企業がSNSを活用するのがあたりまえの時代になりました。その投稿内容を、銀行も関心をもって見ています。結果、融資の可否や、融資条件の良し悪しに影響することを理解しておきましょう。
中小企業こそSNSの活用を。
ひと昔前とは違って、企業がSNSを活用するのがあたりまえの時代になりました。大企業ばかりではなく、何かしらのSNSを利用している中小企業は少なくありません。むしろ、中小企業こそSNSを活用すべきとさえいえるメリットがあります。
それはさておき、会社のSNSを「銀行が関心をもって見ている」のはご存知でしょうか。つまり、SNSの投稿内容が「銀行融資の可否」や「融資条件の良し悪し」に影響しうるということです。
だとすれば、投稿するにあたって気をつけるべきこともありますし、積極的に投稿すべきこともあるわけで。社長は、そのあたりのところも押さえておくのがよいでしょう。
では、銀行が会社のSNSで見ていることとは?おもなところでは次のとおりです↓
- 社長の資質
- 会社の評判
- 新規融資先
それではこのあと、順番に確認をしていきます。
銀行が会社のSNSで見ていること
社長の資質
銀行が見ているのは、企業アカウントのSNSだけではありません。社長個人のアカウントについても注目をしています。たとえば、Facebookです。基本的に実名で利用されるSNSであり、誰でも検索が容易であるため、銀行員もよく見ているようです。
実際、社長の投稿内容を、銀行員から話題にされるケースを見聞きします。「Facebookで、社長が投稿されていた〇〇についてなのですが…」みたいな。
と聞いて、ドキッとした社長は気をつけましょう。個人のアカウントだからといって、「ルーズな投稿」をしていると、銀行からは社長の資質を疑われてしまいます。
よくないものでいえば、お客さまの悪口、会社・事業のグチ、銀行への不満など。また、おカネ使いが荒く見えてしまうような投稿もよくありません。
毎日のように、豪華な外食のようすを投稿していると、会社のサイフと個人のサイフがごっちゃになっている(会社のおカネを個人の嗜好に使っている)ことをイメージしてしまう…という、銀行員のお話を聞いたことがあります。
個人のアカウントでいえば、社員のSNSにも注意が必要です。近年、社員のコンプラ違反がSNSであきらかとなり、問題になるニュースも増えています。ひとたびニュースになれば、イメージの悪化は避けられず、融資審査にも多かれ少なかれ悪影響が及ぶでしょう。
だとすれば、会社は、社員個人のSNSについても、最低限のルールは設けておくのがおすすめです。
つまり、「社員としての責任や自覚をもって発信をすること」や「公序良俗に反する発信をしないこと」や「職務上知り得た情報や個人情報を発信しないこと」などを、SNS利用管理規程などとして定めることが、社員に対する牽制になります。
会社の評判
ここでいう評判とは、「自社商品・サービスに対する市場の評価」です。たとえば、商品・サービスの利用者による口コミ投稿があります。銀行が、融資先の会社名や商品名などでSNSを検索すれば見つけれられるものであり、実際に見てもいるそうです。
また、企業アカウントについては、フォロワー数も「会社の評判」にあたります。フォロワー数が多ければ、それだけファン(お客)が多いということであり、情報や商品をリーチするチカラが大きいということです。
ゆえに、融資審査にあたり、フォロワー数が注目されて、プラスの評価を得たケースもあります。だとすれば、銀行が見ていないときには、会社のほうからアピールすることも大切です。
つまり、会社におけるSNSの活用方針や実績(フォロワー数を含め)などを、銀行に伝えるということです。会社の「実力」の1つでありながら、決算書や試算表からは読み取れない部分であり、銀行が見落としていることもあります。
なお、自社がメディアで取り上げられたときには、その内容をSNSでも積極的にシェアしていくのがよいでしょう。フォロワーの目に止まるのはもちろん、銀行の目にも止まる可能性があります。
SNSでの投稿がきっかけで、いままで取引のない銀行が営業にやってくる、ということはあるものです。この点、せっかく企業アカウントがあるのに、活用が不十分な中小企業もあります。
銀行にも見られていることもふまえて、あらためて活用方法を検討してみるとよいでしょう。
新規融資先
さきほど、銀行は社長個人のアカウントについても、SNSを見ているといいました。このとき、銀行が見ているものは「社長の資質」だけではありません。その社長が「誰と繋がっているか」にも注目をしています。
たとえば、Facebookで社長と密なコミュニケーションをしている相手は、社長と仲がよいということであり、相応の信頼関係があるということです。では、その相手が「良さげな会社の社長」であったとしたらどうでしょう。
つまり、商売がうまくいっていそうな会社であり、銀行としては新規融資ができたらいいなぁと考えるような会社の社長であれば、銀行は「紹介してほしい」と考えます。
なので、銀行からは「Facebookを拝見しました。お付き合いのある〇〇社長をご紹介いただけませんか?」などといわれることもあるわけです。もちろん、紹介したからといって、自社に直接的な得はありませんが、銀行から感謝をされたり、心象がよくなることはあるでしょう。
何にせよ、銀行は社長が「誰と繋がっているか」にも注目していることを忘れてはいけません。繋がっている相手がもし、「良からぬ相手」であれば、自社の評価を下げることにもなります。
わかりやすい例でいえば、ガラの悪そうな人とガラの悪そうな言葉づかいでメッセージのやりとりをしているとか…すると、銀行としては商売への影響を考えて不安になるものです。
ゆえに、社長個人のアカウントは、「完全なプライベート」とはいえません。会社の代表者として、会社のいちぶ(というか大部分)として見られていることを覚えておきましょう。少なくとも、銀行はそのような見方をしています。
今後、AIによる銀行の審査が拡大すれば、SNSをはじめとしたネット上の情報は、すべからく評価の対象です。いまは見逃されていても、AIは見逃しません。いまのうちから、銀行対応としてのSNSについても準備を進めましょう。
まとめ
企業がSNSを活用するのがあたりまえの時代になりました。その投稿内容を、銀行も関心をもって見ています。結果、融資の可否や、融資条件の良し悪しに影響することを理解しておきましょう。
- 社長の資質
- 会社の評判
- 新規融資先