銀行融資で定性評価してもらうには定量評価が良くなければいけない

銀行融資で定性評価してもらうには定量評価が良くなければいけない

会社の銀行融資について、銀行の審査における評価には「定量評価」と「定性評価」があります。このうち定性評価の上げかたについて、社長の勘違いがあるので気をつけましょう、というお話です。

目次

定量評価と定性評価とがある

会社が融資を受けるには、銀行の審査をクリアしなければいけません。その審査では、会社の評価がおこなわれるわけですが、大きく2つの評価に分かれます。

1つは「定量評価」であり、もう1つは「定性評価」です。このうち定量評価とは、端的にいえば「数字による評価」であり、定性評価とは「数字によらない評価」にあたります。

具体例を挙げると、「決算書」や「試算表」などは、定量評価の最たる対象です。いっぽう、定性評価の対象としては、「経営者の能力」や「商品力・技術力・販売力」「事業の将来性」「業界・市場の将来性」、ほかにも「借入返済の実績」「銀行との取引ぶり」などが含まれます。

というように、銀行からの評価を上げるには、定量評価と定性評価の2面から考えることが大切です。この点で、定性評価の「上げかた」を勘違いしている社長がいるので気をつけましょう。

次のような勘違いです↓

定性評価の上げかたに関する勘違い
  • 定量評価が悪いのに定性評価をアピールする
  • 定性評価に役立つ情報を提供していない
  • 有言実行を証明する材料を用意していない

それではこのあと、順番に説明をしていきます。融資の受けやすさに影響するところですから、いずれの勘違いについても、ここできっちりと正しておきましょう。

定性評価の上げかたに関する勘違い

定量評価が悪いのに定性評価をアピールする

定量評価が悪い、つまり、決算書や試算表の「数字」が悪いのに、それよりもまず定性評価をアピールしようとする社長がいます。たとえば、「事業の将来性」を一生懸命にプレゼンするとか。

もちろん、事業の将来性をプレゼンすること自体は悪くありませんが、順序が悪いのです。銀行には、定量評価か定性評価かでいえば、まず定量評価からという見方があります。

わかりやすくいうと、「決算書が大赤字なのに、定性評価を見ても意味がない」ということです。これを聞いて、「決算書の内容が悪いからこそ、事業の将来性をアピールするのでしょう?」と、おもわれるかもしれません。

たしかに、言わんとすることはわかります。ですが、その将来性を示すためにも「(現在の)数字」が少なからず必要なのであり、いま大赤字では将来性(将来は利益が出るようになる)に説得力が出ないのです。

ゆえに、定量評価を上げること、利益を出すことが「まず第一」であることを理解しておきましょう。税金の支払いを嫌って、利益を出し惜しむ社長がいます。

それも1つの考え方ではありますが、結果として、事業の将来性を銀行にアピールするチカラが弱まること、定性評価をしてもらいづらくなることを忘れてはいけません。

あとになって、「ほんとうはもっと利益は出せたんだ」といっても、銀行が信じてくれるものでもありません。出せる利益は惜しまずに出すこと、むしろ、できるだけ利益を増やすことが大切です。

「利益=返済力」が銀行の見方なのであり、利益こそが「いちばんの説得材料」になることを覚えておきましょう。

定性評価に役立つ情報を提供していない

定性評価については、決算書や試算表を通じて、銀行が評価をすることができます。が、定性評価となると、決算書や試算表だけで評価をすることはできません。

たとえば、定性評価の対象である「商品力・技術力・販売力」に関する情報は、決算書を見るだけではまるでわからなかったり、不十分だったりするからです。

では、どうするか? 言うまでもありませんが、会社のほうから、積極的に情報提供をすることです。銀行に対して、定性評価に役立つ情報を伝えるようにしましょう。

具体的には、銀行担当者との「接点(話をする機会)」を増やすとか、現場(店舗・倉庫・事務所・工場など)を見せるとか、商品を体験してもらうとか、各種の集計・分析資料を提示するとか。

そういったことをしていなかったり、避けている社長もいます。理由はさまざまあるようですが、情報提供を惜しめば、銀行はそもそも評価ができない… ということにもなってしまいます。

自社の定性評価を上げたいのであれば、どんな理由があれ、時間と手間をかけてでも、情報提供することを考えましょう。繰り返しになりますが、決算書や試算表だけでは不十分です。

また、情報提供を、経理担当者や顧問税理士などに任せきり、というのもよくありません。社長自身が、銀行との接点を持つことも重要です。銀行は「社長自身のクチから話を聞いたい」と考えています。

なので、どれだけ立派な資料があろうと、資料だけでは説得力は出ないものです。結果、定性評価は上がりません。中小企業にあっては「会社=社長」が、銀行の見方でもあります。社長自身が、銀行対応する機会を大事にしましょう。

有言実行を証明する材料を用意していない

定性評価とは、「数字によらない評価」だと前述しました。言い換えると、数字では評価できない・しづらいものを対象とするのが定性評価です。

たとえば、「事業の将来性」については、未来のことであるだけに、数字で評価するのは難しいものがあります。予測や計画といったカタチで数字にすることはできますが、それが実現するかどうかはまた別です。

なので、社長がいかに「良い将来」を語ろうとも、いかに「良い計画」を提示しようとも、銀行は評価がしづらかったりします。それでも評価ができるとすれば、「有言実行」の実績があるケースです。

つまり、良い将来を語り、良い計画を提示して、そのうえで、その後の決算書できちんと結果を出している。だとすれば、「これから先の将来もまた、社長の言うとおりになる確率は高いかも」と評価してもらいやすくなるでしょう。

この点で、社長が計画書をつくり、銀行に提示することが有効な銀行対応になります。計画書という「文書」があれば、のちのち実績を検証するにあたっての材料になるからです。

計画書と決算書とを比較して、決算書が計画書のとおり(おおむね計画書に近い、という状態も含めて)となれば、その計画書が有言実行を証明する材料になります。

ところが、社長がクチだけで将来を語っていても、あとには残りません。実際に言ったとおりになったとしても、銀行から「そんなこと言ってたかなぁ?」とおもわれたらおしまいです。

将来を語るのであれば、有言実行を証明できる材料を残すようにしましょう。その結果、有言実行が証明されれば、銀行からの信用が増し、ますます定性評価をしてもらいやすくなります。

まとめ

会社の銀行融資について、銀行の審査における評価には「定量評価」と「定性評価」があります。このうち定性評価の上げかたについて、社長の勘違いがあるので気をつけましょう、というお話でした。

融資の受けやすさに影響するところですから、いずれの勘違いについても、ここできっちりと正しておきましょう。

    定性評価の上げかたに関する勘違い
    • 定量評価が悪いのに定性評価をアピールする
    • 定性評価に役立つ情報を提供していない
    • 有言実行を証明する材料を用意していない
銀行融資で定性評価してもらうには定量評価が良くなければいけない

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