銀行融資が借りにくくなるとしたら、社長としては困ります。では、銀行融資が借りにくくなる外部要因とは?内部要因にかかわらず、銀行融資が借りにくくなる可能性についてのお話です。
豊富な資金調達手段を持たない
中小企業にとって、銀行融資は重要な資金調達手段だといえます。なぜなら、大企業のようには豊富な資金調達手段を持たないのが、中小企業だからです。
その銀行融資が借りにくくなるとしたらどうでしょう。もちろん、社長としては困ったことになるはずです。では、どのようなときに銀行融資が借りにくなるのか?
大きく2つ、内部要因と外部要因とに分けられます。このうち内部要因とは、自社内における要因であり、最たる例は業績の悪化です。いっぽうで、外部要因とは?
というわけで、銀行融資が借りにくくなる外部要因について、お話をしていきます。おもなところでは次のとおりです↓
- 融資金利が上がる
- 貸し倒れが増える
- コンサルが増える
このあと、順番に解説をしていきます。内部要因にかかわらず、銀行融資が借りにくくなる可能性があることを理解しておきましょう。
銀行融資が借りにくくなる外部要因
融資金利が上がる
本記事は、2024年6月に執筆をしています。少し前の3月には、長らく続いたマイナス金利が解除されました。その後、長期金利もジワジワと上昇し、融資金利も上昇傾向にあります。
金利のある世界を迎え、各銀行はいかにして融資金利を上げていくかに注力している。とのニュースも、よく見聞きをするところです。では、このまま融資金利が上がっていくとどうなるか?
銀行融資が借りにくくなります。
融資金利が上がるということは、融資を受ける会社の「利息負担」が増えるということです。負担が増えれば、その分だけ資金繰りは厳しくなります。これまでと同じ額の借入であっても、返済が苦しい…という会社もあらわれるでしょう。
結果、貸したおカネを回収できないと、銀行は困ります。ゆえに、融資金利が上がると、銀行の融資審査は厳しくなるのです。利息負担に耐えられないような会社には融資をしない、ということになります。
だとすれば、社長が考えるべきは「増益」です。融資金利が上がって利息が増えても、じゅうぶんな利益があれば問題はありません。ですから、増益をはかりましょう。
いやいや、それができれば苦労はしない。と、おもわれるかもしれませんが。融資金利が上がる(≒ 政策金利が上がる)ということは、世の中の景気がよいからでもあります。
それなら、自社の利益だって増えていなければおかしい。利益率が上がっていなければおかしい。銀行もそのように考えます。利益率を上げる一番の手段は「値上げ」です。
そのためには、常日ごろから付加価値アップに取り組むことも、これまで以上に重要になります。
貸し倒れが増える
貸し倒れとは、銀行が貸したおカネを回収できなくなることです。世の中で倒産が増えると、銀行の貸し倒れも増える傾向にあります。いまはどうかといえば、まさにそのときです。
ゼロゼロ融資の返済が本格化したことによる倒産、円安による倒産、人手不足による倒産、コンプライアンス違反による倒産など、いずれにせよ倒産する企業が増えているとの統計があります。
するとどうなるか?いうまでもなく、銀行は融資先の倒産を警戒するようになります(金融庁が、銀行に対して警戒を求めてもいます)。もともと警戒はしてきたわけですが、いっそう警戒を強めるということです。
具体的には、融資審査の厳格化としてあらわれます。これまでよりも審査の基準を引き上げて、貸し倒れの可能性が高い会社への融資は控えよう、ということです。
これに対しても、社長が考えるべきは「増益」です。銀行にとっては「利益=返済力」ですから、きちんと利益が出ている会社が評価されます。加えて、「預金残高」です。
預金残高が少ない会社は、ちょっと赤字になっただけでも資金難におちいる可能性があります。また、黒字であったとしても、ちょっとした入出金のズレで資金難におちいる可能性もあります。
結果、資金ショートすれば会社は倒産です。倒産まではしないにしても、銀行が貸したおカネを返してもらえなくなることはあります。だとすれば、預金残高が少ない会社は危ない。
危ない会社には融資をしない、そのように銀行が考えるのは自然なことでしょう。企業の倒産が増えて、貸し倒れが増えているいまだからこそ、預金残高は潤沢に持ちましょう。
1つの方法は、借りれるときに借りておくことです。おカネが足りなくなってからでは遅すぎます。銀行は預金残高が少ない会社を嫌うのですから、おカネがあるうちに借りておくことです。
コンサルが増える
おカネを貸す(融資)のは、銀行の仕事の1つです。おカネを貸して、利息を稼ぐ。
ところが、世の中は低金利であり(少なくともこれまでは)、これからは人口減をともなう企業数の減少も懸念されています。すると、利息で稼ぐにも限度があるというものです。
では、どうするか…?というわけで、いま増えているのが、銀行によるコンサルティングです。ひとくちにコンサルティングといっても、いろいろあります。
たとえば、ビジネスマッチング、事業承継・相続支援、M&A支援、人材採用・育成支援、DX支援などなど。いずれにせよ、コンサルティングによって銀行は収入をえることができます。
いまはまだ件数が少ないかもしれませんが、ノウハウが蓄積され、件数も増えていけば、コンサルティングによる収入は「利息で稼ぐよりも割がいいぞ」ということになるでしょう。
すると、どうなるか。「ムリしてまで融資をする必要もないんじゃね?」と考える銀行が出てきても、おかしくはありません。ていど加減はあるにせよ、すでにその傾向があらわれているような銀行もあります。
よって、銀行によるコンサルティング(収入)が増えれば、銀行融資が借りにくくなることは理解しておいたほうがよいでしょう。当然、業績が悪い会社ほど、そのあおりを受けることになります。
これまでの話と同じく、やはり「増益」が重要であり、これまで以上に利益が重要になるということです。今後は、利益の大小によって、融資を受けやすい会社と受けにくい会社の二極化が顕著になるでしょう。
まとめ
銀行融資が借りにくくなるとしたら、社長としては困ります。そこで、銀行融資が借りにくくなる外部要因についてお話をしました。
内部要因にかかわらず、銀行融資が借りにくくなる可能性があることを、社長は理解しておくようにしましょう。
- 融資金利が上がる
- 貸し倒れが増える
- コンサルが増える