることから、返済遅延が続くと、銀行からは「一括返済」を求められるケースもあります。社長にとっては、大打撃です。

ちなみに「期限の利益」とは、おカネを借りる側が持つ「期限が来るまでは返済しなてもいいよ、という権利」をいいます。ですから、会社が「期限の利益を喪失事由」にあてはまらない限りは、銀行が一括返済を求めることはできません。

喪失事由については、銀行との契約書(銀行取引約定書)に記載されています。事由の1つが、返済遅延です。

なお、返済遅延にも「罪の重さ」があり、遅れても月内に返済できれば軽く、月を超えてしまうと重くなります。月を超える返済遅延は、より厳しい見方になることは覚えておきましょう。

そう考えると、毎月の返済日は「できるだけ月初」にしておくのが安全だと言えます。遅れたときのことまで… とおもわれるかもしれませんが。石橋を叩いて渡らねばならないのが「資金繰り」です。

たとえ一瞬でも、資金が途切れてしまえば、会社は倒産の危機に立たされます。

次の融資が受けられない理由になるから

銀行との約束を破ったことで、以降の融資が受けられなくなることもあります。前述した「返済遅延」などはその典型です。ただ、それ以外の約束でも気をつけなければいけません。

わりとよくあるケースとして、銀行から「預金取引の増加」や「預金残高の維持」などをお願いされるケースが挙げられます。たとえば、銀行担当者から次のように言われるとか↓

「依頼された融資は実行します。その前提条件として、これから自行での預金取引を増やしてもらったり、自行の預金残高を一定以上に維持してほしい」

これに対して、社長は「わかりました」と答えたものの、融資を受けられてひと安心。約束を忘れてしまったのか、忘れてはいないが放置しているのかはともかく、約束が果たされない…

すると銀行は、約束を破られたと考えます。約束を破る社長を信用することはできませんから、以降の融資に対しては消極的になるものです。

また、銀行から約束の実行を促されたときに、言い訳ばかりをしていたり、果ては逆ギレ(そんな約束はおかしい!)するような社長もいます。こうなると、失う信用は決定的です。

このあたりもふまえて、銀行とは安易に約束をしないことも重要になります。つまり、できもしない約束はしないことです。目の前の融資だけではなく、以後の融資まで受けられなくなるのでは、ダメージが大きすぎます。

どうしても融資を受けたいからといって、安易に約束をしないようにしましょう。どうせ口約束だからと、タカをくくって約束をするのもやめましょう。銀行が約束を重んじることは、すでにお話をしたとおりです。

まとめ

銀行から融資を受けている社長は、銀行との約束を守りましょう。「そんなのあたりまえだ」とおもっている社長でも、実は約束を軽く考えているケースもあるので注意が必要です。

約束を破れば、一括返済を要求されることもありますし、以後の融資が受けられなくなることもありえます。いずれにしても、資金繰りは大きなダメージです。

銀行との約束はくれぐれも慎重に、そして、約束した以上はきちんと守りましょう。

    社長は銀行との約束を軽く考えてはいけない理由
    • そもそも約束を重んじる文化だから
    • 返済遅延は命取りになるから
    • 次の融資が受けられない理由になるから
社長は銀行との約束を軽く考えてはいけない

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