社長たるもの、会社の利益について「見方・考え方」などわかっている。と、おもわれるかもしれませんが。意外と見逃していることや、思い違いがあるかもしれません。という、お話です。
見逃していることや、思い違いをしていること。
本記事では、社長におすすめしたい「会社の利益の見方・考え方」をお伝えします。と聞いて、「そんなことはわかっている」と、おもわれるかもしれませんが。
意外と見逃していることや、思い違いをしているケースはあるものです。これまでわたしが、実際に見聞きしてきた経験をふまえて、お話をしてみたいとおもいます。
ではさっそく、社長におすすめの「会社の利益の見方・考え方」とは? ずばり、次のとおりです↓
- 利益>売上
- 利益<現金
- 利益は出せるだけ出す
これらを見て、「いったいどういうこと?」と不思議におもわれるものもあるでしょう。このあと、それぞれについて解説をしていきます。
社長におすすめ!会社の利益 3つの見方・考え方
利益>売上
ここで言う「利益>売上」とは、「売上も大事だけれど、利益はもっと大事だよ」という意味です。
極端な例を挙げると、「売上 200、利益 10」の会社よりも「売上 100、利益 50」の会社のほうがいいよね、という話をしています。言われてみれば、あたりまえのことでしょう。
ところが、実際には「売上 200、利益 10」を目指している社長がいます。とにかく売上を増やすことにこだわっている社長、売上を増やせとばかりクチにしている社長です。
もちろん、売上を増やすこと自体は悪いことではありません。問題は、その「過程」にあります。
たとえば、売上を増やすために「値引き」をしたり、売上を増やすための「コスト」が増えたり、といったことが起きるものです。すると、利益は減りますので、「働けど働けど我が暮らし楽にならざり」の状況になります。
さらには、とにかく売ることを優先するあまり、「与信を怠る」といったことも起きるでしょう。結果、商品は引き渡したのに、代金を回収できなかった(売上先がつぶれた)となれば、やはり利益は減ることになります。
これでは、なんのために売上を増やしたのかわかりません。というように、言われてみればあたりまえのことなのですが、実際には、そのようなことは少なからず起きています。
いわゆる「売上至上主義」です。これを避けるためにはどうするか? 言うまでもなく、利益に目を向けることです。利益こそが、会社の持続・成長の「原資」になります。
利益を増やす方法は、大きく3つ。売上を増やす、原価率を下げる、固定費を減らす。このうち、「売上を増やす」にばかり注目しがちなので気をつけましょう、という話です。
原価率を改善することができれば、売上が減っても利益を減らさずに済みます。場合によっては、売上が減っても利益は増えた、ということさえあるでしょう。
ところが、社長が「売上至上主義」に陥っていると、売上が減るのを恐れてしまい、原価率を下げるという選択肢を見逃してしまったり、疎かにしてしまうことはあるものです。
事実、「もう長いこと、仕入先や外注先の相見積もりをしていない」という社長がいます。売上も大事だけれど、利益はもっと大事。この見方・考え方もできるようにしましょう。
利益<現金
こんどは、「利益<現金」です。つまり、「利益も大事だけど、おカネはもっと大事だよ」という意味になります。
極端な例を挙げると、「利益 100、おカネ 10」の会社よりも「利益 10、おカネ 100」のほうがいいよね、という話です。これもまた、言われてみれば、あたりまえのことでしょう。
おカネがなくなれば会社はつぶれる、というのはよく言われるハナシでもあります。いくら利益が出ていても、おカネが尽きればつぶれてしまう… いわゆる黒字倒産です。
いっぽう、いくら赤字だとしても、おカネさえあればつぶれることはありません。ところが、利益を優先するあまり、おカネをおろそかにしているケースはあるものです。
たとえば、利息の支払い(=利益を減らす)を惜しんで、銀行借入を毛嫌いするとか。その結果、利益こそ出ているものの、資金繰りがカツカツ… という会社があります。
社長が、資金繰りに時間をとられて、心労にもなっているのであれば問題です。社長が経営に集中できてない分、それこそ利益を減らしているのではないか? ということになってしまいます。
だったら、利息を支払ってでも銀行借入をして、資金繰りの心配をなくしておく。そのうえで、社長が経営に集中できれば、利息を超えるだけの利益を増やすことだってできる、というものです。
利益を出すことが大事なのは言うまでもありませんが、利益は思いどおりにならないものでもあります。事業は山あり谷ありです。利益を出したくても出せないときはあるでしょう。
そのときのことも考えて、利息を支払ってでもおカネを増やしておくことは1つの考え方になります。
ちなみに、銀行借入がしやすいのは利益が出ているときです。赤字になってからでは借入がしづらくなってしまいます。借入のタイミングも、見逃さないようにしましょう。
利益は出せるだけ出す
社長になった当初のことを思い出してみましょう。多くの社長は、「たくさんの利益を出したい!」と考えていたはずです。ところが、いまはどうかというと…
利益がたくさん出ると、税金もたくさん払わなければいけない。だったら、利益は少なくしたほうがいい。と、考えてしまう社長もいます。
税金をたくさん払いたくないとの気持ちはわかりますが、そのために利益を少なくするとどうなるか? 利益を少なくするためには、経費を増やすこととなり、その分のおカネが減ります。
結果、税金も減るわけですが、減った税金以上に「経費を増やすための支払い」でおカネが減ってうのは問題です。だったら、そのまま税金を払ったほうがおカネが残ったのに、ということになってしまいます。
「利益<現金」であることは前述しましたが、この場合、利益も・おカネも減るというWパンチです。目先の税金を嫌いすぎるあまり、利益もおカネも失うことがないようにしましょう。
利益もおカネも失うデメリットは、まだ続きがあります。銀行借入がしづらくなるのです。銀行は、「利益が出ている会社」や「おカネがある会社」を好みます。
銀行にとって、利益は返済原資ですし、おカネは返済財源です。それらが少ない、あるいは無いということになれば、おカネを貸すことができないのは当然でしょう。
すると、会社は資金繰りが厳しくなりますから、社長は資金繰りに追われることとなり、経営に集中することができません。事業はさらに低迷し、資金繰りもさらに悪くなる… 負のスパイラルです。
行き過ぎた節税は、そんな負のスパイラルへの入口であるこを忘れないようにしましょう。
まとめ
社長たるもの、会社の利益について「見方・考え方」などわかっている。と、おもわれるかもしれませんが。意外と見逃していることや、思い違いがあるかもしれません。という、お話でした。
本記事で紹介した、3つの見方・考え方について押さえておきましょう。
- 利益>売上
- 利益<現金
- 利益は出せるだけ出す