銀行から融資を受けるときには、融資条件の確認が大切です。が、「まずは借りること」を優先するあまり、融資条件について意外と見逃している社長がいます。
まずは借りることを優先するあまり。
会社が銀行から融資を受けるにあたり、社長が確認すべきこととして「融資条件」があります。具体的には、融資金額や返済期間、担保・保証の有無や金利など。
この点、「まずは借りること」を優先するあまり、融資条件の確認がおざなりになっている。つまり、融資条件について、意外と見逃していることがありますから注意が必要です。
というわけで、実際に見逃しがちな融資条件がこちらになります↓
- 融資金額
- 返済期間
- 返済日
- 違約金の有無
- 金利
- 保証の有無
これらについて、具体的にどのようなことが見逃されているのか? このあと確認をしていきましょう。のちのち、資金繰りの良し悪しに影響するところです。
社長が銀行の融資条件について意外と見逃していること
融資金額
端的に言えば、「どうせ借りるのであれば、たくさん借りましょう」という話です。
たとえば、運転資金(経常運転資金)を借りるにあたっては、「売上債権+棚卸資産ー仕入債務」の金額が、融資金額の基本的な考え方になります。
とはいえ、経常運転資金そのままの額を借りるだけでは、ちょっとなにか起きたとき(売上減少や入金遅れなど)に、資金繰りに支障をきたしてしまうこともあるでしょう。
なので、多少は余裕をもっておカネ(預金残高)を準備しておいたほうがいい。だから、今回の融資では「少し上乗せ(+α)して借りたい」というのは、銀行にもわかってもらえる話です。
これを言うか、言わないかで、借りられる金額が変ってくることもあります。見逃さないようにしましょう。
また、設備資金の融資を受けるときにも、あわせて運転資金を受けられるのに見逃しているケースがあります。設備投資によって売上が増えるのであれば、増加運転資金が必要です。
だとすれば、「設備資金の金額+増加運転資金の金額」が受けるべき融資金額になります。設備資金の金額だけにならないように気をつけましょう。
返済期間
銀行から言われた返済期間を、そのまま受け入れている社長がいます。
ところが、こちらが希望する返済期間を検討してもらうことは可能です。融資を依頼する段階で、希望の返済期間を伝えるようにしましょう。
言うまでもありませんが、返済期間が長いほうが資金繰りはラクになります。したがって、会社にとっては、返済期間はできるだけ長いほうがよいものと考えておくのがおすすめです。
早く返してしまいたい… という気持ちはわかりますが、資金繰りが厳しくなったときに後悔します。借りたおカネは使わずに置いてある限り、その分の借入は無いのといっしょです。
返そうとおもえばいつでも返せる。そう考えて、できるだけ手元におカネを置いておく。そのためには返済期間をできるだけ長くする。これを、見逃さないようにしましょう。
返済日
毎月分割返済の融資について、毎月の「返済日」を、会社の希望で決められることがあります。
この点、テキトーに決めている社長や、前回融資の返済日と同じにしている社長が少なくありません。が、あらためて、いつにするかを検討してみましょう。
結論として、「月初」がおすすめです。この場合、返済に遅れてしまったとしても、月末までには時間があります。なので、月を超えて返済に遅れる可能性が少なくなるのがメリットです。
返済に遅れることはもちろんよくありませんが、月を超えて遅れるのと、遅れても月を超えずに済むのとでは、銀行から見たときの「罪の重さ」が違います。
銀行は、月を超えて遅れるほうを「より罪が思い」と見ているため、万一、返済に遅れたときのことも考えて、返済日は月初にすることも見逃さないようにしましょう。
違約金の有無
ここで言う「違約金」とは、繰り上げ返済をしたときの違約金です。固定金利で融資を受けた場合など、融資によっては繰り上げ返済時に、かなりの額の違約金が発生することがあります。
そうなると、せっかくの繰り上げ返済も台無しです。いざ繰り上げ返済をするときになってからでは遅いので、融資の依頼を受ける時点で確認をすること。見逃さないようにしましょう。
もっとも、わたしは繰り上げ返済そのものをおすすめしていません。いちど借りたものを、約束よりも早く返済することは、銀行にとっていろいろとデメリットがあるからです。
銀行のデメリットなど知ったことか、との考え方もありますが。その銀行と中長期に良好な関係を築く(融資をスムーズに受けたい)のであれば、銀行にデメリットを与えるのもいかがなものか、です。
それでもなお、繰り上げ返済をする可能性がある。というのであれば、それも1つの考え方です。ただし、融資の依頼時に、違約金の有無を確認しておくのをお忘れないように。
金利
金利について、うるさく言う社長もいますが、完全に銀行任せの社長もいます。うるさく言い過ぎるのも問題はありますが、なにも言わなすぎるのも問題です。
なにも言わなければ、自然、金利は高くなってしまいます。銀行は、金利が高いほうがよいわけですから当然でしょう。では、それを避けるためにはどうしたらよいか?
まずは、融資の依頼をする段階で「金利はどのくらいになりますか?」と、ひとこと声をかけることです。これにより銀行は「金利を気にしている社長」であると認識します。
さらに、借入金一覧表を提示するなどして、他行の金利についても話をしておくと、銀行もうかつに金利を高くすることはできなくなるでしょう。
というように、うるさく言わずとも、金利について触れるだけでも、金利交渉の効果はあるわけです。いっぽうで、あまりうるさく言うようだと、銀行からは嫌われるので注意しましょう。
保証の有無
ここで言う「保証」とは、信用保証協会の保証です。中小企業の融資については、「信用保証協会の保証ありき」で話が進められることがあります。
つまり、社長が黙っていると、信用保証協会の保証付き融資しか受けられなくなってしまう… ということです。銀行にとって、信用保証協会の保証があれば安心ですから当然でしょう。
ところが、会社にとって、保証付き融資は割高ですし(信用保証料の支払が必要)、利用できる額にも限りがあります。なので、保証付き融資ばかりというわけでにはいきません。
では、どうするか? 融資の依頼をするときに「プロパー融資(信用保証協会の保証が無い融資)でお願いできますか?」と言ってみることです。
言ったからといって、プロパー融資をしてくれるかはわかりませんが、言わなければ保証付き融資になってしまいます。だから、まずは言ってみる。これを見逃さないようにしましょう。
ほんとうは、プロパー融資を受けられるくらいの会社なのに、保証付き融資ばかりの会社はあるものです。
まとめ
銀行から融資を受けるときには、融資条件の確認が大切です。が、「まずは借りること」を優先するあまり、融資条件について意外と見逃している社長がいます。
融資が決まってから、条件面の交渉をするのは難しいので、融資の依頼をする段階で条件を確認しすること。必要があれば、交渉することを忘れないようにしましょう。
- 融資金額
- 返済期間
- 返済日
- 違約金の有無
- 金利
- 保証の有無