会社で銀行融資を受ける際、少額をちょこちょこ借りようとする社長がいます。が、それは悪手にすぎるというものです。その理由について、お話をしていきます。
できるだけ少額を借りる社長
会社の銀行融資について。借りかたが悪い、というケースがあります。その一例が、「ちょこちょこ借りる」です。
つまり、「できるだけ借入をしたくない」という社長の思いから、できるだけ少額を借りてはみるものの。結局、じきに足りなくなってまた借りる…これを繰り返しているようなら悪手すぎです。
ではなぜ、ちょこちょこ借りるのがダメなのか?そのワケについてお話をします。社長が、ちょこちょこ借りてしまうのをやめる動機付けとして、押さえておきましょう。
具体的には、次のとおりです↓
- 毎月の返済が膨らむ
- 銀行から嫌がられる
- 労力・心労が増える
それではこのあと、順番に解説していきます。
銀行融資、ちょこちょこ借りるのが悪手すぎる理由
毎月の返済が膨らむ
具体例で説明します。返済期間5年(60か月)で600万円の融資を受けた場合、毎月の返済額は10万円です。その後、1年間の返済が済んだところでおカネが足りなくなって、返済期間5年(60か月)で360万円の融資を受けるとします。
すると、この会社の毎月の返済額は16万円(10万円+6万円)、借入残高は840万円(480万円+360万円)です。
これに対して、はじめから840万円を返済期間5年(60か月)で借りた会社の場合はどうでしょう?借りている金額は同じでも、毎月の返済額は14万円であり、2回に分けて借りる会社よりも毎月の返済額が少なく、資金繰りがラクになることがわかります。
言い換えると、ちょこちょこ借りると、毎月の返済が膨らむのです。
この例では2回に分けただけですが、ちょこちょこ借りるあまり、3回、4回…と増えていけばどうでしょう?当然ながら、さらに毎月の返済が膨らむことになります。ちょこちょこ借りれば借りるほど、毎月の返済が膨らむのです。
こうして、みずから資金繰りを悪くしている会社が実際にあります。したがって、どうせ借りるのであれば、いつか借りるかもしれないのであれば、「1回でしっかりと借りておく」という考え方ができるようにしましょう。
とはいえ、借りれば借りただけ利息負担が増えてしまうじゃないか?と、おもわれるのであれば、実はそうでもありません。ちょこちょこ借りているほうが、利息負担が大きくなることもあるのです。
銀行から嫌がられる
ではなぜ、ちょこちょこ借りているほうが、利息負担が大きくなるのか?端的にいえば、銀行の手間がかかるからです。ちょこちょこ借りるたびに、銀行は審査や手続きに手間を取られます。
そのうえ、少額の融資なのですから、融資金利が低ければ割に合いません。だとすれば、銀行が「金利を高くしよう」と考えるのは必然でしょう。
いっぽうで、1回でまとめて融資を受けるのであれば、ちょこちょこ借りられる場合に比べて、銀行の手間は少なくなります。また、融資額が大きくなれば、融資金利を下げる余地が生まれます。ボリュームディスカウントの考え方です。
だとすれば、会社側にもメリットがあります。まとめて借りるようにすることで、金利をはじめとした条件交渉がしやすくなるし、交渉が成功しやすくもなるわけです。
したがって、ちょこちょこ借りていると、みずから融資条件を悪くしていることに気づかなければいけません。この点、ちょこちょこ借りている社長は、気づけないことでもあるので要注意です。
できるだけ借入をしないようにと、少額の借入を繰り返していることで、おのずと融資金利が高くなってしまう。それを見たほかの銀行も、その高い金利に合わせようとすることもあるでしょう。
すると、借入全体の金利が高くなり、利息負担が増えるのであれば、実は、まとめて借りたほうが利息負担が小さかった(金利を抑えられるので)、というのはありうるハナシです。
目先の利息負担にとらわれることなく、広い視野で利息負担を考えるようにしましょう。
労力・心労が増える
ここまで、ちょこちょこ借りるのが悪手すぎる理由を2つお話ししてきました。でも、一番の理由はこれだと考えます。それは、社長の労力・心労が増えることです。
ちょこちょこ借りると、銀行の手間が増えるという話をしました。手間が増えるのは、銀行だけではありません。融資の依頼、手続きをする会社側の手間も増えます。
社長が動かねばならないのであれば、社長の手間が増えるわけです。融資の依頼、手続きとは、しなくてよいならしないほうがよい手間なので、社長にとって、そこで労力が増えるのは大きなデメリットになります。
社長の仕事とは本来、経営であって、資金繰りに追われるのは避けたいものです。また、ちょこちょこ借りることで増えるのは、労力だけではありません。心労も増えます。
ちょこちょこ借りるということは、絶えず、「おカネが足りない…何とかしなきゃ」という心配を抱えていることを意味します。結果、経営に集中できるなくなれば、これまた大きなデメリットです。
いっぽうで、まとめていちどに借りることで、向こうしばらくの資金繰りに見通しが立てば、社長は目の前の経営に集中することができるようになります。これにより、事業が改善・成長すれば、借りたおカネも余裕をもって返済できるというものでしょう。
つまり、ちょこちょこ借りるよりも、まとめて借りるほうが、好循環を生み出しやすいということです。同じ借りるのであれば、どちらがよいか。あらためて考えてみましょう。
まとめ
会社で銀行融資を受ける際、少額をちょこちょこ借りようとする社長がいます。が、それは悪手にすぎるというものです。その理由について、お話をしました。
社長が、ちょこちょこ借りてしまうのをやめる動機付けとして、ぜひ押さえておきましょう。
- 毎月の返済が膨らむ
- 銀行から嫌がられる
- 労力・心労が増える