きょうの一冊一言は、
斉藤徹さん著 『再起動 リブート』
この一冊から、きょうの自分に活きる一言を、名言を。見つけ出していきます。
内容紹介
「僕は4回死に、そのたびに復活した」という印象的な本書の帯のとおり。
起業家・斉藤徹さんが経験された、波乱万丈にして壮絶なベンチャー経営の姿が描かれたノンフィクションです。
その内容は、「あまりにもドラマチック」なものであり。途中何度も、「あれ?これ、ノンフィクションだったよな」という確認が必要なほど。
大変申し訳ないことに、はじめは穿った見方もしていたわたしですが。「4回死に」の言葉に偽りはまったくありませんでした。
バブルの勢いであっという間につかんだ成功も束の間。バブルの崩壊、金融危機、資金繰り地獄、差し押さえ、裁判、自宅競売の危機・・・
著者の斉藤徹さんはもちろん、その周囲に居る人たちもまた。強い覚悟のもとに会社を愛し、命運を共にし、窮地に屈しまいとする姿に胸が打たれます。
ジェットコースターのような話の展開と、読み手を取り巻く現実とをぴったり重ねて見ることは難しいかもしれませんが。
本書の随所に現れる経営者の「本音、生き様、覚悟の在り方」は、すべての事業者・ビジネスマンに共通して活きるものと感じます。
経営とは何か、働くとは何かをもう一度考えたいあなたにおすすめの1冊です。
きょうの一冊一言
『再起動 リブート』から、わたしが見つけ出したとびきりのひとこと、一冊一言は・・・
企業の資金繰りが破綻すると、信用不安が社内を覆い、社長は資金繰り以外のことは考えられなくなる。
これが経営者の真理であり、本音です。
いくら「個人と会社は別人格」だとは言っても。経営者は常に会社の保証人であり、自身の財産は担保という「人質」にとられています。
会社の資金繰り破綻は、自身の破綻を意味します。
自身の破綻を受け入れたい人間などいませんので、経営者もまた資金繰りにかかりきりになる。
果たして経営者の仕事は「資金繰りオンリー」となり、経営者本来の仕事である「経営」は二の次三の次となっていきます。
わたしは税理士という仕事柄、資金繰りに身を縛られた経営者の姿も見てきました。
資金繰りに囚われた経営者が、「経営」の仕事を取り戻し、会社が平静に復することは非常に困難である。それを経験則では理解しています。
その経験則が、経営者自身の本音で強く裏打ちされ、身につまされる思いであったのが、先の斉藤さんの言葉です。
経営者でなければ、あるいは、経営者であっても幸いにして資金難を経験していなければ。「ピンと来ない」ことなのかもしれません。
そうであったとしても。もし、資金難に窮する経営者を前にするのであれば。その胸の内を理解するカギとして、留めておきたい言葉です。
小さくなるという勇気
経営者の心理、本音として。筆者の言葉からもうひとつ。
リスク管理に長けた経営者であれば、市場縮小の兆候を敏感に察知し、すぐに身の丈に合ったサイズまで事業の縮小を断行したはずだ。しかし、僕はリストラに踏み切れなかった。
「あのとき、リサイズしていれば」「あそこで撤退していれば」
これもまた、多く目にする、聞こえてくる現実でもありますが。言うまでもなく結果論です。言い換えれば、後悔でしかありません。
ほんとうに「その時」に縮小したり撤退したりすることができたのかと言えば。
タイムマシーンでもう一度「その時」をやり直せたとしても、やはり同じことを繰り返すのが経営者・起業家はないでしょうか。
とはいえ、わたしはそれを非難したいのではありません。
縮小や撤退を嫌うことこそが、経営者魂・起業家精神を支えるひとつの要素でもあるのだろう、そう考えているだけです。
繰り返しますが、縮小も撤退の良し悪しも、それは結果論でしかありません。選択の時点で、結果は誰にもわからない。
そんな現実の中もしも、経営者・起業家を前に、縮小や撤退を促さなければいけない機会が訪れるのであれば。
不幸にして、とてつもなく困難なミッションを課せられたと理解すべきでしょう。ミッションの遂行には、並々ならぬチカラと覚悟が求められます。
対する経営者・起業家には、拡大・成長を本能としてインプットされた強い姿勢があります。なにより、自身のすべてを賭ける強い覚悟があるのですから。
その他 注目の一言
一冊一言以外に、『再起動 リブート』から見つけた気になる一言を。
資本の論理を優先させる人たちの特徴だ。そんな言葉で経営者が動揺し、未来を見失えば、本当に会社は倒産してしまうではないか。
これは、著者の経営する会社が資金難で存続の危機を迎えた際、保身を第一に考える社外非常勤取締役から浴びせられた言葉への思いです。
さきほども述べたばかりですが、経営者の覚悟とは半端なものではなく。およそ他人には理解しがたいほどの強さでしょう。
それでも本書を読み進めるにあたり、著者もはじめからこれだけ強かったわけではないことがわかります。
幾度も訪れる信じがたいほどの困難を乗り越えるたびに、自分と対峙しながら成長をされていく姿が描かれています。
いまどれだけ辣腕を振るう経営者・起業家であっても、そうではないときがやはりあった。ということがほとんどなのでしょう。
孤独という闇に堕ちぬよう
そんな困難を迎えたときに、乗り越えるためにどうあるか、について。斉藤さんは次のように言っています。
そもそも失敗の原因は複合的だ。しかし、それを自らの過ちではなく、経営環境、幹部や社員、不運といった他責にする経営者は、人間不信の度を深め、孤独の闇に陥ってしまう。
他責ではなく、自責。
これは、経営者・起業家に限ったことではないでしょう。
環境や周囲のせいばかりにしていては、「本当の原因」にたどり着くことは難しくなります。
なにより、斉藤さんが言われる通り。他者を退け続ければ、自らの孤独の闇は深くなるばかり。人間不信では、環境や周囲の力を味方につけることもできません。
それでも他責に逃げるのは、ラクだからです。自分を追及せずに済む、自分を傷つけずに済むからです。
だから、わたしもやはり他責にはなりがちです。というか、まず反射的に他責から入ってしまいます。
あとはそのときに、「いかん、いかん」と思えるかどうかです。
片や、他責ばかりもいけませんが、自責ばかりというのも自傷的に過ぎるでしょう。そもそも他者の責任がまったくのゼロだとも言えないわけで。
要はバランス、です。
ヒトは油断をすると他責に陥りがち。それを知ったうえで、自責とのバランスをとること。そう理解しています。
《 経営とは何か、働くとは何かをもう一度考えたいあなたにおすすめの1冊です 》
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きょうの執筆後記
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