税理士が社長に伝えたい資金繰りのこと

税理士が社長に伝えたい資金繰りのこと

税理士といえば、税金の専門家。ですが、税金を通じて、お客さまの資金繰りにも関与する身として、社長に伝えたい資金繰りのこととは…?そんなお話をしてみます。

目次

税理士といえば税金の専門家

税理士といえば、「税金の専門家」ですが。税金の計算や経理処理を通じて、お客さまの資金繰りにも関与しています。

では、会社の資金繰りについて、税理士が社長に伝えたいこととは?わたしがおもうところ、そして、ふだんお伝えしていることを挙げてみることにします。

といっても、「ウチの税理士からはそんなこといわれてないよ?」ということかもしれませんし、場合によっては、「真逆のことをいわれているけどなぁ…」ということだってあるかもしれません。

税理士もいろいろです。そのうえで、わたしがおもう、税理士が社長に伝えたい資金繰りについてが、以下のとおりとなります↓

税理士が社長に伝えたい資金繰りのこと
  • 借入を嫌わない
  • 利益を嫌わない
  • おカネを増やす

このあと、順番に解説をしていきます。

税理士が社長に伝えたい資金繰りのこと

借入を嫌わない

資金繰りの目的は、会社のおカネを1円でも増やすことにあります。このとき、お伝えしたいのが「借入を嫌わない」ということです。ちなみに、ここでいう借入は、おもに「銀行借入」を指します。

借入はなければないでよいものではありますが、借入が必要なのに借入を嫌っているようだと、資金繰りを悪くするものです。借入が必要とは、たとえば、預金残高が少ない会社が挙げられます。

預金残高が少ないほど、資金ショートの可能性が高まることはわかるでしょう。にもかかわらず、「借金をしたくない」と借入を嫌っていると、ちょっとしたピンチでも資金ショートです。

それで、会社がつぶれてしまうようでは元も子もありません。ですから、まずは借入をしてでも、資金繰りをよくする、預金残高をできるだけ高くキープするようにしましょう。

すると、社長も経営に集中できるし、事業への投資もできるので、会社の利益は増えるようになります。増えた利益で預金が増えてきたら、そのときは借入を返済していけばいいのです。

これが逆になると、厳しいものがあります。逆とはつまり、預金が少ないままに、利益を増やそうとすることです。預金が少なくて資金繰りが悪いと、社長は資金繰りに気持ちも時間も取られます。

すると、利益は増えるどころか、減ってしまうことになりかねません。なので、まずは借入。それにより、資金繰りをよくすること。借入を嫌う(=借入を返済する)なら、そのあとです。

これから先、世の中の金利が上がると、融資金利も上がり、融資審査は厳しくなります。これまでよりも借りにくくなっていくのですから、いまのうちに借りておくことも考えましょう。

利益を嫌わない

信じられないことに、利益を嫌う社長がいます。いやいや、そんなことはない。と、おもわれるかもしれませんが。では、うかがいますが、納税はお好きですか?

さすがにイジワルな質問でしたが、本質的には、大事な質問だといえます。なぜなら、納税を嫌うということは、利益を嫌うことでもあるからです。

法人税は、利益に対して税率を乗じることで計算されます。その法人税を減らしたければ、利益を減らそうという発想にもなるわけで。実際に、税金を減らすために利益を減らす社長はいます。

税金が多いとわかると、経費を増やして利益を減らす。もしかしたら、心当たりがあるかもしれません。すると、どうなるか?まずは、手元に残るおカネが減ってしまいます。

たとえば、500万円の利益を出せる会社があったとして。税率が30%ならば、税金は150万円です。でも、そんなに税金を払いたくないからと、経費を500万円増やしたとします。

すると、利益はゼロになるため、税金もゼロです。これにより、150万円の税金もゼロになりました。ところが、手元に残ったおカネは…ゼロです。

経費を増やすことなく、税金を支払っていれば、手元には350万円もおカネが残っていたはずなのに。こうして、利益を嫌う社長の会社は、資金繰りを悪くしていくことになります。

税金を払わなければ増えないおカネもあることを、社長は理解しておきましょう。

おカネを増やす

資金繰りの目的は、会社のおカネを1円でも増やすことだと前述しました。そして、借入や利益を嫌えば、おカネが減ることもお話をしました。

なので、まずは、借入や利益を嫌わないことです。そのうえで、おカネをどこまで増やすのか、その「目標」を持ちましょう。おカネの目標を定めている社長は、意外と少ないものです。

売上や利益の目標は定めていても、おカネの目標は定めていない。なぜなのか?売上や利益はゼロになっても、会社が即つぶれるわけではありませんが、おカネがゼロになったら、会社は即つぶれてしまうのに、です。

だったら、おカネについてこそ、目標を定めるべきだとわかります。では、いくらを目標にすればよいのか。おカネはあればあるだけよいものの、現実的な目標は持っておきたいものです。

まず、最低でも「平均月商(年間売上高÷12か月)の2か月分」、できれば「平均月商の3か月分」が目安になります。

預金残高が平均月商の2か月分を切ると、資金ショートの可能性が高まるからであり、3か月分あれば資金繰りにも余裕ができるからです。

そのうえで、最終的には「平均月商の6か月分」を目指しましょう。このくらいになると、新型コロナのような大ピンチでも(売上ゼロが6か月続いても)、耐えしのぐことができます。

6か月という時間を稼げれば、そのあいだになんとかできる可能性が高まる、生き延びられる可能性が高まるというものです。以上の目標に向かって、いかにおカネを増やすかを考えてみましょう。

まとめ

税理士といえば、税金の専門家。ですが、税金を通じて、お客さまの資金繰りにも関与する身として、社長に伝えたい資金繰りのこととは…?そんなお話をしてみました。

税理士もいろいろですから、わたしがお伝えしたのとは違ったことを伝えられるかもしれません。であれば、本記事の内容と比較をしたうえで、社長がどう「判断」をするかです。

税理士が社長に伝えたい資金繰りのこと
  • 借入を嫌わない
  • 利益を嫌わない
  • おカネを増やす
税理士が社長に伝えたい資金繰りのこと

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