フリーランスになる人のための 確定申告と年末調整の違いまとめ

確定申告と年末調整の違い

フリーランスになったら自分で確定申告!でも、サラリーマンとはどう違うの?

フリーランスには確定申告、サラリーマンには年末調整というしくみがあります。どちらも「1年間の所得税を計算するしくみ」ですが違いもあります。

フリーランスになるのであれば知っておきたい、「確定申告と年末調整の違い」についてのお話です。

目次

確定申告と年末調整の違い

さまざまな税金がありますが。「個人」の税金として、最たるものが所得税。わたしたちが手にする「収入」には所得税がかかります。

その所得税は、確定申告もしくは年末調整というしくみにより計算されます。両者についてカンタンにまとめると、

 確定申告年末調整
対象者フリーランス(個人事業主)サラリーマン
計算期間毎年 1月~12月分毎年 1月~12月分
計算対象事業収入給与
処理者本人勤め先
成果物確定申告書源泉徴収票
期限翌年 3月15日翌年 1月31日
計算のイメージまとめて計算ズレを精算

まず、共通点はひとつ。表中の「計算期間」を確認してください。ここからわかることは、どちらも「1月~12月の所得税を計算するしくみ」だということ。

それでは続いて、「違い」についてを見ていきましょう。

 

《計算対象》事業収入か、給与か

生活の糧は何ですか?という違いです。サラリーマンならお給料。フリーランスなら手掛ける事業からの収入、ということになります。

これで話が済めばカンタンなのですが、そうもいかないのが税金の難しいところ。ここでひとつ大事なポイントがあります。

税金は「収入」にかかるわけではなく、「所得」にかかるということ。

突然、「収入」とか「所得」とかワケわからん。ということかもしれませんが、収入と所得とは次のような関係にあります。

所得 = 収入 - 経費

フリーランスの「所得」とは?

フリーランスについて考えてみると。「収入」は売上です。売上をあげるための仕入や、その他諸々の支払がここでいう「経費」。つまり、「所得」とは利益です。先ほどの算式に当てはめると、

所得(利益)= 収入(売上)- 経費(仕入・その他支払)

先ほど言った「大事なポイント」をフリーランス用に置き換えると。「税金は売上にかかるのではなく、利益にかかる」ということです。

だから、事業をしている人は「経費、経費!」と一生懸命なんです。経費があれば、利益は減りますからね。その分、税金も安くなります。

サラリーマンの「所得」とは?

さて、いっぽうのサラリーマンはどうでしょう?「収入」はもちろん給与です。月々の給料や賞与。では、経費は・・・?

実は、サラリーマンの経費は「自動的に」決められています。このくらいのお給料の人は、だいたい経費はこれくらいだよね、ということで決まっているんです。これを「給与所得控除」といいます。

サラリーマンもスーツを買ったり、勉強のために本を買ったり。経費と言えるようなお金がかかりますが、いちいち計算するのもタイヘンですから。算式にするとこうなります。

所得= 収入(給料・賞与)- 経費(給与所得控除)

ちなみに、年収500万円の人の給与所得控除は154万円です。月13万円弱。けっこうな「経費」だなぁ、とは思いませんか?

 

《処理者》本人か、勤め先か

サラリーマンの時には、税金の計算については「会社」がやってくれます。ですから、税金の計算を自ら意識する場面はありません。

ところがフリーランスになると否応なし、自分で確定申告をしなければいけません。つらいけれど義務です。

サラリーマンでも確定申告

  • サラリーマンでも、年収2,000万円超の人など、確定申告をしなければいけない人もいます
  • また、医療費控除など税金の還付を受けるため、確定申告した方がいい人もいます

 

《成果物》確定申告書か、源泉徴収票か

サラリーマンは年末調整が終わると、「源泉徴収票」を1枚受け取ります。A4の4分の1サイズのちっちゃなヤツです。だから失くすんだぞ!ってサイズ。

平成28年分からは、A4の2分の1サイズ、いわゆるA5に変更です。マイナンバー関連の記載事項が増えたから。にしてもA5って・・・ヘンな大きさはやめてほしい、というのが現場の意見です。

フリーランスは、自分で確定申告書をつくります。こちらはあんしんのA4サイズですが枚数・種類が多くなります。慣れるまでは少々タイヘンです。

だから、そこは税理士さんに任せちゃいますか、というのもひとつの方法です。

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《期限》3月15日か、1月31日か

サラリーマンの年末調整の最終期限は、翌年1月31日です。「年末」と言いながら、翌年までOKなんですね。

でも、フツーは年内最後の給与支払い時に終わらせます。事情があって年末調整やり直しなど特別な場合のみ、最終期限が翌年1月31日になります。

フリーランスの確定申告は、翌年3月15日までに所轄の税務署に提出です。街中に張り出される「確定申告は3月15日まで」というポスターをヒトは気にしているのかどうか・・・

ところで、3月15日までという提出期限を、「3月15日に提出すればいい」と解釈する人がいます。合ってます。合ってますけど、それは自分で提出する際のハナシです。

期限3日前に領収書をどっさり持ち込んで「まだ3日ある」というお客さま。そのとき税理士は思います、「お客さまはあなただけではないんだよねぇ~」って。

ですから、税理士に頼む際にはもう少し早く持ち込みましょう。

 

《計算のイメージ》まとめて計算か、ズレを精算か

さいごに。確定申告と年末調整の計算のイメージを確認しておきましょう。

年末調整の計算イメージ

毎月の給料・賞与からは「所得税」が天引きされていますが、この天引きの額は概算です。この給与額なら所得税はこのくらい、というおおよその額で天引きしています。

先ほどお話しした通り、所得税の計算期間は1月~12月の1年間。年末調整では、1年間の給料・賞与の合計額をもとに、あらためて年間の所得税額を計算します。

「所得= 収入(給料・賞与)- 経費(給与所得控除)」の算式で所得を計算。その所得に、税率をかけることで年間の所得税額を計算します。

すると、この年間の所得税額と、毎月の給料・賞与から天引きしてきた所得税額の合計額とにズレが生じます。おおよその額で天引きしてきたのですから当然です。

その「ズレを精算する」のが、年末調整ということになります。

つまり、サラリーマンの所得税は、天引きという形での「前払い」。年末調整で還付金が戻ってくるのは、ズレを精算した結果、前払いした税金が多すぎたから。

トクをした、というものではないんですね。残念。

確定申告の計算イメージ

確定申告では、毎月の給料天引きというような「前払い」はありません。1年分の税金をまとめて計算して、後払いするというイメージです。

1月~12月の1年間について、「所得(利益)= 収入(売上)- 経費(仕入・その他支払)」の算式で所得を計算。所得に税率をかけて年間の所得税額を計算します。

前払いはありませんと言いましたが。年間の所得税額が一定額を超える場合には、翌年からは7月末と11月末に、前年の所得税額の3分の1を前払いするようになります。

これを「予定納税」と言い、3分割で納税するイメージです。

 

まとめ

確定申告と年末調整の違いについて、カンタンにお話をしました。

それぞれ実際の計算にまで踏み込んでいけば複雑なものとなりますが、まずは全体像の把握からということでまとめています。

フリーランスになると確定申告は避けられませんが、これまでとの違いをざっくりとつかんでみるところから始めましょう!

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  きょうの執筆後記
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日本には年末調整のしくみがありますので、所得税の計算になじみがある人は多くありません。
だから、フリーランスになると突然のことにびっくりしますが、びっくりしすぎて放置することがないように。
フリーランスになったら、早めにひと勉強してしまいましょう。あとからでは遅すぎることもありますので。

確定申告と年末調整の違い

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