超・箇条書き/杉野幹人【一冊一言 #03】

超・箇条書き

きょうの一冊一言(いっさついちごん)は、

杉野幹人さん著 『超・箇条書き』

この一冊から、きょうの自分に活きる一言を。見つけ出していきます。

目次

内容紹介

著者は、大学教授で経営コンサルタントの杉野幹人さんです。

ストーリーライティングの技術を東京農工大学で教えるいっぽう。世界40ヶ国以上に拠点を有する、グローバルな経営コンサルティングファーム「A・T・カーニー」でマネージャーを務めています。

本書では、シリコンバレーで学び、戦略コンサルの場で活躍する著者により。仕事にすぐ効く「箇条書きメソッド」について、詳しくわかりやすく書かれています。

いちブロガーとして「より伝えるための技術」を求めて、わたしが手にしたこの本。ブロガーならずとも、多くのビジネスパーソンの「伝えるチカラ」に役立つ一冊です。

 

きょうの一冊一言

『超・箇条書き』から、わたしが見つけ出したとびきりのひとこと、一冊一言は・・・

箇条書きは単なる文章術ではない。
人を動かすための情報処理の技術なのだ。

《019ページより抜粋》

ここで注目すべきは「人を動かすための」という目的部分。なんのための箇条書きであるべきか、ということ。

これについて、杉野さんは次のように言っています。

箇条書きの機能は「読み手や聞き手にとっての情報処理の負荷を減らす」こと

忙しい人や関心がない人でも伝わりやすい

伝わりやすいから、相手は動いてくれる

ゆえに、「人を動かすための」箇条書きであるべきだ、と。

ところで。ここで言う「人(相手)」には、「箇条書きした本人」も含む、と解釈してよいでしょう。

自分自身に向けた箇条書きであったとしても。やはり、自分という「人」を動かすためのものであるべきだからです。あらゆる文章には、動かしたい相手が必ずいるはず。

巧い文章、カッコいい文章、美しい文章が書けたとしても。それらはただの「文章術」でしかなく。読んだ人が動くかどうかは別のハナシ。

箇条書きに限らず、総じて「文章を書く」ということを考えるとき。「人を動かすための」という目的から離れてはいけないことを教えてくれる一冊一言です。

 

その他 注目の一言

一冊一言以外に、『超・箇条書き』から見つけた気になる一言を。

「当たり前」に人を動かすチカラは無い

本書では、箇条書きの技術を大きく3つに分けて紹介しています。

  1. 構造化・・・相手が全体像を一瞬で理解できるようにすること
  2. 物語化・・・相手が関心をもって最後まで読み切れるようにすること
  3. メッセージ化・・・相手の心に響かせ行動を起こさせること

このうち、箇条書きのみならず、他の文章にも通じる「メッセージ化」について。注目の一言を抜き出してみます。まずは、

こうしたものが隠れ重言だ。当たり前のことをもっともらしく言って、何か言った気になっているだけだ。相手にとってはなんの意味もない。

《134ページより抜粋》

「隠れ重言」とは、純粋な重複表現などではないが、わざわざ伝える意義がないものとして、著者が定義しているものです。

例として。サッカーの日本代表戦を解説しているアナウンサーが「日本はゴールが欲しいですね」と言う。サッカーでゴールを目指すのは大前提であり、当たり前。そこにあたらしい情報はなにもない。

短く伝える技術である箇条書きに、隠れ重言はムダになる。そういうことです。

そりゃそうだろ、ということですが。よくよく注意をしてみると。けっこう大事な場面、大切な文章でも「隠れ重言」は散見されるものだとも著者は言っています。

たとえば、経営方針。

  • 収益化を徹底する
  • 改革を推進する
  • 売上を改善する などなど

たしかに、ありがちです。経営方針もまた「箇条書き」でありながら、隠れ重言を含みがち。経営方針が伝わらない、浸透しないという場合には。隠れ重言を疑ってみるのがよいでしょう。

隠れ重言には「言葉としてのチカラ」が無い。人を動かすチカラは無いんです。

伝えるチカラを弱めるのは「無難」を選ぶ自分自身

メッセージ化について、杉野さんは言います。

最大の敵は、自分自身だ。それも”無難”な道を選ぼうとする自分だ。

《168ページより抜粋》

さきほどの経営方針の例にしても。「徹底」「推進」「改善」など、当たり前であいまいで、無難な表現に逃げていると言えます。

それは、責任を回避するかのような「不明確なスタンス」の表れであり。そのようなスタンスで、人が動かされることはないということです。

アタマでは理解できることでありながら、あらためて自分自身の文章を振り返ってみれば。

ちょいちょい「不明確なスタンス」で、しばしば「もっともらしい表現」で無難な文章を書いているものだ。と反省することになります。反省をし続けるばかり。なぜか?

繰り返しになりますが。

冒頭の「人を動かすための」文章であることを忘れてしまっているからでしょう。「書くことが目的」になってしまっているからでしょう。

文章を書くに際し。その前提として、「文章を書かなければいけない」という環境は多いものです。

ビジネスシーンで書く文章などは、必要に迫られてという状況がほとんどでしょう。わたしが書いているブログにしてもそう。毎日更新というルールに迫られている部分があります。

それはそれでしかたのないことです。いつもいつも積極的な動機でペンを持つ(あるいは、パソコンに向かう)わけではありません。

そうだとしても。

あらゆる文章の目的は、変わらず「誰かを動かすため」にあるのだと。まずは背筋を伸ばして、文章に向き合うことが大切なのだと気づかされる言葉でした。

 

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  きょうの執筆後記
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