きょうの名言は、佐々木正悟さんの「なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?」から。
古今東西、世の中はたくさんの名言であふれています。自分にとって「活かせる」名言、みつけてみませんか?
「時間がない!」と叫ぶあなたへの、タスクシュート式時間術
今回紹介する本の著者は、心理学ジャーナリストの肩書を持つ佐々木正悟さんです。
ライフハック的な本を多く執筆されていますが、なかでもこの「なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?」は代表作と言えるでしょう。
本の中で、佐々木さんは自ら考案した時間術「タスクシュート式」を提唱しています。
タスクシュート式は「1分以上かかるすべての行動の見積もりを出す」という、およそ一般人には理解しがたい、繊細すぎる時間管理術です。
「そんなことをしているヒマがあったらチャッチャと仕事しようぜ!」というのがフツーの感覚でしょう。佐々木さんはそれを否定します。
わたしたちが持っている時間に対する「誤った理解」をことごとく否定していきます。そんな佐々木さんの、時間に対する考え方の中から名言の紹介です。
時間がない、と本気で思っている人はいない
では、さっそく。
私たちは、「時間が足りない」「時間がない」としょっちゅう口にしてはいますが、心のどこかでそれを疑っています。
多くの人が「時間の不足」を嘆いています。ところが、それは本音ではないだろうという指摘です。どうでしょう?
そうですね、わたし自身も「もっとうまいことできれば、もっと時間はあるはず」と思っているフシはあります。
ですが、もっと時間なんてそもそもないんです。時間は自分が思っている以上に「もともと不足している」ことがわかっていない。それが佐々木さんの、はじめの問題提起になっています。
以前はわたしも「時間の不足」をただしく測ることができていませんでした。もっとも測ろうともしていませんでしたし。
ですから、時間はないけどもっとがんばれば・・・という楽観的な精神論に逃げていました、はい。わたしもタスクシュート式を実践するようになって、ようやくわかりました。
やっぱり、時間はもともと足りてないんです。
今では、自分が思っているよりも時間が「何分」足りないか、毎日、朝の時点で認識しています。そして、その不足をいかに補うかの算段をして、1日をスタートしています。
カレンダーや手帳の余白にダマされている
「時間の不足」をほんとうのところでは疑っている、という話をしました。疑ってしまう理由に「カレンダーや手帳の余白」を、佐々木さんは挙げています。
こんな現実の人が多いにも関わらず、多くの人はカレンダーや手帳の「余白」にだまされています。
カレンダーや手帳で予定を管理している人は多いでしょう。とはいえ、1日の予定を事細かに(それこそ分単位で)書き記している人は少ないに違いありません。
わたしにも、たしかな経験があります。カレンダーに予定がない日、スケジュールに予定がない時間帯は「時間がある」という誤解・・・
実際はそんなことはありません。ヒマなんてこれっぽっちもないと思った方がいい。やらなければいけないことはいくらでもありました。予定がないはずなのに大残業、とか。
カレンダーや手帳に余白があると勘違いします。余白の時間で「いろいろなんとかなるだろう」と期待してしまいます。もちろん、期待は裏切られるわけですが。
カレンダーや手帳だけでは時間管理はできないということです。
未来の自分に期待をするな
「余白」の時間に期待してしまうのと同様に。未来の自分に期待をしてしまう、という心理についても佐々木さんは警鐘を鳴らしています。
・・・ (略)・・・先送りには典型的な心理があります。それは、「未来の自分に期待し、未来の時間帯に期待しすぎてしまう」というものです。
今日はむずかしいが、明日ならば時間がありそうだ。来週の方が時間がありそうだから、今週はやめておこう。などなど。
しばしば、たいした根拠もなく「先送り」する特技を持っているのがヒト。わたしもよく思います。明日はできそうな気がする~、あると思います。って。
でも残念ながら、そんなものはありません。妄想です。タスクシュート式を日々続け、時間感覚が身についてくるとはっきり気づきます。
佐々木さんも、「未来への期待」は錯覚だと言い切っています。いかに新しい明日といえど、今日と変わらず時間はもともと足りていないのです。
今日の先送りが、明日の自分をいっそう追い込んでいくことになる。これは事実です。
フリーランスが気を付けるべきこと、サラリーマンが気を付けるべきこと
サラリーマン、つまり組織に身を置くような場合。さまざまな邪魔が入ります。邪魔だなんて表現が悪いですが、だって邪魔なんだもん。
内線電話、上司からの呼び出し、部下からの相談、急な会議招集・・・自分の予定なんてどうにもならない、というときがあるでしょう。
・・・ (略)・・・もう1つの罠があります。それは、「自分との約束」に比べれば、「他人との約束」のほうが圧倒的に守りやすい、という動かしがたい事実です。
人から頼まれると断れない「抱え込み型」の人たちが陥りやすいワナだ、と佐々木さんは言っています。
あー、そうですね。間違いありません。ノーと言えない日本人は気を付けなければいけません。
他人との約束ばかりに偏ってしまうと、自分のことは何一つできない毎日になってしまう。そのつみ重ねが人生だとしたらちょっと悲しいです。
ところで、わたし自身はフリーランス、独り身で仕事をしています。ゆえに、「誰か」にスケジュールを邪魔される場面は圧倒的に少なくなります。
そんなフリーランスにも、佐々木さんはズバリ。
脱線という「自分への割り込み」のダメージは大きい
さきほどのサラリーマンの周囲からの邪魔を「他人の割り込み」と捉えるならば。自らの脱線は「自分への割り込み」だと言うのです。
たとえば、仕事の調べ物をしているつもりが、関係のないサイトを閲覧・・・あるあるです。
他人からの邪魔がないだけに「脱線」していることに気が付かないんですね、これが。明らかに時間をムダにしています。
他人の割り込みにしても、自分への割り込みにしても。しっかりとしたスケジュールを持っていれば「脱線」に気づきやすくなります。脱線の度合いも測れます。
次に何をいつからやるべきか、を把握している効用は絶大です。時間がないのではありません。自分が時間を失くしているんです。
「時間がない!」、毎日にようにそう叫んでいるあなたへ。わたしもそうであったからこそ、心からおすすめの1冊です。
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きょうの執筆後記
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スキルアップ、効率化、時短テク、スキマ時間。足りない時間を補うワザはいろいろあります。
けれどもそれ以前にやるべきことは、「足りていない時間」の事実を、ただしく把握し続けること。
それができなければ、どれだけのワザを繰り出したところで時間はふたたび足りなくなる。という経験をしてきました。
どうもわたしたちは、時間を失くすのが得意のようです。あるいは好きなのかな、時間が無いのが。