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銀行融資でも「中小企業の基本要領」が大事になるワケ

銀行融資でも「中小企業の基本要領」が大事になるワケ

中小企業の会計に関する基本要領は、銀行融資にも影響します。だから、基本要領は大事になる。そのワケについて、お話をしていきます。

目次

中小企業が守るべき会計ルール

「中小企業の会計に関する基本要領(以下、基本要領)」というものがあります。端的にいえば、中小企業における、守るべき会計のルールです。くわしくは、こちらから確認できます↓

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/youryou/about/index.html

細かなルールの話はさておき、基本要領を守ることが、銀行融資でも大事になりますよ、というのが本記事でお伝えをしたい部分です。さぁ、御社では基本要領を守っていますか?

と、聞かれて、「そもそも、基本要領ってなに?」「基本要領なんて聞いたことがない」「税理士に任せているのだから、大丈夫でしょう」などと、おもわれるかもしれませんが。

だったら、このあとのお話を確認しておくのがおすすめです。経理や決算書のことは、税理士に任せているとしても、基本要領が守られているかどうかは別の話でもあります。

たとえば、減価償却費。赤字だからといって、計上すべき金額(法定限度額)を償却費として計上していなければ、基本要領を守れていない…ということになってしまいます。

その点をふまえて、銀行融資でも基本要領が大事になるワケを確認していきましょう。

銀行融資でも「中小企業の基本要領」が大事になるワケ

融資制度に影響する

銀行融資のなかには、基本要領を守っていることを前提に、金利が優遇されるなどの制度があります。取引銀行に、そのような制度があるかの確認をしてみるとよいでしょう。

民間銀行のみならず、公的金融機関である日本政策金融公庫にも、「中小企業経営力強化資金」という制度があります。やはり、基本要領を守っていることで、金利優遇されるのはメリットです。

なお、それらの制度を利用する場合には、『「中小企業の会計に関する基本要領」の適用に関するチェックリスト』という書類が必要になります。

基本要領が守られているかを税理士が確認し、その税理士の記名・押印がされた書類です。

チェックリストの名のとおり、守るべき会計ルールが列挙され、「Yes」または「No」で回答が記載されます。制度を利用するには、「すべてYes」が原則です(例外はありますが)。

だとすれば、基本要領が守られていない(チェックリストの項目にNoがある)のは、会社にとっては「損」だといえるでしょう。受けられるはずの優遇が受けられないのは、損です。

まずは、顧問税理士に、チェックリストの項目を確認してみることからはじめましょう。そのうえで、Noの項目については、Yesとすることができないかの検討です。

そもそも決算書の信用度が下がる

繰り返しになりますが、基本要領は、中小企業が守るべき会計ルールです。よって、基本要領が守られていないということが、決算書の信用度を下げることにも繋がります。

前述したような制度を利用するかどうかにかかわらず、基本要領を守れるようにするのがよいでしょう。放っておくと、融資が受けにくくなることも考えられます。

たとえば、冒頭でもふれた減価償却費について。基本要領を守らず、計上すべき金額を計上していない会社があるのは、おもに「利益の水増し(粉飾決算)」が原因です。

業績が悪いと融資が受けにくくなる…でも、融資は受けたい。そこで、費用(減価償却費)を減らして利益を増やそう、といった考えになるわけです。

もちろん、銀行にとって、利益の水増しは許されることではありません。利益は返済財源であり、正しい利益に見合った分のおカネしか、貸すわけにはいかないのです。

また、利益の水増しという「姑息」なことをする会社に、預金者からあずかった大事なおカネを貸すわけにはいかない、との考えもあります。うっかり貸した挙げ句、回収不能になりました…なので、預金をお返しすることができません…というのでは、預金者はたまったものではありません。

だから、銀行は、基本要領を守れない会社を嫌います。

この点、会社は自主的に(制度を利用しなくても)、基本要領のチェックリストを用意して、銀行に提出する決算書のコピーに添付しておく、ということをも検討してみましょう。

経営者保証の解除にも影響する

ここ数年、経営者保証の解除が急激に進んでいます。新規融資のうち、約半数が、経営者保証を必要としない融資となりました。以前に比べると、社長の連帯保証がなくても、会社の融資は受けられるようになっているのです。

とはいえ、すべての会社で、経営者保証を解除してもらえるわけではありません。経営者保証の解除には、目安となるガイドラインが存在しています。

そのガイドラインによれば、「財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保」が、経営者保証の解除には必要です。

だとすれば、基本要領を守らないことは、ガイドラインの定めに反するものだとわかるでしょう。つまり、基本要領を守れないような会社は、経営者保証の解除が難しくなるということです。

社長にとって、経営者保証はなければないほうがいいものですから、解除できるはずの経営者保証を解除できないこともまた「損」となります。

さらにいえば、経営者保証の解除ができないような会社には、「そもそも融資自体をしない」という考えの銀行も出てくるでしょうから、経営者保証だけの問題でもありません。

なので、社長が「別に、経営者保証は解除できなくもいいや」で、済ませないようにしましょう。会社の資金繰り全般に関わる大きな問題です。

まとめ

中小企業の会計に関する基本要領は、銀行融資にも影響します。だから、基本要領は大事になる。そのワケについて、お話をしました。

基本要領が守られているか、守られているならチェックリストはあるか。そのあたりは、顧問税理士にも確認をしておくようにしましょう。

銀行融資でも「中小企業の基本要領」が大事になるワケ

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