会社を続けている限り、いつなんどき赤字になるかはわかりません。会社は常に、赤字の危機にさらされているのです。というわけで、赤字になる前に社長が考えるべきことをまとめます。
いつなんどき赤字になるかは。
会社が赤字になる前に、社長には考えておくべきことがあります。ポイントは、赤字になる「前」です。いざ赤字になってしまってからでは遅すぎる。だから、赤字ではないうちに、いまのうちに考えておきましょう。と、そんなお話です。
言うまでもありませんが、会社を続けている限り、いつなんどき赤字になるかはわかりません。自然災害や新型コロナのような不測の事態もあれば、物価高騰・人手不足といった経済環境による赤字もあるでしょう。
会社は常に、赤字の危機にさらされているといえます。では、赤字になる前に社長が考えるべきこととは何なのか?おもなところでは次のとおりです↓
- 資金を確保しておく
- 決算書をきれいにしておく
- 積極的に投資をする
それではこのあと、順番に解説をしていきます。
赤字になる前に社長が考えるべきこと
資金を確保しておく
赤字とは、利益がマイナスになることです。利益がマイナスになるということは、その分、おカネが減ることを意味しています。そんなことは知ってるし、とおもわれるかもしれませんが。
知っていながら、備えはしていない社長がいます。会社は常に、赤字の危機にさらされているといいました。であれば、いつかおカネが減るかもしれない事態に備えて、資金を確保しておくのが得策です。
でも、備えようとしない。なぜか?赤字ではなく、黒字のときにはおカネがあるからです。いまはだいじょうぶ(だから、これからもだいじょうぶ)、と考えてしまうからです。
そして、いざ赤字になり、おカネが足りなくなると、あわてて銀行に駆け込みます。社長としては融資を受けたいわけですが、銀行が積極的に融資をすることはありません。
おカネもない、赤字でおカネが増えるアテもないとなれば、銀行が「貸したい」と考えないのは当然でしょう。逆に、おカネもあって、黒字でおカネを増えている状況だとどうなるか?
銀行は、「貸したい」と考えやすくなります。貸したおカネを、安心・安全に回収できる(もちろん利息収入付きで)可能性が高いからです。であれば、社長がすべことはおのずとわかります。
黒字のうちに、おカネがあるうちに、銀行から融資を受けておくこと。いざというときのためにあらかじめ、資金を確保しておくことです。いつか借りるかもしれないおカネは、いま借りる。これが、中小企業の財務戦略になります。
決算書をきれいにしておく
赤字になると、自社の決算書を見る銀行の目は「いっそう」厳しくなることはご存知でしょうか。黒字のときと、赤字のときとでは、銀行が決算書を見る厳しさには違いがあるのです。
端的にいえば、黒字のときには「緩め」に見るいっぽうで、赤字のときには「厳しめ」に見られます。赤字の会社のほうが危険であり、融資をするにも慎重に考える必要があるからです。
では、厳しく見るとは具体的にどういうことなのか?決算書に記載された数字をうのみにするのではなく、「実態」はどうなっているかを把握しようとする。そんな感じです。
たとえば、棚卸資産が1,000万円と記載されているが、本当にそれだけの在庫があるのか、価値がき損したりはしていないのか。貸付金500万円と記載されているが、回収できる貸付金なのか。
実態の把握につとめた結果、決算書に記載された金額ほどの価値がないとわかれば、銀行は決算書の数字を減額修正することになります。すると、会社の状況はより厳しいことがわかるため、「やっぱり、もう融資はやめておこう」となるわけです。
赤字になったとたん、決算書の細かい部分について、銀行がやけにいろいろ聞いてくる…というのは、そういった理屈があります。そのあたりを社長が理解していないと、社長が考えている以上に、決算書の評価が悪くなるので注意が必要です。
だとすれば、黒字のうちに決算書はきれいにしておくのがよいでしょう。より実態をあらわすように、前述の例であれば、価値が下がった棚卸資産は評価損を計上する、貸付金は回収につとめてゼロに近づけるなど。赤字になってからでは遅すぎます。
また、粉飾(資産や利益の水増し)にも気をつけなければいけません。黒字のときには見過ごされていたとしても(銀行は見て見ぬフリをすることがあります)、赤字となると見過ごすわけにはいかず、銀行から追及されるというのも「あるある」です。
その結果、「粉飾があるから融資はできません」となれば、会社は窮地におちいります。粉飾をしてはいけないのはあたりまえすが、もし粉飾があるのなら、黒字のうちに解消しておきましょう。
積極的に投資をする
ここでいう投資とは、値上がり目的の株式投資や不動産投資といった、いわゆる「投機」のことではありません。自社の本業に関する投資、つまり、「事業投資」の話をしています。
たとえば、新商品の開発、既存製品の改善、販路開拓、人材採用・育成、新規事業をはじめるなど、多岐にわたります。共通点は、「将来の利益を増やすために」という目的です。
いわれてみれば、当然のことなのですが、既存商品や既存事業から離れられない会社も少なくありません。言い換えると、同じことを同じように繰り返しているだけ、ということです。
すると気がつけば、既存商品は売れなくなり、既存事業は減退を続けていることがあります。時代が変われば、求められるものも変わるわけで、いまは変化が速い時代ですからとくにです。
でも、変化の必要性に気がつくのは、往々にして「赤字になってから」だったりします。赤字になって、おカネもなくなって、いよいよマズい…となったときに、ようやく気づくのです。
ところが、変化をするにも「おカネ」が要ります。必ずしもおカネを要しない手段があるにしても、おカネがあったほうが、選択肢がより広がることは間違いありません。
この点、赤字になってから投資をしようとしても、おカネがない。銀行から借りたくても借りられないことは前述しました。なので、投資はできない。投資できないから、ますます既存商品・既存事業頼みとなり、減退を免れることもできなくなる…悪循環です。
だから、赤字になる前に、黒字のときにこそ積極的な投資を考えましょう。黒字のときなど、会社の調子がよいときには、ついつい「現状維持」にもなりがちであることに注意です。
まとめ
会社を続けている限り、いつなんどき赤字になるかはわかりません。会社は常に、赤字の危機にさらされているのです。というわけで、赤字になる前に社長が考えるべきことをまとめてみました。
いざ赤字になってしまってからでは遅すぎますから、赤字ではないうちに、いまのうちに考えておきましょう。
- 資金を確保しておく
- 決算書をきれいにしておく
- 積極的に投資をする