きょうの一冊一言は、
前田安正さん著 『マジ文章書けないんだけど』
この一冊から、きょうの自分に活きる一言を、名言を。レビューしながら見つけ出していきます。
内容紹介
本の前書きには、次のように書かれています。
この本は、大学3~4年生から社会人になって文章を書くことに戸惑いを感じている方に焦点を絞った文章本です。
これを見たときに、「な~んだ、ちょっとカンタン過ぎる本を選んでしまったかな」と読むのを躊躇しました。
はっきり言って、「タイトル買い」した1冊であり。本選びを間違えたか、と後悔をしたわけです。
でもまぁ、せっかく買ったしね。ということで、一応読みだしてみたのですが。どうしてなかなか、気づきと学びの多い1冊でした。
わたしたちは知ってか知らずか、日々多くの文章に晒されています。自ら文章を書くことも少なくありません。
メール、SNS、手紙、報告書、企画書、稟議書、などなど。
にもかかわらず。文章のことがきちんとわかっているかというとそうでもない。「わかったつもり」になっているかもしれないが、そうじゃない。
だって、「が」と「は」の違いはわかりますか? 同じ「助詞」ではありますが、間違えて使うと、主語が変わってしまうビミョーさがあったりします。
ふだんは「なんとなく」使い分けていたとしても。ほんとうに理解し、明確に使い分けることができますか?
できていたつもり、知っていたつもりで、実はわかっていなかったんだなぁ。ということが、本書を読むことでわかります。
著者の前田安正さんは、朝日新聞のベテラン校閲記者。いわば、文章の専門家です。とはいえ、そんな専門家の話しにもヘンな「固さ」はありません。
就活を前にエントリーシートが書けずに悩む女子大生・すずと、謎のおじさんとの会話形式。軽快な読み心地です。
すずとおじさんの話は、文法的なことに留まらず、文章を書くにあたっての「視点」や「考え方」にまで及びます。
マジ文章書けないわぁ、というあなたはもちろん。文章のコトをちょっと勉強しなおしてみようかな、というあなたにもおすすめの1冊です。
きょうの一冊一言
『マジ文章書けないんだけど』から、わたしが見つけ出したとびきりのひとこと、一冊一言は・・・
何度も言うようだけど、自分が何者かがわかっていないと、自分がやりたいことと、その会社が求めているものとを比べられないからね。
これは、女子大生・すずがエントリーシートの志望動機を書くにあたって、おじさんが告げたアドバイスです。
自己評価がままならないと、志望動機はとてもあいまいになってしまうんですね。
極端な話で言えば。「わたしはモノづくりが大好きなので、御社で働きたいと考えました」というのでは、製造業の会社全てに同じ志望動機になってしまいます。
これでは、相手に熱意が伝わらない、言葉が響くことはないでしょう。そもそも、自分自身がその会社に合っているかも疑わしい。
けれども、「なぜ、モノづくりが好きになったのか?」「どんな、モノづくりが好きなのか?」が明確であれば。より自分に近い会社を見つけ、志望動機を語ることができるはずです。
この「一冊一言」の本質を考えれば、とくにエントリーシートに限った話でもないでしょう。
会社に入ってから、やれ企画書だ、稟議書だという場面でも同じこと。わたしのようなフリーランスであれば、「会社」を「社会」に置き換えて考えることができます。
自分が何者かがわかっていないと、うまく仕事もできない、うまくお客さまも見つからない・・・ブログをはじめ、日々文章を書いているわけですが。書けばいい、というものでもありません。
「自分が何者か」を明確にして書かなければいけない、意味がない。とても大切なアドバイスでした。
その他 注目の一言
一冊一言以外に、『マジ文章書けないんだけど』から見つけた気になる一言を。
人の行動もそうだろ。ある状況から行動を起こして変化する。だから、人が文章を書くってことは、そういう要素から離れることはできないんじゃないかな。
この一言の前提として。謎のおじさんは、文章の要素は大きく3つに分かれると説明しています。「状況」「行動」「変化」の3つです。
たとえば、
- 【状況】僕は、太り気味でした。
- 【行動】毎日、少しづつジョギングをするようにしました。
- 【変化】半年で体重が5kg落ちました。
そして、つまらない文章というのは「状況」ばかりだとおじさんは言います。
- 僕は、太り気味です。
- 身長は170cm、体重は70kgです。
- お肉やお菓子が好きです。
とかとか、「状況」ばかりを並べられた文章だと。「だからなに?」というところがたしかにあります。
仕事に関することでも同じですよね。たとえば、部下から上司への報告書。状況ばかりが書いてあると、上司はきっと思うことでしょう。
「で、どうするの? なにがしたいの? どうしてほしいの?」
ことほど左様に、「行動」「変化」が無い文章というのは、つまらないし、読み手を動かすことができません。
謎のおじさんが言う通り、ヒトは「ある状況から行動を起こして変化する」生き物です。
ものを書く以上、行動や変化を促すような文章を意識しなければいけない。そういうことです。
そして「5W1H」を間違える
さきほどの「状況」「行動」「変化」につながる話として、5W1Hについて。「5W1Hって、わかる?」というおじさんの問いに、すずは次のように答えます。
もちろん、そのくらいは。「いつ、どこで、誰が、何を、どうした」でしょ。
間違いです。でも意外と、「いつ、どこで、誰が、何を、どうした」というフレーズはありがちです。でも、5W1Hは違います。正確には、
- When・・・いつ
- Where・・・どこで
- Who・・・誰が
- What・・・なにを
- Why・・・どうして
- How・・・どうやって
ちなみに、すずが間違えた「どうした」は「Do(Did)」です。
ここで、おじさんは言います。
5W1Hで一番大切なのが「Why」なんだよ。「なぜ」「どうして」っていう問いに応えるように書いていかないと、読み手がフラストレーションを持ってしまうんだ。
さきほど例示した文章でも、
- 【状況】僕は、太り気味でした。
「どうして」太っちゃったんだろうね、という「Why」は、読み手や聞き手からすると関心事であり、大事な情報でもあります。
ダイエットをしようというのなら、それを考えるうえでの材料にもなるものですから。
この「なぜ」や「どうして」を書いていくことで、自然、「行動」「変化」の要素が文章には盛り込まれることになる。と本書では語られています。
ですから。なんか平板な文章だなぁ、と感じたときは。文章に「Why」があるかを確認してみるとよい、ということですね。
《 文章のコトをちょっと勉強しなおしてみようかな、というあなたにおすすめの一冊 》
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きょうの執筆後記
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