会社が融資を受けるにあたっては、銀行選びがよりいっそう重要になっている。その理由についてお話をしていきます。銀行選びをおろそかにしていると、融資が受けにくくなるので注意です。
よりいっそう重要度を増している。
会社が融資を受けるにあたっては、「銀行選び」が重要になっています。ひとくちに「銀行」と言ってもいろいろあるわけですから、そのなかから、どの銀行を選ぶかで融資の受けやすさは変わる、ということです。
もちろん、銀行選びは「以前」から重要ではありました。が、脱コロナを迎えたいま、よりいっそう重要度を増しているといえます。そこで、少し前には「社長のための銀行選び」に特化した Kindle本の出版もしました↓
おかげさまで、発売から1ヶ月で少なくとも 50人以上の方々に、お手にとっていただけています。
くわしくは、そちらの本にゆずるとして、ここでは「銀行選びが重要になっている理由」を取り上げてみることにしましょう。おもなものは次のとおりです↓
- 銀行の再編が進行
- 銀行の変化が浸透
- 銀行の破たん懸念
これだけではよくわからない… ということもあるでしょうから、このあと順番に説明をしていきます。銀行選びをおろそかにして、のちのち融資が受けにくくならないように気をつけましょう。
融資は銀行選びが重要になっている理由
銀行の再編が進行
地方銀行を中心に、金融機関の再編(提携、統合、合併)が進行しています。たとえば、自社がA銀行とB銀行から融資を受けているとして、両行が合併したらどうなるか?
1つの銀行になれば、自社の取引銀行は「2つから1つに減る」ことになります。言い換えると、融資を受けるときの選択肢が「2つから1つに減る」ということです。
いままでは、A銀行に融資を断られてもB銀行から借りることもできた。合併後はそれもできなくなる。だったら、再編も視野に入れて、銀行選びをしておく必要があるでしょう。さきほどの例で言えば、C銀行ともお付き合いをはじめておくとか。
再編による影響はまだあります。たとえば、自社がD銀行から融資を受けていたとします。ところが、D銀行はE銀行と合併。このとき、規模ではE銀行が圧倒的に上であり、実質的にD銀行はE銀行に吸収されたとしたらどうなるか?
合併後は、E銀行から融資を受けることになりますが、合併前に比べると、融資は受けにくくなるものと考えられます。いっぱんに、規模が大きい銀行ほど、融資審査は厳しくなるからです。
というように、規模が小さい銀行からばかり融資を受けていると、どんどん合併されてしまったり、結果として、融資が受けにくくなってしまうこともあるわけです。
だとすれば、そもそも「吸収されない」ような銀行(≒ 規模が大きな銀行)ともお付き合いをできるようにしておくのがよいでしょう。そのためには、良い会社(≒ 利益を出せる会社)になる必要もあります。
銀行の変化が浸透
2019年末に、金融検査マニュアルが廃止されました。金融検査マニュアルとは、金融庁が銀行を検査するにあたり、よりどころにしてきたマニュアルです。
同マニュアルは、1999年の制定から実に 20年ものあいだ運用されてきたものであり、銀行のなかにも深く浸透してきました。具体的には何が浸透したのか? 端的にいえば、「担保・保証ありきの融資」です。
ところが、そんなことを続けていれば(続けてきたわけですが)、銀行は立ち行かなくなってしまう。本来、銀行は担保・保証に依存せず、「目利き(融資先の事業を評価する)」によって融資をするものであり、そこに回帰しなければいけない! と、金融庁は言っています。
そのあらわれが、金融検査マニュアルの廃止です。タイミングが悪く、コロナとかぶったがために「回帰」には遅れが見られてはいるものの、少しずつ、独自性を発揮する銀行も出始めています。脱コロナのいま、その流れはさらに加速するでしょう。
その結果、各銀行の目利きには「差」も出ますから、銀行選びが重要になるということです。そのときの「判断材料」として、各銀行が公表しているディスクロージャー誌が参考になります。
また、各銀行の取り組み、業績などはニュースにもなっていますから注目をしてみるのもよいでしょう。そのあたり、毎週のニュースを厳選し、解説を付けた週刊メルマガを発行しています。
銀行選びを含めて、銀行融資・銀行対応に役立つ情報を、効率的・効果的に収集したいということであれば、お試しいただければとおもいます↓
銀行の破たん懸念
2023年3月、アメリカでは2つの銀行が相次いで破たんしました。これを見て、「日本の銀行はだいじょうぶか?」という視点もあるはずなのですが。日本人はのんきなところもあるようで、「だいじょうぶだろう」というフンイキが大勢を占めているように感じます。
もちろん、いたずらに不安をあおる意図はないものの。可能性としては、日本でも似たようなことが起きる可能性はあるのだから、備えがあったほうがいいだろうとはおもいます。とくに社長は。
言うまでもなく、融資を受けている銀行に何かあれば、融資が受けられなくなったり、受けにくくなったりすることが起きるからです。
なお、アメリカの銀行破たんの原因は、ひとことで言えば「利上げと債券価格の下落」にあります。インフレを抑えるために国が利上げをしたところ、銀行が運用していた債券の価格が下落して大きな損失が発生。それを見て心配になった預金者が一斉におカネを引き出して…
いまは低金利の日本でも、利上げがあれば似たようなことが起きない、とは言えません。だとすれば、債券の運用に熱心な銀行には注意したほうがいいかも… というのは、銀行選びの視点になります。
また、不動産投資に関する融資に積極的な銀行にも、利上げによるリスクは懸念されるところです。いっぱんに、金利が上がると不動産ニーズは下がるものだからですね。
債券の運用状況や、融資の内容なども、各銀行のディスクロージャー誌を見ればわかりますから、取引銀行のディスクロージャー誌には目を通しておくのがよいでしょう。
銀行の破たんは、けして対岸の火事ではありません。銀行の破たんを想定するのであれば、会社の預金や、社長個人の預金を、1つの銀行に集中させるのは危険であることもわかります。
まとめ
会社が融資を受けるにあたっては、銀行選びがよりいっそう重要になっている。その理由についてお話をしてきました。銀行選びをおろそかにしていると、融資が受けにくくなるので注意です。
- 銀行の再編が進行
- 銀行の変化が浸透
- 銀行の破たん懸念