売上が計画通りにいかないや。どうしよう、おカネが無い…
なんてことにならないように。
気付かずにいる、間違っている「売上」に対する考え方についてお話しします。
知らなかったでは悔やみきれない「売上の考え方」
多くの人が気付かずにいる、あるいは間違っている「売上に対する考え方」について。次の3つの視点でお話しします。
- 売上は「思い通りに増えない」と心得る
- 手を広げない、狭める勇気
- ひとまず値上げする
売上は「思い通りに増えない」と心得る
事業をはじめたばかりの創業期、「売上増加」に対するイメージを見誤らぬように。
売上増加のイメージ
多くの創業計画書・開業計画書で描かれる売上のイメージはこんなカンジです ↓
ところが残念なことに。多くの場合、イメージと実態は乖離します。
売上増加の実態
創業・開業後、多くの事業がたどる売上増加の実態は次のとおりです ↓
売上は「思い通り」には増えないものです。
泣く子も黙るデスバレーの恐怖
数少ない例外を除き、起業からしばらくの間は「伸び悩み」が続きます。
どんなにすばらしい商品・サービスでも、世の中に認知され、売れていくのには時間がかかります。
また、はじめから商品・サービスが完成しているわけでもなく。開発や改善のための期間も加わり、「安定供給」できるまでに時間がかかるケースも少なくありません。
この間、売上はあがらない、経費はかかる。おカネはどんどん流れ出る。非常に厳しい時期を過ごすことになります。
厳しいだけならまだしも。事業縮小を余儀なくされる、延いては、耐えきれずに破たんする・・・ 通称、デスバレー。死の谷、と恐れられる期間です。
デスバレーを超えるための「借入」
そんなデスバレー乗り切るために。まずは、売上は「思い通りにいかない」と心得ることです。さきほどのグラフで見たところ。
思い通りにいかないことがわかったら、デスバレーを乗り切る算段が必要です。必要なことはただひとつ。資金を確保すること、おカネを準備すること。
売上が思い通りにいかないのですから、おカネだって「思っている」よりもかかります。ではどうするか?
借入です。創業融資をはじめから、しっかりと、受けておくことです。デスバレーを迎えたところで借りればいい、というのでは遅すぎます。
危うくなりかけている「実績」を見てしまったら、銀行はおカネを貸せません。だから結論、創業融資はデスバレーの前で使うこと。創業当初に借りること。
手を広げない、狭める勇気
デスバレーを乗り切ると、事業の成長は加速をはじめます。次のワナに、気をつけろ。
事業が成長をはじめるとき
さきほどの売上グラフを再掲します。
デスバレーを超えたこのあたりで考えるべきことについてお話しします。
あれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しい
事業の成長を加速するために、商品・サービスの品揃えを増やす。営業時間あるいは労働時間を増やす。という、一般的な傾向があります。
品揃えや営業時間・労働時間を増やすのも、あるレベルまでは必要なことかもしれません。
ですが、必要なレベルを超えて「増やす」傾向があることを知っておかなければいけません。
自分の身の回りを見ても、世の中全体を見ても。モノは増え続けるいっぽうです。いまでこそ大きな問題となりましたが、深夜営業・不当残業の例もあります。
品揃えや時間が増えることで「売上の額」自体は増えるかもしれません。でも「利益」は?売上の伸びよりも、利益の伸びが圧倒的に小さい。そんなことはありませんか?
それは、身の丈を超えてムリをしている歪みです。それでは、社員がもちません。会社がもちません。10年、20年と続く事業を築くこともできません。
常に断捨離
世の中、断捨離の「ブーム」が続いています。これだけ続くと、もはや「ブーム」といよりも「定番」といっていいでしょう。
断捨離が定番化した背景に、「モノは増える」という一般的な傾向、世の中の流れが見えます。
つまり。ボヤっとしていると、モノは増えてしまうんです。モノが増えて邪魔になる、問題が起きることを皆わかっているから「断捨離」が流行っているわけで。
事業も同じです。ボヤっとしていると、モノが増える。仕事が増える。問題が増える。非効率、非生産的になる。成長が止まる。
成長を意識して、特に手を広げたくなるこの時期。意識的に、強制的に、「捨てる・狭める」ことに取り組むことがたいせつです。
顧客や世の中の声に応えようとするあまり。思っている以上に手を広げ過ぎていることがほとんどです。狭める勇気を身につけましょう。
ひとまず値上げする
事業の成長期、ヒトやモノに投資をする前に。やってみるべきことがある。
さらなる高みを目指すとき
みたび、売上グラフを再掲します。
事業の成長続くこのあたりで考えるべきことについてお話しします。
ほらまた、ヒトやモノで片づけようとするんだから
事業の成長に強烈な加速度がつきはじめると。ヒトを採りたくなります。モノを買いたくなります。人材採用、設備投資です。
増える売上、増える仕事に対応するため。それも必要なことです。でも、ちょっと待って。
ひとまず「値上げ」してみる、というのはどうでしょう?
値下げ圧力にさらされる命運
値上げのハナシの前提として。売上はいつも、値下げの圧力にさらされています。
「安いほうがイイ」というお客さまの期待、「デフレ慣れ」した世の中の流れ、「高いと売れない」という社員の嘆き・・・売上は常に、値下げを要請される命運にあります。
そんなわけで知らず知らず、少しずつ少しずつ。値は下がっているものです。だから気が付くと。必要以上に「値は下がっている」のです。
その「下がった値」をいちど戻そうよ、というのが、「ひとまず値上げ」の真意です。適正価格に戻す、ということです。
値上げの功罪
でも値上げだなんて怖いですよね。なにが怖いって、客離れ。
たしかに、値段を倍にしたらお客さんがいなくなってしまうかもしれませんが。そこまでするわけではありません。
たとえば1割、2割の値上げであればどうでしょう?客離れはあるかもしれませんが、売上の総額はどうなるでしょう?
「売上=単価 × 客数」です。値上げする前と後で、どれほどの差が出るか。客数は減るかもしれないけれど、単価上昇分で意外と売上は減らないかも。
売上が減ったとしても。客数が減った分、ヒトやモノという資源に余裕ができるはず。人材採用・設備投資の前に、あらたな顧客開拓が可能になります。
副次効果として、値上げした以上、品質向上への意欲も高まります。結果、良い顧客、良い商品・サービスが残る。値下げだと?逆のことが起こります。
まとめ
なかなかできない、売上に対する3つの考え方についてお話をしてきました。
わたしを含め、ほとんどすべての人が陥りがちな過ちへの解決策でもあります。
この過ちは、事業を続ける限りたびたび現れます。折に触れて、見直すことを心がけましょう。
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きょうの執筆後記
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