決算書って、見方がわからないんだよね・・・
専門用語と数字が羅列された決算書。不慣れな人には、たしかにわかりづらいものです。
見てもわからない決算書に価値はある? そもそも経理なんてやる意味あるの? そんな疑問に、答えを提示してくれる本のご紹介です。
決算書には見方がある、経理には活かし方がある
決算書や経理という言葉を耳にするだけでアレルギー反応を起こす人もいるという。
それほどまでに専門性の敷居が高いと考えられる「会計・経理」の世界ではありますが。
万人共通のモノサシである「数字」を扱い、会社や事業の状況を明示できる「会計・経理」を使わない手はないでしょう。
と、杓子定規なお話はこのくらいにいたしまして。
次のような思いをお持ちのあなたに、おすすめの書籍を紹介させていただきます。
- 決算書をどう見ればいいか、決算書の見方を知りたい
- 日々の経理を、日々の仕事にどう活かせるのかを知りたい
- 借方とか貸方とか、簿記がわからなくても読める本が知りたい
- 決算書が読めるようになる、経理を活かせるなんてウソだと思っている
それでは、さっそく紹介をはじめます。
《1冊目》「数字」が読めると本当に儲かるんですか?
著者は、楽天市場で花屋「ゲキハナ」を運営する古屋悟司さん。公認会計士・税理士のような、いわゆる「会計・経理」の専門家ではありません。
簿記を知らない、決算書も読めない筆者が、「数字なんて読めても、儲けることに役立つのか?」といだく疑問がとてもリアルです。きっと多くの人が感じているであろう疑問。
売れども売れども儲からない、ラクにならない、と悩む花屋と。数字で儲けることを指南する税理士とが登場する物語形式で話は進みます。
話のキーポイントは「限界利益」。限界利益を知らずして、商売を数字で考えることはできない。それくらい重要なのにもかかわらず。
決算書のどこを見ても載っていない。日々の経理処理にも表れない。だから、知らないヒトが多い。そのうえ「限界利益」だなんて、なんとも難しそうな専門用語が疎ましい。
花屋の筆者も、さいしょはアレルギー反応を示します。ところが、知れば難易度は算数レベル。慣れれば、難しいことはありません。
さいごには自ら使いこなして、儲からない花屋の大改革を成し遂げる。そんなストーリーです。一足飛びに成功はしないドラマ性もお楽しみ。
えっ、フツーの人でも「数字」をそんなふうに活かせるの? と興味津々なあなたにも、半信半疑なあなたにもおすすめの1冊です。
【 この本で学べること 】
- 儲けるための会計である「管理会計」とは何か
- 儲かる理由、儲からない理由を見極める「限界利益」の扱い方
- 限界利益を用いた改革の具体的手法
《2冊目》人事屋が書いた経理の本
これまた「人事屋が書いた」のタイトルの通り、専門家以外により書かれた書籍です。タイトルにミョーなインパクトがあります。人事屋と経理というワードのギャップ感でしょうね。
とはいえ。そんなギャップを感じさせないほどに、内容はわかりやすく、かつ実用的です。
ちなみに、第1刷は1988年となっており。見た目の古めかしさはハンパないのですが、むしろ内容には「目新しさ」を感じるという。これまたギャップ感。
その内容は、「戦略会計」を学ぶところにあります。戦略会計とは、ひとことで言うと「使う会計」。仕事をするうえで戦略的に物事を考える際に役立つ会計。それが「戦略会計」です。
日々のメンドーな経理という作業を経て、せっかく「数字」を手に入れたのに。使いどころがわからず、宝の持ち腐れになっている経理は少なくありません。
それは「数字は役に立つのか?」ということであり、話の根っこはやはり1冊目と同じだったりします。その1冊目よりもちょっと難易度高い版、そのようなカンジです。
「人事屋の経理」だけに、独自・独特の表現や用語はあるものの。本質に間違いはなく、決して難し過ぎる内容ではありません。
算式や図解などを多用しながら、実務の場で使える「技」を多数提示してくれる本書。税務という狭い世界に偏ってしまいがちな税理士などにもおすすめの1冊だったりします。
【 この本で学べること 】
- 使う会計としての「戦略会計」とは何か
- 起きている問題を会計から読み解くことができる眼
- 数字を戦略的に扱うことができる具体的手法
《3冊目》すごい決算書の読み方・作り方
こちらも2010年第1版と少々古く、著者はまたしても「会計・経理」の専門家ではない、という書籍になります。それでもやっぱり「わかりやすい」、という観点でのおすすめ。
これまでの2冊と比べると、内容が広範で網羅的です。決算書そのものの説明にはじまり、決算書の読み方・作り方、決算書から問題点を見抜く方法、意思決定に役立てる方法と続きます。
さらには、銀行融資による資金調達における決算書の在り方にまで触れる、という網羅ぶり。多くを学ぶことができます。
では、広範であるがゆえに、それぞれの内容が薄いかと言うと、そんなことでもなく。要衝をしっかりと抑え、ハズしていない良書です。
ところで。「決算書とは?」という入口部分のテーマでは、会社の決算書ではなく、「個人の決算書をつくってみよう」という視点から展開します。
個人(家計)という身近な場所に数字を置き換えることで、会計・経理への敷居がグッと下がる。アレルギーのある初心者・入門者にも「読んでもいいかな」ときっと思わせてくれる1冊です。
【 この本で学べること 】
- 決算書とはどのようなものか、読み方・作り方
- 決算書を起点とした問題抽出力・意思決定力
- 決算書を活かした資金調達力
《おまけの1冊》A4一枚決算書速読術
さいごにおまけでもう1冊。公認会計士による著書ということもありますが、少し上級者向けです。
と言っても、そこまで激しく専門的というものでもありません。ある程度は決算書について数字を見ることができる、というあなたにはおすすめする1冊です。
文字通り、決算書の内容をA4一枚にまとめて、読み取るべきコトを速読しようじゃないか。そんなテーマになっています。
決算書を見る、と言ってもいろいろな目的があるものです。経営改善のため、得意先の信用調査のため、企業に投資をするためなど。
そんな目的別に、決算書の内容をどうA4一枚にまとめるべきかを知ることができます。
情報量が多過ぎる決算書を、どっから眺めればいいかわからない。そんな悩みにひとつの答えを提示してくれるのがA4一枚決算書。ご興味のある方はぜひご一読を。
【 この本で学べること 】
- 目的別の決算書の見方
- 決算書から押さえるべき要点のまとめ方
まとめ
見てもわからない決算書に価値はある? そもそも経理なんてやる意味あるの?
そんな疑問に、答えを提示してくれる本のご紹介でした。
世に「会計・経理」の本は数あれど。読みたかった本に出会うことは難しく。そんな本選びのご参考になれば幸いです。
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きょうの執筆後記
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