会社が銀行融資を受ける、というと。どうにもネガティブな印象を持つ社長が少なくありません。が、実際にはポジティブな要素もある。3つの〇〇を増やすことができますよ、というお話です。
ネガティブだけじゃない、ポジティブもある。
会社が銀行融資を受ける、ということについて。世の中には、どうにもネガティブな印象が少なくないように感じもするわけですが。実際には、ポジティブな要素もありますよ。
と言ったら、具体的にポジティブな要素を挙げることはできるでしょうか?
というわけで、本記事では「会社が銀行融資を受ける=3つの〇〇を増やす」というお話をしていきます。3つの〇〇が、ポジティブな要素にあたります。ずばり、次のとおりです↓
- 時間
- 資産
- 信用
それではこのあと、順番に確認をしていきましょう。これらの〇〇を社長が見逃していると、銀行融資を「過度に嫌う」こととなり、結果として、ムダに資金繰りを悪くする可能性が高まります。
会社が銀行融資を受ける=3つの〇〇を増やす
時間
会社が銀行融資を受けると、増やすことができるもの。まずは、「時間」です。たとえば、銀行から 1,000万円の融資を受けるとします。ある意味、一瞬で 1,000万円のおカネを手にすることが可能です。
では、1,000万円を会社がみずからかせぐとしたらどうでしょうか。仮に、毎年の利益が 100万円の会社であれば、10年もの時間がかかることになります。500万円の利益だとしても2年かかります。
その 10年なり2年なりのあいだに、1,000万円のおカネを使って事業を成長させることができたとしたら… 会社は、より多くの利益をかせげるようになっていたかもしれません。
だとすれば、「いま」1,000万円の融資を受けることは、10年なり2年なりの「時間をショートカットする」のとイコールだと言えます。もちろん、利息を払わねばなりませんが、増える利益でまかなうことができるコストでしかない、とも言えます。
では、いまの預金残高 100万円の会社に、不測の事態が起きた場合はどうでしょうか。売上が減少するいっぽうで、経費の支払いは止まらない… すぐに資金ショートを起こす可能性があります。
ところが、1,000万円の銀行融資を受けることができれば、預金残高は 1,000万円増えますから、「時間をかせぐ」ことができる。結果、不測の事態を乗り切る可能性が高まるでしょう。
というように、会社が銀行融資を受けるとは、時間を増やすことでもあるわけです。おカネはあとから取り戻すことができますが、時間をあとから取り戻すことはできません。
そう考えると、いま時間を増やすことができる銀行融資は、「検討に値する手段」だとわかるはずです。
資産
会社が銀行融資を受けると、増やすことができるもの。2つめは、「資産」です。ここで言う「資産」とは? まずは、おカネです。前述したとおり、1,000万円の融資を受ければ、1,000万円の「おカネ(資産)」も増えます。
つまり、融資を受けるとは、借金が増えるだけではない。というのが、ポイントです。言われてみればあたりまえなのですが、どういうわけか「融資=借金」のイメージが強く浸透しています。正しくは、「融資=借金+資産」です。
なお、資産はおカネだけに限りません。設備資金(設備投資をするためのおカネ)の融資を受ければ、融資を受けるのと同時に「設備(資産)」が増えます。
たとえば、1,000万円の設備であれば、1,000万円の価値があるわけですから、1,000万円の借金だけが増えたわけではないことがわかるでしょう。
この点で、「資産」が増える融資は、銀行も融資をしやすいものです。では、資産が増えない融資があるのか? といえば、「資産が減ってしまうかもしれない融資」はあります。
その最たる例は、「赤字のときの融資」です。1,000万円の融資であれば、その瞬間には 1,000万円が増えはするものの、赤字であるがゆえに、すぐにその「補てん」に使われる可能性があります。
そうなれば、「資産(おカネ)< 借金」となるので、銀行は返済してもらえるかどうかが心配です。なので、赤字のときには融資が受けにくくなるんだ、ということを理解しておきましょう。どうせ借りるのであれば、黒字のうちにです。
また、「支出」を目的にした融資も、銀行は貸しづらいものがあります。たとえば、人材採用費・教育費、広告宣伝費、開発費など。これらを支出することで、資産(おもにおカネ)が増えるかどうかは「未知数」であるため、銀行としては貸しづらいのです。
したがって、そういった支出については「自己資金」で対応する。その自己資金を用意できるように、資産が増える融資は積極的に受けておくことが、1つの財務戦略になります。借りやすい融資があるにもかかわらず、それを見逃していると、支出に必要なおカネが不足しがちになるものです。
信用
さいごに、もうひとつ。会社が銀行融資を受けると、増やすことができるもの3つめは「信用」です。これまた、言われてみれば「なーんだ」ということかもしれませんが。その真意をイマイチ理解していない社長もいるので、注意しましょう。
そもそも、銀行融資に関して、おカネを借りることができるのは「それだけの信用があるから」です。なので、赤字続きの会社が「おカネを貸して」といっても断られてしまいます。
1億円の銀行借入がある、と聞くと「うわー、そんなに借金があってタイヘンでしょう」とおもわれるかもしれませんが。「うわー、1億円も借金ができるなんてスゴい」という見方もあるわけです。
で、その見方をしているのが銀行になります。銀行にしてみれば、銀行借入が多い会社は、それだけ信用がある会社です。逆に、無借金(銀行借入ゼロ)の会社があったらどうか、というと。
銀行は、「この会社、借入したくてもできないのかな? 断られてばかりなのかな?」と考えます。結果、無借金の会社ほど融資が受けにくい… というのは、実際にもあるハナシです。
もちろん、借入の大きさに見合うだけの返済力があることが前提にはなりますが。少なくとも、借入をした「当初」は、それだけの返済力があったはずです。でなければ、銀行は貸しません。
ですから、「借入ばかりで信用がない」というのなら、それは「借りたあとが悪かった」ということであって、借入をしたこと自体とは関係のないことです。多額の負債を残して倒産した会社などを見て、「借入=悪」と短絡的に考えないように気をつけましょう。
この点で、借入を減らすことは、信用を減らすことでもあります。繰り上げ返済を考えるのであれば、そのあたりにも注意が必要です。もう二度と融資を受けないのなら繰り上げ返済もよしですが、いずれ融資を受ける可能性があるのなら、いまみずから信用を減らすのが得策とは言えないでしょう。
まとめ
会社が銀行融資を受ける、というと。どうにもネガティブな印象を持つ社長が少なくありません。が、実際にはポジティブな要素もある。3つの〇〇を増やすことができますよ、というお話をしました。
それらの〇〇を社長が見逃していると、銀行融資を「過度に嫌う」こととなり、結果として、ムダに資金繰りを悪くする可能性が高まりますから、気をつけましょう。
- 時間
- 資産
- 信用