税理士が銀行と繫りを持つ目的はお客さまを紹介してもらうため、ではない

税理士が銀行と繫りを持つ目的はお客さまを紹介してもらうため、ではない

税理士は、銀行と繋がりを持ちましょう。だって、銀行からお客さまを紹介してもらえるから。というハナシがありますが、ちょっと気をつけたほうがいいかもしれません。そんなお話をします。

目次

むしろ、デメリットにさえなる

税理士が、お客さまの銀行融資を支援したいのであれば、「銀行と繋がりを持ちましょう」という話があります。わたしも同感です。

ただ、その目的については、同感とはいえないこともあります。「銀行から、お客さまを紹介してもらうため」という目的です。

たしかに、税理士が銀行と知り合い、関係性を深めることで、銀行からお客さまを紹介してもらえることはあります。とはいえ、わたしにとっては、それが目的にはなりません。

むしろ、デメリットにさえなるものだと考えています。ではなぜ、デメリットになるのか?だったら、税理士が銀行と繋がりを持つメリットとは何なのか?このあとお話をしていきます。

銀行からの紹介がデメリットなワケ

銀行からお客さまを紹介してもらえれば、お客さまが増える。これだけを見ればメリットかもしれませんが、そのお客さまが、じぶん(税理士)には合っていなかった場合はどうでしょう?

仕事をするうえでは、お互いの相性だって大事な要素です。「この会社(社長)とは、どうも合わないなぁ…」ということであれば、仕事をしたくなくなるのは当然でしょう。

ところが、銀行からの紹介となると、「ムゲに断るのもどうなのか?」ということであり、気がついたら、お引き受けしていた…というのは「あるある」な気がします。

相性が合わないのですから、お付き合いをするにも「ストレス」がたまるものです。これは、お客さまの側も同じかもしれません。だとすれば、税理士もお客さまも不幸だといってよいでしょう。

人がよい税理士ほど、銀行からの紹介には気をつける必要があります。

また、紹介を受けた際に、「ひとまず、いちどお会いしてみるか」というのも「あるある」です。この点、「いちど」会って話を聞けば、カンタンには断りにくくなるのがヒトだといえます。

じゃあ、どうするか?入口の時点で、「線」を引くことです。わたしの場合には、「ご紹介いただくお客さまに、わたしのブログサイトを見てもらう」ように頼みます。

見てもらったうえで、それでもお客さまが依頼をしたいということであれば、ブログサイトの問い合わせフォームからご連絡していただく、という流れです。

このブログには、日ごろの記事のほかに、プロフィールなどを通じて、わたしの人となりが伝わるであろう「材料」が詰め込まれています。なので、あるていど「相性」を見極めることが可能です。

実際、前述したとおり、ブログサイトを見てもらうように依頼をすると、ほぼ100%に近い確率で、その後に連絡が来ることはありません。

いやいや、ダメじゃん。と、おもわれるかもですが。銀行からの紹介はなくとも、このブログや、その他の発信などから、わたしの人となりもご理解をいただいたうえで、お仕事のご依頼をいただくほうが、わたしにとってはよい、ということになります。

銀行との繋がりを持つ目的は

それでも(=銀行からお客さまの紹介がなくても)、「税理士が銀行との繋がりを持つ」ことに同感であるのは、「銀行の考え方を知るため」です。

お客さまの銀行融資の支援を通じて、銀行員の方々と接することになります。このとき、銀行員の言動から、銀行の考え方を知ることはできますし、こちらから質問をすることも可能です。

つまり、銀行融資について疑問におもっていることがあれば、銀行から直接、話を聞く機会を得られる、ということになります。その機会が増えれば、税理士の銀行融資に対する理解が深まり、いっそう支援がしやすくなるのはメリットです。

したがって、わたしが考える「銀行との繋がりを持つ目的」は、前述したとおり「銀行の考え方を知るため」ということになります。

ところが、ややもすると、銀行との繋がりにおいては「お客さまの紹介」ばかりを期待して、日ごろ、銀行員と接する機会は持とうとしない、という税理士の話を聞くことがありました。

税理士も忙しいのだから、直接、銀行員とはやりとりしない。銀行融資の支援といっても、融資を受けたい顧問先があれば、銀行の担当者に「丸投げ(=顔つなぎ)」をするだけ、という考え方もあるようです。

それはそれで、ひとつの考え方であり、わたしがとやかくいうつもりはありませんが。じぶんのことに置き換えてみると、「銀行の考え方を知る機会」を逃しているようでもったいない、とは感じます。

せめて、決算報告に同席を

とはいえ、銀行員とはどのような場面で接点を持てばよいのか。ひとつは、お客さまが融資を受けたいというときですが、それとは別にもうひとつ、おすすめなのが「決算報告」です。

会社は毎年、決算書ができあがったら、銀行(支店)まで出向いて報告をすることを、わたしはおすすめしています。決算報告の内容について、くわしくは別記事に譲るとして↓

その決算報告には、顧問税理士として同席するのがよい、と考えています。報告を通じて、銀行の考え方を知ることができますし、疑問があればたずねることだってできますし。

また、会社がよりスムーズに融資を受けるためには、決算後がベストなタイミングであるため、そのタイミングで銀行に「アピール」をすることの効果は高いのです。

ところが、そのタイミングを逃しておいて、あとになっておカネが足りなくなってから、あわてて融資を受けようとすれば、スムーズには融資が受けられないのはあたりまえでしょう。

それはさておき、決算報告とは年にいちどの「大義名分」があるタイミングです。ふだん、「銀行(支店)まで行きます!」などといえば、銀行も身構えてしまいますが、決算報告という理由であれば自然です。

また、銀行(支店)まで出向くことで、支店長や融資課長が同席してくれる可能性もあります。そういった方々とお会いして、考え方を知ることができるのも大きなメリットです。別のお客さまの銀行融資支援にも役立ちます。

同席するなんてメンドーだ、という税理士の気持ちもわかるのですが。同席の機会を逃すのは、もったいないことでもある、ということは覚えておきましょう。

まとめ

税理士は、銀行と繋がりを持ちましょう。だって、銀行からお客さまを紹介してもらえるから。というハナシがありますが、ちょっと気をつけたほうがいいかもしれません。そんなお話をしました。

お客さまの紹介もよいですが、それよりも銀行員の考え方を知る機会として、銀行との繋がりを持つのがおすすめです。

税理士が銀行と繫りを持つ目的はお客さまを紹介してもらうため、ではない

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

目次