「決算書を銀行に見せてはいけない」というアドバイスがあるけれど

「決算書を銀行に見せてはいけない」というアドバイスがあるけれど

決算書を銀行に見せてはいけない、というアドバイスもあるようですが。鵜呑みにしていると、銀行融資が受けられなくなったり、受けにくくなってしまうので気をつけましょう。というお話です。

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ちまたにあるアドバイス

会社の銀行融資・銀行対応について。自社の決算書を、銀行に見せてはいけない。そういったアドバイスが、ちまたにはあるようです。

見せるとしても、ぜんぶは見せないほうがいい。できるだけ隠したほうがいい。そういったアドバイスも含めて、なぜ、決算書を銀行に見せてはいけないというハナシになるのか?

実は、決算書を銀行に見せないことには「マズさ」があります。ここでいう「マズさ」とは、融資が受けられなくなったり、受けにくくなったりするという意味です。困りますよね?

そこで、決算書を銀行に見せないことの「マズさ」について、理解をしておきましょう。このあと、説明をしていきます。

融資を受けている銀行に対してはマズい

いま現在、すでに融資を受けている銀行に対しては、会社には決算書を見せる義務がある、と考えておくのがよいでしょう。

そもそも、各銀行からはじめて融資を受けるときには、「銀行取引約定書」という書類を取り交わすことになります。そのなかには、会社が決算書を定期的に提出することや、銀行が必要と考える情報については会社が提供すること、などが定められているのです。

なので、会社は銀行に、決算書を見せなければなりません。にもかかわらず、会社がそれを拒むのであれば、銀行はその気になれば、一括返済を求めることができるものとも定められています。

銀行としては、必要な情報がなければ、融資判断もできないのですから当然でしょう。

また、銀行が必要と考える情報については、銀行が会社に情報提供を求めることができるため、「決算書のぜんぶは見せない」というのも、本来は、約束違反であることがわかります。

それでも、会社が「見せない」という選択をするのも1つの手段ではあるものの、銀行としては「だったら、もう貸さない」という選択ができる点で、得策ではないでしょう。

なにはともあれ、そもそも「決算書は見せる約束」になっていることは覚えておかねばなりません。銀行取引約定書の内容を確認していない社長もいますので、注意が必要です。

融資を受けていない銀行に対してもマズい

では、まだ融資を受けたことがない銀行に対してはどうでしょう。つまり、融資を受けたことがないない銀行から、「決算書を見せてほしい」といわれた場合です。

もちろん、銀行取引約定書を取り交わしてはいませんから、会社がその銀行に対して決算書を見せる義務はありません。なので、決算書を見せる・見せないは自由です。

が、もし、その銀行から融資を受けたいと考えているのであれば、決算書を見せないことには、やはりマズさがあります。もはやいうまでもありませんが、決算書がなければ、銀行は融資審査ができないからです。

この点、「決算書をぜんぶは見せない」ことにも、マズさがあります。「とりあえず、貸借対照表や損益計算書を見せればいいだろう」と、法人税申告書や勘定科目内訳明細書などは見せなくてよいとするアドバイスもあります。

ですが、それは百害あって一利なし、というのが私見です。銀行は、情報があるほど、柔軟に融資を検討することができますし、情報がないほど、融資には慎重になります。

よって、決算書を見せなかったり、見せたとしてもぜんぶは見せないのであれば、融資は受けにくくなるものと考えておきましょう。融資を受けたいのであれば、決算書をぜんぶ見せないのは愚策です。

ウチはうまくいってません、といってるようなもの

決算書には、勘定科目内訳明細書が付属します。その名のとおり、各勘定科目の明細・内訳を記載した書類です。このうち「預金や借入金の内訳明細書は、銀行に見せないほうがいい、とするアドバイスがあります。

なぜなら、銀行ごとの預金や借入金のシェア、借入金利といった情報が銀行に知られてしまうので、足元を見られたり、交渉しづらくなってしまうと考えるからです。

たとえば、金利。どこかの銀行の借入金利が高ければ、それを見た別の銀行も、金利を引き上げてくるかもしれない。どこかの銀行の預金が多ければ、それを見た別の銀行が、ウチにももっと預金をしてほしい(預金を移してほしい)といってくるかもしれない。

たしかに、そのとおりです。そういったことになる可能性はあります。が、うまく銀行対応ができているのであれば、銀行に知られて困ることはないはずです。

よって、勘定科目内訳明細書を隠そうとする会社は、「ウチは、銀行対応がうまくいってません(あるいは、銀行対応がうまくできません)」といっているようなものでしょう。

それに、なにかを隠そうとすればするほど、疑わしくなってしまいます。銀行からすれば、「なにか知られて困るようなことがあるのかな」ということであり、「だったら貸すのはやめておこう」となるものです。

だとすれば、銀行に対して「情報は隠さない」のが基本となります。

まとめ

決算書を銀行に見せてはいけない、というアドバイスもあるようですが。鵜呑みにしていると、銀行融資が受けられなくなったり、受けにくくなってしまうので気をつけましょう。

本記事でお伝えした、決算書を銀行に見せないことの「マズさ」を、理解することが大切です。

「決算書を銀行に見せてはいけない」というアドバイスがあるけれど

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