どういうわけか、銀行から細かいことをあれこれ聞かれる会社があります。もしかしたら、銀行から「危ない会社」だと疑われているからかもしれません。では、危ない会社とは…?
あれこれ聞かれてタイヘンだった
会社の銀行融資について。ある会社ではすんなり融資が受けられたのに、別の会社では銀行からあれこれ細かいことを聞かれてタイヘンだった…ということがあります。
同じ銀行であっても、同じ融資であっても、会社によって差はあるものです。では、銀行から細かいことを聞かれるのはなぜなのか?それは、自社が「危ない会社」だと疑われているからかもしれません。
具体的に、危ない会社とはどう危ないのか?それは、銀行からどのようなことを聞かれるかによって、おおむね推測することができます。たとえば、次のようなことを細かく聞かれたときです↓
- 事業内容
- 事業計画
- 科目明細
それではこのあと、順番に確認をしていきましょう。
銀行から危ない会社だと疑われていると聞かれること
事業内容
自社がどのような商品・サービスを提供しているのか。どのような取引先があるのか。取引にあたって、商品やおカネの流れはどのようになっているか、などが事業内容にあたります。
融資をするにあたって、「その会社が何者か?」が銀行の関心事です。極端をいえば、売ってはいけないものを売っていたり、反社と取引があったり、マネロン(資金洗浄)に関わっていたり…そんな会社に融資ができないのは当然でしょう。
なので、銀行は「事業内容」の確認をします。そこは、危ない会社に限った話ではなく、あらたに取引をはじめるときや、担当者に異動があったときなどにはあらためて、事業内容について聞かれるものです。
が、いちど話をしても、まもなく事業内容についてしつこく聞かれるケースがあります。商品の現物はどこにあるのか、取引先と取引をはじめた経緯はどうだったのか、なぜその支払方法・支払タイミングなのか、など。
そのあたりの話をしつこく、細かく聞かれる場合には、もしかすると「よくないことをしている会社、よくないことに関わっている会社」と疑われているのかもしれません。
ここで、「なんども面倒くさいなぁ、前にも言ったでしょ!」などとキレてしまうと、おしまいです。キレるのは、「やましいことがあるからではないか」と見られてしまいます。
そうなれば、融資を受けることはできなくなるでしょう。疑わしきは罰せよが、銀行の考え方でもあります。預金者からあずかった大事なおカネを、危険にさらすわけにはいかないのです。
銀行が、融資先の事業内容を把握するのは基本であり、事業内容について聞かれること自体はおかしなことではありません。ですが、あまりにしつこい、あまりに細かすぎる、といったときには疑われているかもしれないことは覚えておきましょう。
メンドーではあっても、根気よく、銀行の疑いが晴れるまで説明を続けることが大切です。
事業計画
銀行から、急に事業計画について聞かれた。それも、こと細かく計画について聞かれた。というときには、危ない会社だと疑われている可能性があります。この場合に疑われているのは、「つぶれてしまう会社」かどうかです。
典型的なタイミングとしては、黒字から赤字になったときや、赤字が大きくなったときなど。いままで、事業計画のことなんて、ロクロク聞かれたことがないのに、急に聞かれるようになった…みたいな。
銀行は、事業計画を確認することで、この先、業績が改善できるかどうか、貸したおカネが回収できなくなるようなことがないかを、検証しようとしているわけです。
というように、銀行は、融資先の業績が悪くなると、とたんに対応が変わることがあります。というか、変わるのが自然です。その変化を見逃したり、無視したりしないようにしましょう。
銀行の変化に対応できなければ、融資が受けられなくなる、銀行から見切られることになるからです。この点、事業計画について聞かれているのに、事業計画がない・つくれないのは問題となります。
もちろん、事業計画は銀行のためにつくるものではありませんが、いざというとき(業績が悪化して、資金繰りが厳しい)のためにも、日ごろから事業計画を作成・運用管理しておくのがおすすめです。
いざとなってから作成するようでは、場当たり的なイメージを与えてしまいます。また、すでに作成をしていても、実績とかけ離れているようだと説得力がありません。結局は、危ない会社だと見られてしまいます。
いまは、あれこれ聞かれないとしても、業績が悪くなればそうはいかない。あれこれ聞かれることになるものだと理解しておきましょう。
科目明細
決算書や試算表について。銀行から、特定の勘定科目について細かく聞かれた場合には、やはり、危ない会社を疑われているおそれがあります。急に聞かれるようになったときにはとくに、です。
たとえば、売掛金や棚卸資産の内訳明細を聞かれた場合。銀行は「粉飾決算」を疑っていることがあります。つまり、売掛金や棚卸資産の金額のなかに、不良資産や架空資産が混じっているのではないかと疑っているわけです。
このあたり、業績が良いときにはスルーされている(気づいていても)ことはありますが、業績が悪くなってくると聞かれることが多くなりますので、気をつけなければいけません。
そもそも架空資産がマズいのは当然として、不良資産については、業績が良いときこそ、積極的に損失処理をしておくこと。決算書をキレイにしておくことが大切です。
また、銀行から「元帳を見せてほしい」と言われるケースもあります。はっきり言って、かなり疑われているとおもったほうがよいでしょう。たとえば、貸付金や仮払金の元帳など。
銀行は、粉飾決算を疑ったり、貸したおカネが事業以外のことに使われているのを疑っているのです。決算書や試算表だけでは確証を得られないため、元帳の提示を求めることになります。
社長は、これを拒否することも可能ですが、拒否した時点で銀行からは「クロ」だと認定されることを覚悟しなければいけません。繰り返しになりますが、疑わしきは罰するのが銀行です。
銀行には、必要があれば元帳を要求できる権利があります(銀行と会社とで締結する、銀行取引約定書に書いてある)。見られて困る元帳にならないよう、日ごろから気をつけておきましょう。
いざ提示を求められてからでは、どうしようもありません(もちろん、改ざんもいけません)。
まとめ
どういうわけか、銀行から細かいことをあれこれ聞かれる会社があります。もしかしたら、銀行から「危ない会社」だと疑われているからかもしれません。では、危ない会社とは…?
それは、銀行からどのようなことを聞かれるかによって、おおむね推測することができます。実際に聞かれたときには、危ない会社を疑われているかもしれないと気づけるようにしましょう。
- 事業内容
- 事業計画
- 科目明細