きょうの一冊一言(いっさついちごん)は、
川上徹也さん著 『一言力』
この一冊から、きょうの自分に活きる一言を。見つけ出していきます。
内容紹介
著者は、「物を売るバカ」「一行バカ売れ」の著者でもある、コピーライターの川上徹也さん。
本書では、川上さんのコピーライター経験から編み出された、「一言力」を身につける方法が示されています。「一言力」とは、「短く本質をえぐる言葉で表現する力」。
そんな「一言力」が身に付けば。コミュニケーション、プレゼン、スピーチなど…日常生活のさまざまな場面で力を発揮する一生の武器になる。
物事をズバッと伝えたい、その一言に差をつけたい。そんな思いから、わたしが手にした一冊です。
きょうの一冊一言
『一言力』から、わたしが見つけ出したとびきりのひとこと、一冊一言は・・・
そもそも要約とは、具体的なことを抽象化していく作業です。
《34ページより抜粋》
これは、本書のタイトルである「一言力」のうち、要約をするチカラ「要約力」について書かれた一節です。
どうでしょうか? わたしはこの文章を通り過ぎた際に、強い違和感を感じました。
それは「具体的なことを抽象化」という部分です。
従来の「要約」の意味というのは。大事なところをまとめる、とか。要点整理する、とか。その辺がわたしにとっての「要約」が持つ意味でした。
だから、「要約して」と言われても。「抽象化しよう」という意識はほぼ無かった、といえます。いや、全然無かった。
では、川上さんが言う「要約における抽象化」とはどういうことなのか? 書中では「桃太郎」を例に説明をしています。
桃太郎、Yahoo!ニュースに載る
昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に・・・というアレです。大きな桃がドンブラコ~ドンブラコ・・・
『はい、じゃあ「桃太郎」を要約して。13.5文字以内で』と言われたら。あなたはどうしますか?
じゅ、13.5文字だけ?と驚くばかりですが。実はこの13.5文字という文字数は、Yahoo!ニュースの見出し「ヤフートピックス」の制限文字数です。
人間が眼を動かさずに、一度に知覚できる範囲の文字数として。検討を重ね、辿り着いたのが13.5文字とのこと。
目にすると思わずクリックしてしまう。そのたった13.5文字の影響力の大きさは、おそらく多くの人がが経験しているところでしょう。「桃太郎」を、その13.5文字にを集約したら?
- 桃から生まれた桃太郎が、犬、猿、雉とともに鬼ヶ島へ行き鬼を退治し宝物を持ち帰る
途中経過。これでも39文字。きちんと要約できているにもかかわらず、まだ要約が足りない。13.5文字がいかにスゴい要約であるかがわかります。
そして、川上さんの出した答えがこれ。
- 桃太郎、仲間と鬼退治に成功
は~、なるほどね。と、頷きが止まりません。桃から生まれたことも、仲間が犬・猿・雉であることも「付随」。ムダを削ぎ落した要約というものを目の当たりにしたわけです。
ところが。
これは、要約で言うところの「具体的要約」に過ぎない。と、川上さんは言います。
冒頭の一冊一言を思い出してみましょう。そこには、「具体的なことを抽象化していく」とありました。抽象化とは…? 次に続く。
その他 注目の一言
一冊一言以外に、『一言力』から見つけた気になる一言を。
桃太郎の抽象的要約から得られるモノ
固有名詞などある程度の具体性を残した「桃太郎の具体的要約」には成功しました。では、川上さんが言う「抽象的要約」とは何なのか? これです。
- 少年が仲間と旅立ち何かを得る
もうここには、桃太郎も鬼の文字もありません。これが「抽象的要約」。でもなぜ、「一言力」に、「要約力」に、「抽象的要約」が求められるのか? 川上さんは言います。
この抽象的要約を骨子にして違う形で具体化すれば、別のストーリーを組み立てることも可能です。
《45ページより抜粋》
こう考えると、マンガの「ワンピース」も、映画の「スタンド・バイ・ミー」も一緒、同じなんだと。
具体的要約からさらに、抽象度を上げて本質的な部分にまで昇華した「抽象的要約」には。次のヒットのタネがある。そういうことです。
わたしのことで言えば。いまこうして書いているブログのタイトルなどは、まさに「一言力」、「要約力」が求められるところです。
基本的には具体的要約で、記事の要点をズバッとお伝えする。ときには、抽象的要約で読者の気づきを引き出すようなタイトルで。
具体的要約のレンズと、抽象的要約のレンズを持ち、それらを使い分けるべきことを学んだ一冊一言でした。
リスクを背負って言い切るチカラ
本書では「一言力」について、7つの能力で構成されるものと書かれています。そのひとつが、さきほどの「要約力」
他に、「断言力」「発問力」「短答力」「命名力」 「比喩力」「旗印力」の6つについて書かれています。
その中から、もうひとつ。断言力についての川上さんの言葉。
リスクを負って断言するからこそアドバイスする意味がある
《58ページより抜粋》
たとえば、複数案の選択肢について、部下から選択のアドバイスを求められるシーン。ズバッと特定の選択をアドバイスしたいものの。
どれが正解かの確証がない、あるいはどれも同じっぽい。というようなことはあり得ます。ビジネスには不確定要素が多く、正解はムズカシイものばかりです。
この点について、川上さんは「野球のコーチ」を例に挙げています。
これからバッターボックスに向かう打者に「ヒットを打て」というアドバイスは100%正しい。けれども、バッターにはまったく役に立たない。
でもそれが、「相手のピッチャーの勝負球、カーブを狙え」だったら?
100%正しくはないかもしれません。ウラをかかれる可能性もあるわけですから。反面、狙い的中ならば、これほど役に立つアドバイスはありません。
このときコーチはリスクを負います。「相手ピッチャーは、カーブを投げないかもしれない」ということです。
しかしそれでも、そのリスクを自らが負って発言しているところに、アドバイスの意味がある。価値があるわけです。
さて、翻って。部下に対し、リスクを負ったアドバイス、価値あるアドバイスはできているのだろうか?と考えさせられることになります。
リスクと言っても、何の根拠もなく「A案ではない、B案だ!」と言うのは違うわけでして。それでは断言力ではなく、虚言力。
さきほどの例でいえば、「勝負でカーブを投げてくる確率が高い」というデータが、アドバイスの裏には当然あるべきです。
裏打ちがない、根も葉もないウソはもちろんいけません。まずは、確率論では100%でないにせよ、表に出せる論理的根拠を持つこと。
加えて、不足する可能性についてはリスクを追って言い切ること。それがさきほどの上司に求められる断言力なのであろうと理解しました。
部下へのアドバイスに限らず、そんな断言力が求められるシーンがいつなんどき訪れるかわかりません。発する一言にチカラを宿す鍛錬を日々積まなければ。
《 物事をズバッと伝えたい、一言に差をつけたいあなたに、おすすめの1冊です 》
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きょうの執筆後記
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